2020年は国内で5G(第5世代移動通信システム)がローンチされたエポックメイキングな年であった。一方で、筆者にとっては「コロナ禍」で外出頻度が“極端に”減った1年でもあった。

 企業に所属していないフリーランスのライターである筆者だが、記者会見などを現場で取材する頻度が減り、在宅勤務時間が大幅に増えた。その経験から働き方を見直すきっかけも得られた。

 この記事ではそんな2020年を振り返り、筆者がモバイル/PC回りで試行錯誤した3つの事柄について、読者の皆さんと共有したいと思う。

●スマホの料金プランを「段階制」に 節約できたがストレスも

 筆者にとって、2020年はモバイル通信に“消極的”な1年だったといえる。新型コロナウイルスの感染予防を図るべく自宅にこもるようになってから、通信は自宅のWi-Fi(無線LAN)がメインとなり、月に使用する通信量は平均で1GBを下回るようになった。

 仕事柄、会社に出社することもないので、新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく「緊急事態宣言」が解除された後も、基本は自宅で執筆業を営み、取材も9割以上をWeb会議ツールで済ませた。どうしても現場で実機を確認しなくてはならない取材や、機器を身に付けるなどした筆者自身が撮影されるタイアップ(広告)記事案件などでは、なるべく自動車を使って都内へと足を運んだ。

 ただ、何だかんだで東京の都心部に赴いた回数は、緊急事態宣言後では10回にも満たない。下手すると週5日出向いたこともあった去年(2019年)と比べると差は歴然だ。

 モバイルを取材するライターとして、メーカーからの貸出機を使って5G通信を試すこともあった。しかし、まだまともな恩恵は受けておらず、プライベートでは必要ないというのが本音である。生活圏内でも、5G通信を利用できるエリアはキャリアショップのみなので、「今年(2020年)は5Gを使わない」と対応端末の購入を見送った。

 そんなこともあり、少しでも携帯電話回線の維持費を節約しようと考えた。筆者のメイン回線はau(KDDI)で契約しているが、外出が減った早い段階で段階制の「ピタットプラン 4G LTE」(契約当時は「新ピタットプランN」)に切り替えた。それまで契約していたプランと比べると、料金は月額で2000円前後は安くなった。年間換算だと、1.5万円くらいの節約はできたのではなかろうか。

 しかし、月に1GBも利用していないのに、結局約3000円もかかっていると思うと、かえって価格に過敏になってしまい、不満を覚えるようになってしまった。実際、お留守番サービス(留守番電話)や、端末紛失補償などのオプションを含めると、毎月4000〜5000円を支払っている。サブ回線として使っているLINEモバイルの音声通話SIM(3GBプラン、月額1628円)の方が通信量も多いし安いという逆転現象が起きてしまっている。

 auのピタットプラン 4G LTEでは、月間の通信容量が1GBを超えると、料金が一気に1000円も上がってしまう。数回だが、わずか100MB超過して1000円余計に払った月もあった。悔しい気持ちになったものだ。

 気前が悪くてお恥ずかしい話ではあるが、今思えば、IIJmioがeSIM対応端末向けに用意している「データプラン ゼロ」などを活用して、通信量を少量継ぎ足ししていけばワンコイン分は安く抑えられたかもしれない。

 関連した失敗談としては、通信量節約のためにモバイルデータ通信をオフにすることが増えた結果、たまの外出時に急ぎの連絡を受信できなかったり、au PAYを使った決済に失敗したりということもあった。

 その後は、なるべくLINEモバイルのSIMカードを入れたサブ機でテザリングを活用したり、au PAYを使う時には、ピンポイントでモバイル通信をオンにしてから利用したりするなどの対策を行った。また、iPhoneでApple Payに取り込んだau PAYプリペイドカードを「QUICPay+」として使えば、モバイル通信がオフでも利用できると気が付いたので、近所のスーパーがQUICPayに対応してからは、こちらも活用するようにしている。

 「auから乗り換えればいいのでは?」という人もいるかもしれないが、そこまで考えなかったのは、au PAY プリペイドカードや「世界データ定額」「auじぶん銀行」といったたくさん利用していたためである。

 しかし、それでも今年はいろいろと悩むことが多かった。年明けにauから「20GBで3000円以下」のプランが発表されるのであれば、条件次第だが、前向きに検討したいのが本音である。どう考えても1GB未満で4000〜5000円ほど払っている現状よりは満足できるだろう。

●ペンタブレットと外付けSSDで不便さを解消

 在宅仕事が増えたことに伴い、業務上の不便を解消すべく、ノートPCと組み合わせて使う2つの周辺機器を新たに導入した。

Wacom Intuos(Medium)

 1つ目はワコム製のペンタブレット「Wacom Intuos」のMidiumサイズ(税込み直販価格2万1780円)を購入した。主にペーパーレスな作業環境を強化するためである。バッテリー持ちも非常によく、筆者が執筆で使っている「MacBook Pro(2018)」との連携もスムーズに行えたので、製品仕様に関しては概ね満足している。

 PDFファイルへの文字記入がこれで楽になる……と思いきや、macOS標準の「プレビュー」や「クイックルック」におけるPDFファイルへのマークアップ機能の仕様がイマイチでつまずいた。連続して線を書こうとすると、直前に書いた線をドラッグアンドドロップするような操作が起動してしまい、まともに文字が書けなかったのだ。英字の筆記体なら問題ないのかもしれないが、日本語を書くにはストレスフルである。

