ハンバーグレストラン「びっくりドンキー」がモーニングメニューを拡充し、集客につなげている。本格的に提供しはじめたのは2021年で、現在は全国342店舗のうち254店舗に導入(7月末時点)。モーニング時間帯(午前8〜11時)における1日1店当たりの客数は21年と比べて2倍に伸びている。現在の朝食戦略について、びっくりドンキーを運営するアレフ(札幌市)の広報担当者に聞いた。
●モーニングメニューを拡充
アレフは新型コロナウイルスの感染拡大により、朝食需要が高まっていると分析。20年4月に一部店舗でモーニングメニューの提供を開始した。朝食を提供することで、これまでびっくりドンキーを利用したことのない層を取り込む狙いもあった。
当初はトーストとコーヒーといったシンプルなメニューだったが、小さなハンバーグ・少な目のライス・サラダで構成される「ミニマムバーグディッシュ」や、ご飯・みそ汁・生卵の「卵かけご飯」など、ラインアップを拡充してきた。
シンプルに見える卵かけご飯だが、細部にこだわっている。例えば、ご飯と卵にかけるのはひき肉のうまみを感じるしょうゆベースのオリジナルソースになっている。これは、びっくりドンキーらしさを出すための工夫だ。
23年1月からは新モーニングメニューの「ドンキースペシャルブレックファスト」(880円)を投入した(一部店舗で価格が異なる、以下同)。プレーントースト、サラダ、マッシュポテト、ベーコン、ソーセージと卵料理(目玉焼きもしくはスクランブルエッグ)をワンプレートに盛り付けたもので、みそ汁・ドリンクを選択可能とした。従来のモーニングメニューと比べると、ホテルで提供されるようなボリュームと華やかさがあるのが特徴だ。
●「990円」朝食を発売
23年4月には「ドンキースペシャルブレックファスト(チーズトーストまたはポテサラトースト)」(990円)を発売。1月に発売したドンキーブレックファストと基本的には同じだが、トーストが豪華になっている。
これらのメニューは、ホテルの朝食でよくみられる「アメリカンブレックファスト」というスタイルを参考に開発した。朝からしっかり食べたい人のニーズに対応するのが狙いだった。
「どちらのメニューも、従来のトーストメニューより、ボリュームがある・栄養をしっかり取りたいというお客さまからご好評いただいています。お仕事終わりの方、朝からしっかり食べたい・いろいろと食べたいという方にご利用いただいている印象です」(広報担当者)
ドンキースペシャルブレックファスト(プレーントースト、チーズトースト、ポテサラトースト)の注文率は、モーニングメニュー注文数の10%を超えているという。内訳をみると、プレーントーストが60%で、チーズトースト・ポテサラトーストが40%だという。990円という価格設定でも、一定の支持を得ているようだ。
●支持されているモーニングメニューは?
ラインアップが充実してきたびっくりドンキーのモーニングメニューだが、どういったものが特に注文されているのか。
広報担当者によると、最も売れているのは「プレーントーストセット」「ミニマムバーグディッシュセット」(いずれも約20%)、次いで「チーズトーストセット」(約15%)となっている(集計期間は23年7月26日〜8月22日)。
モーニングメニューを利用する層は、店舗の立地や曜日によって異なるが、郊外だと「年配」「家族連れ」、都市部では「若者」「会社員」がそれぞれ多いようだ。
同社では施設などの都合でモーニング営業ができない店舗を除き、基本的に全店に朝食メニューを導入していく考えだ。現在の導入率は約7割だが、これをさらに引き上げたいとしている。
モーニングが充実しているチェーンとしては「コメダ珈琲店」などが有名だが、最近では大手牛丼チェーンやファストフードチェーンも注力している。背景には、高齢化の進展により、団塊の世代が定年を迎えていることがあるとの指摘もある(出所:ラーメンに250円定食 びっくりドンキー、幸楽苑、なか卯で進む「朝食革命」の正体)。
びっくりドンキーの朝食戦略はどこまで進化していくのか。