日産自動車は7月20日、SUV「エクストレイル」の新型を発表した。価格は412万9400円から、7月25日に発売する。エンジンで発電した電力を使い、モーターで走行するe-POWERを全車で採用。一般的な内燃機関(ICE)モデルは用意しない。

 特徴は同社の最新技術をすべて盛り込んだ点にある。「技術の日産ってこういうことか、と味わってもらいたい」と星野朝子副社長は言う。

●VCターボ+e-POWERの組み合わせ

 まず、日産独自の可変圧縮比(VC)ターボエンジンとe-POWERの組み合わせだ。一般的にエンジンの圧縮比を上げると高い効率が得られ燃費が向上する。他方、ターボエンジンでは低圧縮比のほうがパワーを出せる。圧縮比をダイナミックに変えられるようにし、この矛盾した特性を1つのエンジンで可能にしたのがVCターボだ。日産が世界で初めて量産化した。

 「高圧縮比は効率がよく燃費がいい。一方でフル加速のようなパワーが必要なときは、圧縮比を下げてターボで大きな力を発生させる。これで回転数を下げられるため、静粛性に一役買っている」(チーフビークルエンジニアの中村将一氏)

 e-4ORCEは、EV SUVのアリアなどに搭載されている電動4輪制御技術だ。エクストレイルは全後輪にモーターを搭載しており、これとブレーキを統合制御することで、「雪道やオフロード走破性に加え、意のままのワインディングでの走り、市街地のフラットな乗り心地を実現する」(中村氏)という。

 動作の仕組みはこうだ。まずエクストレイルは通常は前輪駆動で走る。カーブに入りフロントが曲がったら、前輪に曲がる力の余力を持たせるために駆動力を後輪に配分していく。加えて、内側のタイヤにブレーキ、外側のタイヤには駆動力をかけて、コマのように回る力を発生させる。これによって、スムーズなカーブ走行を実現する。

 平坦地でも制御が行われる。アクセルオフ時、通常は前輪だけにエンジンブレーキがかかるため、前につんのめる挙動が起きる。e-4ORCEでは、リア側にも自動的にブレーキを発生させることで、車体をフラットに保つ。

●日産の”ザ・SUV”

 各社にとってSUVは主力商品だ。「国内市場でSUVは2割に達し、ますます人気が高まっている」と星野氏。もともとは「タフギア」をコンセプトに、アウトドアユーザーに訴求する車種だったエクストレイルだが、近年は価格上昇とともに、上質さが求められるようになったという。

 「e-POWERだけにするのか、ICE(内燃機関)も入れるのかは議論になった。エクストレイルは、電動化から運転支援技術まで全部乗せて、日産の”ザ・SUV”というクルマにしたい」(星野氏)