KDDIが1月13日、3ブランドで新料金プランを発表した。1つが、オンライン専用の新料金ブランド「povo(ポヴォ)」。もう1つがauの大容量プラン「使い放題MAX4G」と「使い放題MAX5G」。そして、UQ mobileの料金プランもリニューアルする。

 ここでは、3ブランドの新料金プランについて、詳細を見ていこう。

●業界最安値を狙ったpovo

 povoは、月額2480円(税別、以下同)で20GBのデータ通信を利用できるプラン。同じくオンライン専用プラン(ブランド)として提供されるドコモの「ahamo」、ソフトバンクの「SoftBank on LINE(仮称)」の対抗プランに位置付けられるが、月額料金はahamoとSoftBank on LINEの2980円より500円安い。ただし、povoには5分かけ放題が含まれておらず、povoに5分かけ放題(500円)を加えると、月額2980円で横並びとなる。

 5分かけ放題をオプション扱いとした理由についてKDDIの高橋誠社長は、「スマートフォンを利用している20代以下の当社(au)のお客さまのうち、通話時間が月間10分未満の人が6割以上にいる」と説明する。インターネット通話で十分、音声通話はほとんど使わないというユーザーに対して、より安価なプランを提供することにした。高橋氏は「ベース料金は2480円、3キャリアで最安値を出していきたいと思った」と狙いを話す。

●トッピングには「ワクワク」

 povo最大の特徴といえるのが、データ通信や音声通話、各種サービスのオプションを追加できること。KDDIはこれを「トッピング」と呼んでいる。

 トッピングの第1弾として、200円で24時間データ通信が使い放題、月額500円で5分かけ放題、月額1500円でかけ放題を提供する。このトッピングは、日、週、月といった単位で付けたり外したりできる。例えば休日にNetflixで動画を視聴したければ、200円を支払うことで、その日だけは20GBのデータ容量を消費せずに動画を視聴できる。「ベースの20GBに加えてトッピングをうまく使えば、非常にお安い料金で利用できる」と高橋氏は自信を見せる。

 サービスやコンテンツと連携したトッピングメニューも追加していく予定。社内外からさまざまなアイデアが集まっているそうで、「2時間ドラマが見放題」「SNSが1日使い放題」「スポーツの試合が1日見放題」など、コンテンツプロバイダーとも連携していくようだ。「ドラマのシーズン1が始まるので、今月だけトッピングをする、といったことも検討したい」(高橋氏)

 povoは、オンライン携帯電話サービスを提供しているシンガポールのCircles Asia(Circles Life)との協業で実現したもので、トッピング機能もCircles Asiaの知見を生かしていく。「手軽に付けたり外したりできないと意味がないが、Circles Lifeはそこに長けている。ノウハウやUI(ユーザーインタフェース)を生かしながら、アプリで簡単にトッピングできるよう準備している」(高橋氏)

 トッピングサービスが拡充すれば、「auでも、同じようなことが可能になるかもしれない」と高橋氏。「トッピングというメニューには、非常にワクワクしている。どんどん成長させていきたい」と意気込んだ。

 このように、povoは通話定額をオプション扱いとすることで3キャリアの20GBプランで業界最安値を実現し、トッピングを加えることで差別化を図ることにも成功した、といえる。

 「ドコモがahamoを出されて、社内では非常に盛り上がった。NTTさんとどうやって戦っていくのかはわれわれの歴史。単純に料金を合わせるのではなく、2480円という最安値を付けて、その上でトッピングという、いろいろなアイデアを注入できるようなプランに仕立て上げたので、ワクワクしている」(高橋氏)

 povoという名称は、「point of view(視点)」と、ラテン語で「卵から」「最初から」を意味する「ab ovo」から取っており、「新たな視点による、成長するサービス」という意味を込めたという。

