楽天証券は8月2日、投資信託の月額積立設定額が1000億円に達したことを明らかにした。6月末時点で969億円に達しており、前年同期末比で61.2%増。設定人数も261万人(同59.0%増)となっており、順調に拡大した。

●ポイント引き下げも影響は「非常に軽微」

 クレカ積立に対しての1%のポイント還元を武器に、急速に設定金額を伸ばしてきた楽天証券。不安要因は、2月に発表した還元率の改定だ。低信託報酬の投信を中心に多くの場合で、9月積立分から0.2%に還元率を引き下げる。

 しかし楠雄治社長は次のように話す。「若干ペースは落ちたかなというのはある。それがマーケット要因なのか、ポイント還元の引き下げ要因なのかは分からない。一時的に、(投資信託の他社への)移管も出た。しかし非常に軽微だった。ポイントを追求する人は出ていったが、増えていく方が圧倒的に大きかった」

 ネガティブ要素だけでなく、ポジティブな要素もある。6月に登録の受け付けを始めた楽天キャッシュ決済による投信積立だ。これは楽天キャッシュという電子マネーから投信を買い付けられる新サービス。クレカ積立と併用でき、合計で10万円までの積み立てが可能になる。

 7月末時点で、楽天キャッシュ決済は投信積立設定人数の2割、50万人に達した。登録開始から1カ月半の数字としてはたいへん好調だ。50万人のうち16%はクレカ決済を併用しており、「併用による金額増分効果も一定程度出てきている」(楠氏)状況だ。

●クレカ積立コストの増加は山を越えた

 投信ビジネスは預かり資産残高が重要なKPIとなるが、投信を販売しても、途中で売却があると、預かり資産残高は増加しない。楽天証券の場合、残高増加の原動力が積み立てだということも有利に働いている。「積み立てが岩盤として崩れない」(楠氏)のだ。

 楽天証券は販売額が年間で2兆5221億円と業界トップなだけでなく、販売額から解約額を引いた純増額も1兆1175億円とトップ。その率も46.7%と他社を大きく上回る。

 唯一の懸念点が、投信販売に伴うコストの増大だ。楽天証券では、販売手数料を取っておらず、逆にクレジットカードのポイントという形でコストが生まれている。この「取引関係費」というコストが増加し、売り上げの拡大以上に利益を圧迫してきた。直近、22年12月期上期(1-6月)でも、売上高が5.7%増加したのに対し、取引関係費を含む販売費・一般管理費は10.3%増加し、営業利益は11.3%の減益となっている。

 この利益構造の改革が、上場を控えた同社にとっては重要だ。6月に楽天キャッシュ決済を導入し、クレカ積み立ての一部がこちらに移行した。そして9月積み立て分からは、クレカ積み立ての還元率が大きく引き下がる。こうした施策により「取引関係費増加の山は越えたかなと思っている。次の四半期くらいからは利益が増加してくる」と、楠氏は認識を示した。