食品スーパーを展開するサミットは、肉類をそのまま袋に入れて販売する「ノントレー包装」を採用している。食品トレーを使用していないため、利用者からは「ごみが減って助かる」「かさばらなくて良い」などと好評だ。精肉売り場を見渡すと、牛肉、豚肉ではほとんどの商品で食品トレーを使用しており、ノントレー包装を実施しているのは鶏肉がメインのようだ。精肉部・バイヤーの白鳥太一さんは、鶏肉に限定してノントレイ包装を導入しているのには“ある理由”があると話す。

●「ノントレー包装」の概要

 サミットでは、びりっと破けるタイプの袋で肉を覆っている。鶏肉での導入がメインで、内容量に関わらず全ての規格を「ノントレー包装」で販売。大容量タイプは保管時の利便性向上のため、チャック付きの袋を採用している。

 袋に詰める作業は機械で行う。専用の機械に鶏肉を置くと、数秒で袋に入った鶏肉と値札シールが出てくる。作業効率は食品トレーを使用する場合と“ほぼ変わらない”という。なお、チャック付きの袋は手詰めで作業する。

●担当者に話を聞いた

――「ノントレー包装」はいつから、どういった経緯で開始したのですか?

白鳥: 2009年11月から、サミット府中西原店で「ノントレー包装」のテスト販売を開始しました。09年は環境問題への注目が高まり、各地でごみ袋有料化が始まった時期でした。ごみ袋有料化に伴う家庭の負担を少しでも軽減するために、かさばる食品トレーの廃止を実施しました。

 また、「ノントレー包装」の導入で、ごみ排出量、二酸化炭素排出量削減にも結び付けたいと考えています。

――テスト販売では、どういった商品を対象に「ノントレー包装」を導入したのですか?

白鳥: 現在は鶏肉だけで実施していますが、導入当初は豚肉の薄切りや牛ステーキなどでも導入していました。しかし、お客さまから「豚肉の薄切りは商品がつぶれてしまい見栄えが良くない」「牛肉のステーキなどサシが入った商品は、脂がフィルムについて中身が見えにくい」などのご指摘を多くいただきました。牛肉、豚肉に関しては、鶏肉と比較して売れ行きに対しても良い影響が少なかったため、廃止しました。

――導入に際して、何か課題はありましたか?

白鳥: 見栄えが心配でしたね。袋に入っているので、売り場の中で商品が埋没してしまう可能性もありました。液漏れの心配もあったため、陳列方法の見直しなどを徹底していました。「ノントレー包装」の場合、並べ過ぎると乱雑とした印象になってしまいます。食品トレーほど積めないため小まめに商品を補充する必要があり、作業効率を高めるために話し合いを重ねました。

●利用者の反応は?

――利用者からの反応はいかがでしたか?

白鳥: テスト販売では、8割が「肯定」、1割が「品質や衛生面が心配」、残り1割が「どちらでも良い」という結果でした。肯定派の方からは、「ごみが減るからありがたい」「トレー入りの商品よりも平べったいから、持ち帰るときにかさばらなくていい」「袋のまま冷凍庫や冷蔵庫に保管できて便利」という意見が集まりました。導入当初、「ノントレー包装」導入店舗では他店と比較して鶏肉の売り上げの構成比が高くなりました。保存のしやすさや、かさばらないためまとめ買いできることが評価されたようです。

白鳥: 「品質や衛生面が心配」と回答した方からは、「商品が直接袋に入っていることで、重なっている部分が何となく気になる」「他の利用者が手に取った際に体温が伝わって悪くなっていないか心配」など、抵抗感を持つ意見が挙がりました。検査をしたうえで品質に問題はないと判断し、販売を続けたところ、お客さまも慣れてきたようで、受け入れていただいています。

――「ノントレー包装」の取り組みに関して、今後何かアップデートの予定などはありますか?

白鳥: これまでにも、「一度に使い切らなかったときに不便」という意見を受け、大容量商品でチャック付き袋を導入するなどのアップデートを加えています。サミットでは商品の規格に合わせて売価を変えていないため、1枚入りのものを大量に購入して1つずつ冷凍保管する方、大容量を購入して使わない分はチャック付きの袋のまま保管する方など、好みに応じて購入していただいています。

白鳥: 今後は産地で包装する「産地パック」の導入を強化したいです。現在は銘柄の鶏肉のみでの実施しています。

 「産地パック」は真空に近い状態でパックすることで、消費期限を延ばすことができます。店舗で包装をした通常の商品では、消費期限は3日間です。対して産地パックでは、消費期限がパックした日から1週間、店舗に届いた日から5日間になり、食品ロス削減にもつながると考えています。

●他社の取り組み

 同様の取り組みは、スーパー各社でも広がっている。例えば、首都圏を中心に130店舗以上を展開する食品スーパー「オーケー」では、10年8月からノントレー包装の導入を開始した。豚肉、鶏肉で使用しており、肉汁がこぼれない包装形態になっている。導入店舗は103店舗だという。