●MVNOではなくKDDIがサービスを提供

 povoは当初、KDDIが2020年10月に設立した子会社「KDDI Digital Life」がMVNOとして提供することを想定していたが、ahamoやSoftBank on LINEの動きに対抗すべく、方針を変更。KDDIが自ら提供することで、auと同等のネットワーク品質を担保する。そのため、プラン名には「povo on au」とauのブランド名をあえて付け足している。なお、KDDI Digital Lifeは引き続きpovo全体のUXを設計、実現する役割を担っていく。

●キャリアメールやテザリングは?

 povoの注意点として、キャリアメールが利用できないことが挙げられる。「オンライン専用プランを作っていく中で、あまりニーズのないものは提供しないことで、コストを下げていく」と、次世代ビジネス企画部長の長谷川渉氏は説明する。

 ちなみに、テザリングと国際ローミングもトッピング扱いになるのだろうか? まずテザリングにオプション料金は発生せず、20GBの中で利用できる。また、24時間使い放題のトッピングには、テザリングでの利用も含まれる。国際ローミングについては検討中としている。

●大容量プランはソフトバンクと同額、既存セットプランも値下げに

 4Gと5G向けの大容量プランにも手を加え、新料金プランとして使い放題MAX4Gと使い放題MAX5Gを3月から提供する。4Gと5Gいずれも月額6580円で、「データMAX 4G」からは1070円の値下げ、「データMAX 5G」からは2070円の値下げとなる。月額6580円は、ソフトバンクが3月から提供予定の「メリハリ無制限」と同額だ。ドコモが4月から提供予定の「5Gギガホ プレミア」よりは70円安い。

 KDDIはNetflixやAmazonプライムなど、コンテンツやサービスをセットにしたプランも多く提供しているが、今回、データMAXを値下げしたことで、「OTT(サービス提供者)さんとのセット料金も、見直しの必要があると思っている」と高橋氏は話し、既存プランの値下げも示唆した。詳細はデータMAX 5G/4Gを提供する3月に発表する予定。値下げの中身については「使い放題MAXをベースに、パートナーと話しながら決めていきたい」(長谷川氏)とした。

 なお、小容量プランの「ピタットプラン」については、現時点で値下げは予定していない。

 2020年12月に発表したAmazonプライムとのセットプランについて、高橋氏は「出し方やタイミングがよくなったかので、お客さんからはお叱りの言葉もたくさんいただいたが、実は順調に売れている」と話した。

●500円値下げして5Gにも対応させたUQ mobile

 高橋氏が「最後まで悩んだ」と言うほど踏み込んで改定したのがUQ mobileだ。「くりこしプラン」は、月額1480円で3GBの「くりこしプランS」、月額1480円で15GBの「くりこしプランM」、月額3480円で25GBの「くりこしプランL」を用意。現在提供している「スマホプラン」から500円値下げしつつ、くりこしプランM/Lは、スマホプランR/Vから5GBを増量している。

 この料金は、Y!mobileが2021年2月から提供する新料金プランよりも300円〜500円安く、くりこしプランM/Lはデータ容量もY!mobileの競合プランより5GB多い。Y!mobileがさらに対抗して値下げをするかも注目といえる。

 そして2021年夏にはUQ mobileも5Gに対応させる。KDDIはマルチブランド戦略を展開するにあたり、当初はUQ mobileは4G、auは5Gですみ分けを図る考えだったが、ahamoとSoftBank on LINEも5Gに対応することから、こちらも方針を変更した。またKDDIでは、より多くのユーザーに5Gを届けるよう「みんな5G」というコンセプトを掲げている。「みんなの5Gと言っている以上、全ての方式(ブランド)で5Gに対応した方が、5Gを浸透させるためには分かりやすいと社内でも議論した」と高橋氏は経緯を説明する。

●ブランド乗り換え時の手数料は無料

 KDDIは2021年2月以降、auとUQ mobileの乗り換え時に発生する各種手数料を撤廃する予定だが、これにはpovoにも含まれる。つまりau、povo、UQ mobileの3ブランド間での乗り換えに伴う手数料は発生しない。