以前、NTTドコモがミリ波(28GHz帯)の5G通信サービスをした際に、当時唯一の対応端末であった「Wi-Fi STATION SH-52A」を使って通信テストを行ったことを覚えているでしょうか……?

 この時は、ミリ波が通信の高速化に貢献するのかどうか分からない結果に終わってしまいました。しかしその後、一部のスマホがソフトウェア更新によってミリ波に対応しました。

 そこで、今回はソフトウェア更新を行った「Galaxy Note20 Ultra 5G SC-53A」を使って、ミリ波の“実力”を確かめてみようと思います。

●ミリ波の対応機種はまだ少ない(おさらい)

 NTTドコモが販売する5G端末のうち、12月28日現在において以下の機種がミリ波通信に対応します。いずれも、ソフトウェア更新(一部はOSバージョンアップ)を行う必要があります。

・Wi-Fi STATION SH-52A

・arrows 5G F-51A

・Galaxy S20+ SC-52A

・Galaxy Note20 Ultra 5G SC-53A

 同日現在において、ドコモの5G端末は12機種(スマホは11機種)ありますが、その中でも4機種(スマホは3機種)だけがミリ波対応ということになります。

 ミリ波はSub-6(3.7GHz帯/4.5GHz帯)とは別のアンテナを搭載していないと使えません。そのため、ミリ波対応をうたっていない(≒ミリ波用アンテナを備えない)機種については今後もミリ波に対応することはできません。

 いよいよ5Gに対応したiPhone 12シリーズも、ミリ波に対応するのは米国向けモデルだけ。日本を含む他国向けモデルではSub-6にのみ対応します。

●下り1.7Gbps/上り284Mbpsを記録!

 ドコモのミリ波を使った5G通信サービスは、理論上は下り最大4.1Gbps、上り最大480Mbpsという通信速度を実現しています。ミリ波に対応することで実測ベースでどのくらいの差が出るのか、確かめてみましょう。

 今回用意したのは、ミリ波に対応するソフトウェア更新を適用したSC-53Aと、Android 11にバージョンアップした「Galaxy S20 5G SC-51A」です。SC-51Aはミリ波には対応しないものの、バージョンアップによって理論上の通信速度が下り最大3.4Gbps、上り最大218Mbpsに向上します。

 測定場所は、以前と同じく成田国際空港(千葉県成田市)の第3ターミナルのフードコート付近としました。計測アプリはドコモ純正の「ドコモスピードテスト」を使っています。

 結果は以下の通りです。

・SC-53A:下り1.68Gbps/上り140.9Mbps

・SC-51A:下り999.5Mbps/上り104.6Mbps

 ミリ波に対応しているSC-53Aの方が有意に高速であることが分かりました。非対応のSC-51Aも、モバイル通信としては高速であることには変わりありませんが、ミリ波に対応したスマホでミリ波エリアにいけば、ミリ波非対応スマホよりも通信が快適になることは間違いないようです。

●ドコモが「5Gギガホ」を改定へ “ずっと無制限”が魅力

 NTTドコモが2021年4月1日、5G通信サービスの新しい料金プラン「5Gギガホ プレミア」の提供を開始します。テザリングを含む国内データ通信量が無制限でありながらも、現在は新規契約/契約変更から6カ月間限定で実施している月額1000円の割引を恒久化し、月間通信量が3GB以下となった場合には自動で月額1500円を割り引く制度を導入するなど、見どころの多いプランです。

 現行の「5Gギガホ」も容量は無制限ではありますが、あくまでも“キャンペーン”であり、本来は月間100GBの容量制限があります。これが端末の種別を問わずに“いつでも”無制限になるということは、モバイルデータ通信との「付き合い方」の転換点になるといっても過言ではありません。

 例えば、自宅に固定インターネット回線を引いていない場合でも、5Gギガホ プレミアを契約した5Gルーターを1台用意すれば固定インターネット回線代わりに使えます。もちろん、5Gギガホ プレミアを契約したスマホでテザリングを有効化してルーター代わりに使っても大丈夫です。

 ただし「何でもかんでも制限なし」という訳ではなく、以下のような制限がかかる場合があります。

・通信が混雑している場合に、通信速度が低下したり接続しづらくなる

・当日を含めた直近3日間の通信量が多いと、他のユーザーより速度を抑制される

・一定時間内、あるいは1接続当たりの通信量がしきい値(非公表)に達した場合などに通信が切断される

 また、以下の通信には別途月間30GBの容量制限が設けられており、超過した場合は月内の通信速度が上下最大1Mbps程度に制限されます。

・5Gギガホ プレミア回線にひも付けた「5Gデータプラス」「データプラス」子回線でのデータ通信

・「パケットパック海外オプション」を使った海外でのデータ通信(自回線と子回線の両方)

 もっとも、筆者や編集担当者の経験上の話でしかありませんが、5Gギガホの無制限キャンペーンにおいて、「速度を遅くされた」とあからさまに分かるような通信速度制限を受けたことは一度もありません。また、5Gデータプラス/データプラス/パケットパック海外オプションにおける通信制限は国内における自回線のデータ通信には影響しないため、影響を受けそうな場面はかなり限られます。

 筆者はドコモ光も契約していますが、旅行や出張時に使うモバイルデータ回線として、5Gギガホ プレミアを活用する予定です。

●2021年は5Gエリアの広がりに期待

 ドコモは5Gの大容量プランにおける“国内完全無制限”にかじを切りました。

 これに対抗する形で、ソフトバンクは2021年3月から、現行の「メリハリプラン」を「メリハリ無制限」に改めます。国内における端末単体でのデータ通信を完全無制限としたことが現行プランとの違いですが、テザリングとデータシェア子回線での通信に月間30GBの容量制限があります。

 一方で、au(KDDIと沖縄セルラー電話)は国内における端末単体でのデータ通信容量の完全無制限化を果たしています。

 率直にいえば、auやソフトバンクの「端末単体時のみ無制限」は、ドコモの「テザリングを含めて無制限」を目の前にすると見劣りするのは否めません。とはいえ、楽天モバイルの「Rakuten UN-LIMIT V」を含めて(※)、大手キャリア各社が何らかの形で容量無制限なモバイルデータ通信を実現するに至ったことは、良い傾向といえます。

(※)1日当たり一定容量(筆者調べでは10GB)以上通信した場合、自社エリアの通信でも速度制限がかかります

 ただ、容量無制限な通信のメリットを最大限享受できるであろう、5G通信に対応するエリアは、まだまだ限定的です。「どこでも5G通信が使える」という状況ではありません。

 5Gの商用サービスは2020年3月(楽天モバイルは9月30日)にスタートしたばかりです。ある意味で現在は「助走期間」なのかもしれませんが、LTE(4G)のサービス開始時と比べると、マトモに使える(日常の利用に支障が出ない品質の)端末が多いだけに、エリアが狭い現状はもったいないものです。

 5Gエリアの拡大については、一部の地方自治体も後押ししています。例えば東京都の場合、東京都庁(東京都新宿区)の庁舎の一部にドコモ、au、ソフトバンクの5G通信サービスに対応する屋内アンテナを設置しました。合わせて、東京都の設備や施設を活用した屋外の5Gエリア化も促しています。

 総務省でも、従来から実施している「携帯電話等エリア整備事業」を通して特に過疎地や離島などにおける5Gエリアの拡大を支援している他、地方部への5G普及を後押しする検討を進めています。

 5G通信を利用できるエリアが早急に広がることを、強く強く願っています。