さとふるとPayPayは11月16日、ふるさと納税の新しい返礼品として、自治体が指定した店舗や施設で使える「PayPay商品券」の提供を始めると発表した。11月29日から開始する。

 利用者は、ふるさと納税ポータルサイト「さとふる」で「PayPay商品券」を導入した自治体を選び、寄付することで、返礼品として「PayPay商品券」を受け取る。商品券は、寄付から180日後まで、自治体が指定する現地の店舗や施設で利用できる。複数店舗にまたがっての利用も可能だ。

 年内に、30の自治体が導入する。さとふるの藤井宏明社長は「お会いした自治体の方からは『やらない理由がない』と導入を即決いただくケースが多かったです」と自信を見せる。

●今までのふるさと納税と、何が違う?

 藤井社長は「ふるさと納税は、財源の限られた地方自治体の課題解決に大きく貢献しています」と説明。しかしその一方で、「寄付者の約9割は現地には行かず、食品などの家で受け取る返礼品を選択しているのが実態です」と課題を話す。

 さとふるはこれまでも現地に訪れて消費する体験型の返礼品に注目し、扱ってきたという。ただし、使い方が指定されているものが多く、特定の宿泊施設やアクティビティー提供施設の利用を促すにとどまっていた。今回のPayPay商品券の取り組みでは、自治体が指定したPayPayが使えるさまざまな種類のお店を、複数店舗にまたがって利用してもらえる。これが地域活性化として期待できるポイントだという。

 「例えば、目立った特産の食品がなくても、観光資源が豊かな地域もあります。そういった場所で、このサービスによってコト消費を加速できるのではないかと期待しています。ふるさと納税は『普段は選ばないけれど、返礼品で試してみる』という趣向もあると思います。これまで行かなかった場所にPayPay商品券があるから訪れてみる、といった新しいきっかけにもなればと考えています」(藤井社長)

●「なかなか良さが伝わらない……」 自治体の現状打破なるか

 PayPay商品券を導入する山口県長門市の江原達也市長は次のように期待感を話す。

 「長門市には魅力的な自然景観、温泉、アクティビティー、おいしい食事があります。しかし残念ながら、ふるさと納税の寄付者の方々になかなか長門市の良さが伝わっていない、という課題を持っています。やはり長門市に来ていただかないと、本当の良さが伝わりません。そんな中、このPayPay商品券を使って、長門市に来るきっかけとしていただけるのではと、大変期待しています」

 また、栃木県日光市の粉川昭一市長は「日光市ではこれまでも、ふるさと納税制度により多くの方に日光市に来ていただいています。特に、観光関連のお礼品を希望する寄付が、全体の寄付額の8割以上を占めています」と話す。

 「これまで、宿泊費用以外に現地で使用可能なお礼品が少ないことに課題を持っていました。PayPay商品券の導入によって、お食事処や地場産基準を満たした店舗を増やし、利便性の向上を図りたいと思っています。また、すでに構築された(PayPayの)システムを活用した商品券なので、スムーズに地域に溶け込むのではないかと考えています。この取り組みにより日光市のファンを増やし、発展につなげたいです」(粉川市長)と意気込みを話した。

 現在、利用が決まっている自治体は以下をはじめとする30自治体だ。利用できる店舗数は8000店以上となる。

【導入が決定している自治体】

・北海道小樽市、千歳市、富良野市、登別市、森町、倶知安町、白老町、洞爺湖町、安平町、むかわ町、釧路町、弟子屈町

・山形県米沢市

・栃木県日光市

・石川県七尾市

・愛知県岡崎市、南知多町

・三重県伊勢市

・京都府亀岡市、京丹後市

・兵庫県豊岡市

・奈良県奈良市

・山口県長門市

・香川県高松市

・愛媛県今治市

・福岡県太宰府市、朝倉市

・熊本県小国町

●狙うは「1800ある自治体の全て」

 今後の導入の目標数について、さとふるの藤井社長は明言を避けながらも「自治体の数だけ膨らんでいくものと考えています」と話す。

 同じくPayPayの中山一郎社長も「(目標数は)強いて言えば約1800ある自治体の全て」と語り、両社ともに強い自信を見せた。

 近年、旅先で利用する商品券などをふるさと納税の返礼品とするサービスは増加傾向にある。その中でも両社が強気の姿勢を見せるのは、多くの観光地での導入実績を持つPayPayの商圏の広さがあってのことだろう。

 この取り組みは自治体や寄付者にどれほど受け入れられるだろうか。両社長が見せた自信の通りになるならば、このサービスの誕生はふるさと納税の在り方のターニングポイントとなるかもしれない。