UQコミュニケーションズが運営する「UQ mobile」が、6月1日に新料金プランの「スマホプランR」を導入する。料金は2980円(税別、以下同)、データ容量は月10GBで、容量超過後も1Mbpsで通信できるのが特徴だ。あわせて同社は、夏モデルとなるミドルレンジスマートフォンを3機種発表した。新料金と新端末を投入する、UQ mobileの狙いを読み解いていきたい。

●狙いは楽天モバイル対抗、UN-LIMITの弱点を突いた「スマホプランR」

 UQ mobileは、2019年10月の電気通信事業法改正に合わせ、「スマホプランS」「スマホプランM」「スマホプランL」を導入していた。データ容量はそれぞれ3GB、9GB、14GBで、金額は1980円、2980円、3980円。3段構えの料金体系はソフトバンクのサブブランドであるY!mobileと同じだが、通話定額をオプションにすることで、基本料金は抑えられている。分離プランの義務化に合わせて料金を値下げしつつ、Y!mobileにも対抗した格好だ。

 6月1日には、この料金体系を整理。新たにスマホプランRを導入しつつ、同額で容量が少ないスマホプランMを廃止。同時に、大容量プランのスマホプランLも新規申し込みを停止し、料金プランはスマホプランSとスマホプランRの2本立てになる。冒頭で述べた通り、スマホプランの容量は10GBで、超過後も1Mbpsで通信できるのが特徴だ。

 スマホプランRを投入した狙いは、楽天モバイル対抗にある。UQコミュニケーションズの企画部門 事業企画部長の岩崎達行氏は、「楽天モバイルにどう対抗していくのかがテーマ」と語る。金額は同じ2980円に設定。容量超過後の速度も、1Mbpsに合わせた。データ容量は10GBで、使い放題を打ち出す楽天モバイルの「Rakuten UN-LIMIT」より少なく見えるが、「楽天モバイルは自前のエリアとローミングエリアで明確にスペックが違う」(同)のが弱点だ。岩崎氏は「ローミングは5GBが上限だが、われわれのプランはどこでも10GBをお約束できるサービス」と自信をのぞかせる。

 確かに、現状では楽天モバイルの自社回線は、東京23区や大阪市のような大都市圏に限定される。それ以外の地域に住むユーザーにとっては、月5GBのプランとほぼ同義になる。同額で、容量が倍になり、しかもエリアが広くなるというわけだ。生活圏がどこなのかによって見方は変わってくるが、大都市以外ではUQ mobileに軍配が上がる。

 しかも、UQ mobileには家族割引があり、家族で2回線以上契約すれば、1回線ごとに500円の割引を受けられる。「家族割もUQ mobileにしかない」と岩崎氏。家族で複数回線を契約するのが前提になるが、500円の割引を受けられるため、「ずっと2480円というのは、訴求として成り立つ」(同)と語る。もちろん、使い方や利用する場所によっては対抗しきれない側面もあるが、UQ mobileのスマホプランRは、楽天モバイルの弱点を巧みに突いたプランといえそうだ。

●対Y!mobileに「スマホプランS」も残す、サブブランド化も意識

 スマホプランRの導入に合わせ、同額で容量が1GB少なかったスマホプランMは廃止になる。スマホプランRは事実上、スマホプランMのアップグレード版といえるため、併存させる意味がないからだ。上位プランのスマホプランLも「データ容量が若干多いというのはあるが、スマホプランRは容量超過時の速度が1Mbpsで、サービスレベルは実質的にスマホプランLと大きく変わらない」(岩崎氏)という理由で、新規申し込みを終了させる。料金プランが2択になり、よりシンプルに選べるようになったといえる。

