NTT持株とNTTドコモが2月5日、2020年度第3四半期の決算会見を開催した。ドコモは2020年12月にNTT持株の完全子会社になったことに伴い上場廃止し、今後の決算会見はNTTと同時で開催する。

 第3四半期におけるドコモの営業収益は、前年同期比29億円減となる3兆5131億円、営業利益は前年同期比339億円増となる8218億円で、減収増益となった。通信事業を見ると、営業収益は前年同期比707億円減の2兆7352億円、営業利益は前年同期比74億円減の6440億円で減収減益だったが、スマートライフ領域は増収増益となった。

【訂正:2021年2月6日7時15分 初出時、営業収益に誤りがありました。おわびして訂正致します】

 ドコモの井伊基之社長は通信事業について「新料金プラン『ギガホ』『ギガライト』のお客さま還元影響や、販売方法の見直し、コロナの影響による販売関連収入や国際ローミング収入の減があったが、ドコモ光やスマートライフ事業拡大が着実な成果を上げており、営業収益は対前年では微減だが、ほぼ横ばい」と振り返る。

 ARPUについてはモバイル分は第2四半期から横ばいだが、ドコモ光分が第2四半期から20円増となり、月々サポートやdocomo withなどの端末割引が減ったことで、ここ1年では最も高い4920円となった。

 dポイントクラブ会員は第3四半期時点で7967万に達し、間もなく8000万を超える見通し。5G契約数は2月4日時点で185万に達し、「年度末目標の250万に向かって順調に進捗(しんちょく)している」(井伊氏)とした。

●ahamoの事前エントリー、「こんなに申し込みがあるとは」

 新料金プラン「ahamo」や、22歳以下を対象とした「学割」の効果で、「12月以降、MNPはプラスに転じている」と井伊氏。ahamoはまだ提供されていないが、先んじて発表したことで、ドコモからの流出を抑えることができたようだ。加えて、現在提供しているギガホとギガライトのポートインが伸びているという。「10月に量販店やドコモショップでギガホとギガライトの販売促進を強化した」(井伊氏)

 既存プランの営業強化とahamoの発表が相乗効果となり、12月と1月にMNPがプラスに転じた。「年代で言うと、20〜30代若手が当社を選んでくれている」そうで、ahamoがスタートすれば、コアターゲットである若年層のさらなる増加が期待される。加えて、3Gからのマイグレーションで、他社に流出していた分が戻ってきていることも貢献したようだ。なお、ドコモがMNPで転入超過となるのは2009年1月以来、12年ぶりとなる。

 提供開始日が3月26日に決定したahamoは、2月5日時点で事前のエントリーが100万を突破した。この数字はドコモ側も想定外だったそうで、「こんなに申し込みがあるとは思っていなかった。年間で100万契約行ったらいいかなと思っていた」と井伊氏は正直に話す。

 「エントリーなので最終的にどれだけ契約するかは分からないが、他社が料金プランを発表した後でも順調に伸びているところを見ると、ahamoの魅力は失われていないのかなと。プランだけでなく、つながりやすさや速度もドコモの強み。このペース以上に申し込んでいただけるのでは」と期待を寄せた。ahamo申込者のうち、ほぼ半分が20〜30代でこれは「想定通り」(井伊氏)。ドコモユーザー全体と比べて、20〜30代の比率は倍ほどだという。

●負けているものは撤退も含めた方針でやっていく

 ahamoの提供や料金プランの値下げが収支に与える影響は大きいが、井伊氏は「マイナスだけでなく、MNPがプラスになればユーザーのベースが増えていく」とプラスの面も強調する。それでも「トータルでは減収影響は出ると思っている」ものの、金融サービスを中心に非通信の分野を伸ばしていく考え。

 dカードやd払いは順調に会員や店舗が増えているとはいえ、「まだ強化する余地が残っている。加盟店が増えていても、利用回数で負けている」と井伊氏。金融商品については「パートナーと一緒に進めていく方針で考えている」とした。

 これに加えて、営業販売コストやネットワーク投資コストなどを切り詰めて利益を確保するとした。「早期に減収影響をなくしてプラスに転じていきたい」(井伊氏)

 dデリバリーは2021年5月でサービス終了となるが、井伊氏は「負けているものは撤退も含めた方針でやっていく」とその背景を話す。非通信分野はパートナーとの協業が重要になるが、「他力本願でやっても負けてしまう」と難しいかじ取りを求められていることをうかがわせた。

●NTTコミュニケーションズ子会社化の影響は?

 12月に総務省が開催した「公正競争確保の在り方に関する検討会議」では、NTTコミュニケーションズが2021年夏頃にドコモの子会社になることが明かされた。この動きが検討会のテーマにもなっている公正競争の観点から問題ないのかについて、NTTの澤田純社長は「基本的に、NTT東西とドコモ、NTTコミュニケーションズの間の公正競争条件は今も担保できていると考えている。そこは順守していく」と述べた。

 ドコモはNTTコムを傘下にすることで、法人事業を強化していく考え。井伊氏は「ドコモとコムが有しているユーザー企業やサービスをどう連携するかを協議している」と現状を話す。R&Dについては「持株で基礎基盤研究を進めているので、ドコモでは実用化してサービスに落とし込むことを検討している」と同氏。ネットワークについては「ドコモのモバイルネットワークとコムの固定ネットワークを融合させ、どうコストダウンを図り効率的に投資していくかを議論している」とした。