日野自動車がエンジンの排出ガスと燃費の性能を偽っていた問題。8月には新たに主力の小型トラックでも不正が見つかり、国内生産台数の約6割に影響が及んでいるという。

 そこで、帝国データバンクは、日野自動車と同社グループの計6社に対し調査を実施。部品などのモノ・サービスを提供する周辺産業(商流圏)の取引規模を、2021年時点の売上高を基準に推計した。

 その結果、同グループの商流圏内における取引額は、判明した約5000社で年間最大約9796億円、月平均で816億円に上ることが判明。日野自動車の生産が全面的にストップした場合、取引企業や周辺産業全体で年間最大約1兆円の取引が消失するといった影響が出る可能性があることが分かった。

 帝国データバンクの調査に対し、企業からは「この先どこまで行けば終止符が打てるのか」「日野の不正申請問題で大打撃を受けている」といった声があがっており、取引が大きいサプライヤーを中心に、人員配置や原材料調達などの面で既に甚大な影響が及んでいるという。

●サプライヤーの市場退出もあり得る

 企業の売上高における同グループへの依存度をみると、取引額が売上高全体の5%に満たない企業が約8割を占め、10%を超える企業は約1割だった。

 地域別では、東京都が2505億円と最も多く、このうち「多摩地区」が684億円を占めた。日野自のマザープラントとなる日野工場(東京・日野市)を中心に部品などを供給するサプライヤーが多いためとみられる。

 帝国データバンクは、「月平均で最大800億円、年間で1兆円に及ぶ取引規模の維持は中長期に及ぶほど難しい。自動車産業は裾野が広く、今後減産による影響は部品メーカーや周辺産業に波及していくとみられる。経営を支えきれなくなったサプライヤーの市場退出などが今後発生する可能性がある」と分析している。

 こうしたなか、日野自動車は2022年4〜6月期において、仕入先に対する補償など19億9700万円の特別損失を計上。公的金融機関などでも資金繰り支援を受け付ける相談窓口を設置するなど、生産停止の影響を受ける中小企業・小規模事業者向けのフォローを行っている。

 9月5日には「信頼回復に向けた取り組みについて」のリリースを発表。二度と今回のような事態を引き起こさないため、あらゆる取り組みを全力で推進するとしている。