 UQ mobileの料金改定は、「楽天モバイルの料金が出てきたあたりから議論しているため、KDDIへの統合の件とはリンクしていなかった」(同)というが、ブランドごとのすみ分けも明確になる。

 auは、スマートフォン単体でのデータ容量が無制限になる「データMAX 4G LTE」(6月2日から提供開始)や「データMAX 5G」を主軸にしているため、メインブランドであるauと、サブブランドのUQ mobileの差を分かりやすくすることは、戦略的にも理にかなう。KDDIの高橋誠社長も5月14日の決算説明会で、「両ブランドの特色を生かし、ニーズにあった分かりやすい料金を提供していく」と、ブランドごとに料金を見直す可能性を示唆していた。

 スマホプランMとスマホプランLは廃止した一方で、1980円で月3GBまで利用できるスマホプランSは残している。スマホプランRに一本化しなかったのは、低容量のニーズを満たすためだ。同じサブブランドであるY!mobileと戦っていく上でも、最低料金のプランは必要になる。先に挙げたように、スマホプランは10分間の音声定額を省くことで料金をY!mobileより安価にしたが、その結果、10月以降は新規ユーザーの純増数が好調に増えているという。

 岩崎氏は「契約者数は1月に200万を突破したが、Y!mobileは500万という数字が出ていて、まだまだ差はある。ただ、2019年度下期に関しては加入者の増え方では十分戦えている。上期と下期では、対競合での結果が全く違う」と、2019年10月以降を振り返る。スマホプランRを導入し、料金プランをシンプルな2本柱にしたことで、この勢いに弾みをつけることができそうだ。

●コスパ重視のユーザーを狙った端末ラインアップ

 料金プランの改定と同時に、UQコミュニケーションズは、夏モデルとなるミドルレンジスマートフォン3機種も発表した。「UQ mobileの料金は、ユーザーに受け入れられているところがある。そういった方々がどのような商品を選ぶのかというと、やはりコストパフォーマンスが重要になる」(企画部門 事業開発部長 森重昭伸氏)ため、ラインアップはいずれもミドルレジンモデルだ。

 一口にミドルレンジといっても、「慣れ親しんだ日本メーカーがいいという方がいる一方で、コストパフォーマンスでは海外メーカーは見過ごすことができない」(同)とニーズは細分化している。こうしたトレンドを踏まえ、UQ mobileは日本メーカーの端末としてシャープの「AQUOS sense3 basic」を用意。一方の海外メーカー製端末は、OPPOの「OPPO Reno3 A」と、サムスン電子の「Galaxy A41」をそろえた。

 AQUOS sense 3 basicは、SIMロックフリースマートフォンとして好評を博している「AQUOS sense3」からおサイフケータイやデュアルカメラ、指紋センサーを省いた端末。価格は未公表だが、「リーズナブルに提供できる商品」(同)と位置付けている。UQ mobileはAQUOS sense3も販売しているが、こちらも取り扱いは継続する。日本メーカーのスマホを求めるユーザーに向けた、より安価なエントリーモデルがAQUOS sense3 basicといえそうだ。

 Reno3 AやGalaxy A41は、海外メーカー製の端末ながら、いずれもおサイフケータイや防水、防塵に(じん)対応する。Reno3 Aはクアッドカメラを搭載しており、「MNOで使っている機種から乗り換えてもそん色ないパフォーマンスを実現した」(同)という。対するGalaxy A41は、トリプルカメラを搭載しており、ディスプレイには有機ELを採用。指紋センサーはディスプレイ内部に組み込まれているなど、ミドルレンジモデルながら、トレンドの機能を盛り込んだ。

 Reno3 AはUQ mobileの独自モデルだが、AUOQS sense3 basicやGalaxy A41はauからも発売される。サービスはau PAYカードの取り扱いを開始。オープン化したau PAYも既に利用できる他、2019年12月にはauスマートパスプレミアムの取り扱いを開始するなど、上位レイヤーであるライフデザインサービスの共通化も進めている。10月に迫ったKDDIとの統合に向け、こうした動きはさらに加速しそうだ。