実業家で、米テスラモーターズCEO(最高経営責任者)のイーロン・マスク氏による米ツイッター買収が完了し、旧経営陣を含めた大規模な人員整理が始まった。日本法人も対象とされ、人員整理に関する報道以降、同社が手掛けていたニュースのキュレーション機能の更新も停止。11月11日までに報道機関が配信する記事がツイッター上の「ニュース」欄から消えた。同社主導でのニュースのキュレーション機能が終了した可能性がある。

●報道機関が「モーメント」作成 Twitter社員が選別→ニュース掲載

 これまで、同社は各報道機関が配信するニュースを選別し、プラットフォーム上の「ニュース」欄に掲載するサービスをユーザーに提供していた。

 その仕組みはこうだ。各報道機関が、読まれている自社記事に対するTwitter上での反応をピックアップ。複数の反応を「モーメント」としてまとめ、ツイッター側にモーメントのURLなどとともにメールで送付する。送付内容をツイッターの社員が確認し、社内の合意を得て「トピック」として掲載しているとみられる。

 同社はテレビや新聞、通信社だけでなく、国内のWeb媒体では「バズフィードジャパン」「ハフポスト」「ビジネスインサイダージャパン」など幅広い媒体からニュースを募集していた。ITmedia ビジネスオンラインも当然ながら採用実績がある。

 ツイッター側に採用されれば、爆発的なPV増加と拡散力を見込めるため、特にPVベースで事業を展開するWeb媒体は大きな恩恵を受けていたとみられる。

●検閲との指摘も マスク氏「言論の自由」にこだわり?

 一方、ニュースの選別に当たっては“中の人”が関与することから、トレンドの恣意的操作や世論誘導、検閲を指摘する声が出ていたのも確かだ。Twitterには独自のアルゴリズムが自動的にトレンドをランキング化する機能もあり、プラットフォーム上で混在していた。

 つまり、人が恣意的に掲出したニュースが、Twitterのアルゴリズム上でも注目を集めているとユーザーが誤認するリスクを抱えていたのだ。一連の人員整理で「ニュース」欄の更新が止まったことなどを受け、Twitterでは一時「トレンド操作」がトレンド入りする一幕もあった。

 英ロイター通信の10月27日付けの記事では、マスク氏が「ユーザーにコンテンツを届けるアルゴリズムの公開、憎悪や分断の連鎖の防止、検閲の制限といった野心的な目標を掲げている」と報じている。過去には「言論の自由を守らないことは民主主義に反する」とツイートしており、ニュース欄から報道機関のニュースが消えた背景には、マスク氏の思惑が働いている可能性がある。

(参考記事:イーロン・マスク氏、なぜツイッターの筆頭株主に? 過去ツイートから分析)

 マスク氏の買収完了とともに大量解雇で混乱が続く、ツイッター社。マスク氏は有料機能のリリースも告知しており、サービスの改修面でも今後、注目が集まりそうだ。