 もちろん、単に署名欄にサインするだけなら、「iPhoneを使って指でサイン」あるいは「iPadを使って指やApple Pencilでサイン」という方法もある。あらかじめ署名を登録しておくことで、それを呼び出して添付すれば、より手っ取り早い。そもそもペンタブを使う必要もないだろう。

 しかし、筆者は記事執筆だけではなく記事の編集を行う業務も請け負っている。誌面のPDFファイルに赤字で修正指示を書き込むこともある。こうした視点で、ペンタブとmacOS標準機能がうまく連携しなかったのは残念だった。

 筆者のような利用法をペンタブでカバーするには、実際には「GoodNotes」などのノートアプリを起動して、そこで線を書き込む必要がある。アプリ起動やデータ出力などの手間を挟む必要はあるが、ひとまずこれでペンタブレットを活用はできる。

 ただし、iPadを持っている場合、クイックルックからiPadと連携できる「マークアップ機能」を活用した方がユーザー体験としてはスムーズだろう。手書きのサインや、1ページ程度の簡単な校正作業ならば、あえてペンタブを使わずに、こうした機能を利用した方が楽だと思う。

 一方で、写真のレタッチ作業ではペンタブが大活躍している。「ライター」とはいいつつも、機器のレビューなどで写真は頻繁に撮影する。ペンタブを使うと、Adobe Photoshopを使った写真のレタッチを効率的に行えるようになった。これはありがたい。

 今年は在宅で機器をレビューする機会が増えた分、編集を求められる写真の枚数も増加した。この作業も、iPadで不可能かといえば、できなくもない。だが、MacBook Pro上で作業を完結させられるので、ひとまずペンタブを買ってよかったとは思っている。

Samsung T5(外付けSSD)

 もう1つ導入した機器は、外付けSSDである。購入時には複数の候補があったので悩んだが、結局サムスン電子の「Samsung T5」の1TBモデルを購入した。

 T5の接続インタフェースはUSB 3.1 Type-Cで、MacBook Proと接続しやすい。その上、、非常にコンパクトだったのが購入の決め手となった。最新かつ上位モデルである「Samsung T7」や、さらに機能を拡充した「Samsung T7 Touch」も選べたのだが、筆者の使用環境ではややオーバースペックなきらいもあったので、価格を抑える意味もあってT5を購入した次第である。

 外付けSSDが必要になった理由は、Web会議ツールを使った取材機会が増えたことにある。

 相手の話をキーボードでメモに取りながら、画面を保存する操作を行うのは思っている以上に難しい。そこで、相手の承諾を得られた場合には、デバイス上のキャプチャ機能を使って画面の映像を録画させてもらっている。しかし、これが意外とノートPCのストレージを圧迫しがちなのだ。

 もちろん録画データをクラウドストレージに保存するという選択肢もあるのだが、アップロードやダウンロードに時間がかかるのがストレスになりがちである。その点、外付けSSDに「避難」しておけば、素早くデータを移動できる。

 個人的にも、今年は余暇としてAdobe After Effectsなどの動画編集ツールで遊ぶようになった。作った動画素材の保存場所としても、外付けSSDを使えたことも良かった。

 関連したところでは、SSDの保護ケースも購入した。これに外付けSSDを収納しているのはもちろんなのだが、手持ちの端末や、レビュー用としてお借りしているスマホもまとめて収納できるので体へ重宝している。業務上、机の上がレビュー用端末でごっちゃごちゃになりがちなのだったものが、ここのケースを購入してからは安全かつ綺麗に保管ができるようになって満足している。

●音声操作をかなり利用するようになった

 最後に、記事の“執筆方法”が大きく変わったことも紹介しておきたい。在宅する時間が増え、回りの迷惑を気にせずに自室で作業ができるようになったこともあり、原稿でも音声入力を利用する頻度が増えたのだ。

 筆者が使っているMacBook Proのキーボードは米国英語(US)配列なのだが、右のCommandキーを2度押しすることで音声入力が有効になるようにカスタマイズしてある。例えば、インタビュー音源の文字起こしやメールの返信、原稿の下書きなどでは、手を使ったタイピングよりも、声の方がスムーズかつ楽に入力できることもある。筆者は末端冷え性がひどく、冬は指が動かなくなりがちなので、底冷えする冬季には音声入力が特に役立っている。

 もちろん、文字の入力(変換)精度にはまだ課題を感じる部分もある。しかし、それでも手を酷使する職業として、タイピング以外で仕事ができる選択肢があることを実感できたのは心強い。

 腱鞘炎のように手首が痛くなったような日でも、在宅勤務なら音声に有力を使って仕事ができるという点で、自分の働き方における自由度は増した。

 関連して、家電の操作も音声で済ませることが増えた。具体的には、比較的安価なプラススタイルの「スマートマルチリモコン」を活用し、アプリをカスタマイズすることで、Siriを使ってテレビ、エアコンや間接照明などを操作できるように設定している。例えば、家事をリビングをしながら「ヘイシリ、テレビ」と言えば、電源のオン/オフができるようなイメージだ。

 こうした生活環境の小さな改良も、長い在宅時間について考えさせられた2020年ならではの変化だったと思う。

 現在、オフィスに出勤する頻度は企業や職種によってさまざまだろう。フリーライターとして在宅で働けているのは、経済的なリスクはもちろん大きいが、恵まれている部分も多いと改めて感じている。

 読者の中には、会社員として長期の在宅勤務を経験し、働きづらさにうんざりしている方も多いかとは思うが、本稿の中で何か業務効率の改善や不満を解消するヒントになることがあればうれしい限りである。