「9月病」の経験者4割──コロナ禍以降、初めて行動制限がなかった夏休みシーズンが明け、企業が年末に向けた活動を本格化させる中、医薬品や食品事業を手掛けるクラシエが9月7日までにこんな調査結果を発表した。9月病とは、季節の変わり目による急激な温度変化などで、心や体の調子を崩し、仕事や学業にうまく復帰できない状態を指す。同社は適度な運動や漢方薬を使った予防策を提唱している。

 9月病は、4月末のゴールデンウィーク明けに新入社員などが環境の変化に適応できないことから発症する「5月病」とメカニズムは近いとされている。クラシエが行った調査では9月病の認知度は16.5%にとどまったが、経験者は全体で39.5%に上った。特に20代では計52.5%が「9月病の経験がある」と回答した。

●9月病での体調不良 最多は「やる気が出ない」

 9月病の経験者に症状を聞いたところ、最多は「やる気が出ない」(63.3%)。「気分のの落ち込み」「疲れやすい」(ともに48.1%)が続き、「眠れない」(38.0%)、「朝起きられない」(30.4%)といった睡眠に関連した不調も多くの人が経験していることも分かった。

●30〜40代でも9月病の可能性

 大阪大学大学院人間科学研究科未来共創センターの石蔵文信招聘教授は9月病について「新人に限らず30〜40代でも、とくに配置転換や転勤、転職などで環境が大きく変わったときに起こりやすい」と指摘している。

 また、GABAストレス研究センターが2015年9月に発表した調査では、ビジネスパーソンの40.9%が「9月病」を実感し、性別では男性が46.2%、女性が53.3%で一般職(56.8%)に多いという結果が出ている。

 そんな9月病の原因について、クラシエは「不安・ストレス」と「気候の変化」の要因を挙げる。「夏休みが明けて仕事や学校が始まる9月だが、気持ちの切り替えが中々できなかったり、学生は新学期への不安、社会人は部署換え・転勤など、環境の変化があったりと、ストレスを感じやすい時期。夏の暑さによる疲れも相まって、自律神経のバランスが乱れ、心身の不調を引き起こしやすくなる」「9月は気候の変化も大きい時期。気温の低下や寒暖差に体がついていけず、不調に陥ることがある。日照時間が短くなり、日を浴びる時間が短くなると、体内でセロトニンという物質の分泌が抑制され、『気分の落ち込み』や『集中力の低下』といった抑うつ症状が生じる」とそれぞれ解説している。

 同社は9月病対策として「『睡眠習慣を整えること』と『適度な運動をすること』」が重要だ」と説明。運動については「日常的に意識して体を動かすことが大事」とし、ウォーキングなどで積極的に歩くことや、なるべく階段を使うこと、軽い筋トレ、ストレッチなどを推奨している。

 一方、睡眠習慣については、夜更かしせず6〜7時間の睡眠時間確保を推奨。脳が覚醒し、寝つきが悪くなるとして、就寝前のスマートフォンやパソコン操作などを控えるよう呼び掛けている。

 調査は全国の20〜70代の男女200人を対象に、インターネット上で行った。期間は8月2〜4日。