●教えて! ビジネスマナーの新常態

コロナ禍をへて大きく変わった私たちの働き方。ビジネスマナーにも、時代に合わせて大きく変化するものがあれば、全く変化しないマナーも存在する。「こんなとき、どう対応するのが正しいの?」といった疑問に、NPO法人日本サービスマナー協会の特別マナー講師、井手奈津子さんが回答する。

 コロナ禍に伴い在宅勤務が浸透したことで、「Teams」や「Slack」などのビジネスチャットツールを導入する企業が増えている。インターネットマーケティングのモニタス(東京都港区)が全国の会社員約2800人を対象に、4月に実施した調査では、約4割がチャットツールを利用したことがあると回答した。そんな中、若手社員を中心に増えているという悩みが、上司に送るメッセージに絵文字を付けることの是非。果たして、マナー講師はどのように考えるのか。

――上司へのメッセージに絵文字を付けていいか迷う若手社員が増えているそうです

井手講師: この質問はここ2年間で一気に増えました。やはり、コロナ禍による働き方の変化によって、Eメールからチャットへと社内のコミュニケーションの形が変わってきたところが大きいでしょう。リアルタイムでのやりとりができる社内チャットツールは、これまでのEメールとは役割が異なる側面もあり、こうした悩みが生まれているのかもしれません。この質問については、職場風土や上司との関係性に合わせて使い分けてください、と伝えています。

――職場の雰囲気や上司との関係性に合わせて使い分けるということですね

井手講師: 例えば、職場で誰も絵文字を使っていない中、いきなり新しく入ってきた新入社員が使えば、馴れ馴れしく思われるかもしれません。そして、シチュエーションも大切です。おわびをする場合や、緊急時の連絡など、固い仕事のやりとりをする時に、果たして絵文字は使う必要があるのかどうか、考える必要があるでしょう。

――確かにシチュエーションは大切ですね

井手講師: 日頃、私が企業の社員研修などで話しているのは、チャットの中身が会話なのか、仕事上の連絡なのかによって絵文字を使うことの是非は変わってくるということです。例えば、仕事の報告・連絡・相談であれば、仕事のフィールドなので絵文字はなくてもいいですよね。ただ、「今日仕事がうまくいきました」「おめでとう」などといった楽しい会話の場面では、使ってもいいのではないでしょうか。

――若手社員にとっては慣れるまで苦労する人もいるのかもしれませんね

井手講師: 新社会人の方から本当によくいただく質問なので、迷っている人は多いと思います。具体的な相談を受けることもあります。例えば、新たにジョインしたチーム先で、既存のメンバーは互いに絵文字を使ってチャットしているが、上司との関係性が築けていない新人はどこまで絵文字を使っていいのか――と。そんな時は、まずは文章の終わりに1つぐらい絵文字を使うところから始めたらどうでしょうか、と伝えています。迷っているうちは1つぐらいから始める。慣れてきて上司との関係性が築けてきたら、そうしたことも気にならなくなるでしょう。

講師紹介:井手奈津子(NPO法人日本サービスマナー協会 特別マナー講師)