ファミリーマートのレジの真上に、巨大なディスプレイが増えている。同社は6月27日、全国34都道府県、計3000店舗でデジタルサイネージを設置したと発表した。導入店舗では、デジタルサイネージで広告を配信した商品の売り上げが平均2割以上アップするなど効果は絶大だという。

 店舗内のレジ周辺に3面の大型デジタルサイネージを設置。店舗で販売している商品や生命保険などの広告動画に加えて、お笑いや天気予報、ミュージックビデオ、詐欺撲滅を呼び掛ける動画など、独自制作のコンテンツを配信している。

 デジタルサイネージで配信する広告枠は、1日を朝・昼・夜・深夜の4つの時間帯に分けている。1枠15秒で、1時間に6回動画を配信している。ターゲット層の来客が多い時間帯に合わせて広告を配信し、ターゲットへのリーチ率を高め、幅広い企業・商品の広告を効果的に配信できるという。例えば、朝は缶コーヒーの広告、日中はレシピ動画、夜は酒類の広告を配信するなど、時間帯によってコンテンツを変えている。

 42〜65インチの大きなスクリーンを使用し、店内には複数のスピーカーも設置。レジ周辺だけでなく、店内の至るところで音声が聞こえる工夫などが功を奏し、同社によると、デジタルサイネージの認知度は約70%を記録した。

 設置店舗にはデジタルサイネージの設置料が入り、収益アップにもつながる。店舗の新たな収益源としても期待されているという。

●莫大な店舗数・幅白い来客層を生かす

 同社の国立冬樹デジタル事業部長は「テレビ、インターネットに次ぐ“第3のメディア”に育てたい」と意気込む。店舗のデジタルサイネージには、より高い広告効果を生むポイントが2つあるという。

 1つは、全国各地の幅広いターゲットにアプローチできること。ファミリーマートは全国に1万6600店舗を展開しており、1日当たりの来客数は1500万人。利用者は老若男女と幅広い。

 都心部だけではなく地方にも店舗が多くあるため、地域に根付いた商品・サービスの広告配信も可能だ。実際に東海地区では、地元のメーカーとコラボした弁当・サンドイッチの広告を配信。地域社会への貢献にも取り組む。

 「今後はより細分化したエリア別に、配信内容を変更できるように整備したい。店舗の近隣にある事業者と連携し、地域密着型メディアとしても活用していく」(同社)

●インターネット広告と組み合わせる

 2つ目は、インターネット上のターゲティング広告との相乗効果を狙えること。同社は2020年に、伊藤忠商事、NTTドコモ、サイバーエージェントとの共同出資により、購買データを活用した広告事業に関する新会社「データ・ワン」を立ち上げた。約2000万件の顧客データを分析・活用し、ターゲティング広告を配信している。

 今後は、アプリなどで配信しているインターネット広告と、店舗のデジタルサイネージを組み合わせ、利用者がコンテンツに接触する頻度を増やし、購入につなげていく。

 デジタルサイネージはAIカメラも備え、視認した人の数や属性(性別、年齢など)、視認秒数などを自動認識できるようになっている。今後は、AIカメラで取得できるデータの活用も模索していく。利用者の視線を分析し、デジタルサイネージの広告効果を検証するほか、ネット上の顧客データとどう掛け合わせるかも検討するという。

 同社は来年度中に対象全店舗へのデジタルサイネージ導入を目指す。