2020年末から、携帯電話キャリアが相次いで新しい料金プラン(料金ブランド)を発表しています。2021年2月からはUQ mobile、Y!mobileが新料金プランの受付を開始し、3月には大手キャリアのオンライン専用プランが相次いでサービスを開始します。

 新しいプランに共通する特徴は、従来プランと比べると値引き前の月額料金が“値下げ”されている点にあります。とはいえ、これだけ一気にプラン改定が入ると「どのプラン(キャリア)がいいのか分からない」という悩みも抱えがちです。

 これからの季節は「春商戦」と呼ばれるように、進級や就職に合わせて携帯電話を購入する人が増えます。それに合わせて料金プランの見直しをしようという人も少なくありません。

 そこでこの記事では、各社の新しい料金プランについて使い方に合わせてお勧めのものを紹介していきます。プラン(キャリア)を選ぶ上で参考になれば幸いです。なお、記事中の料金は、特記のない限り各種割引を行う前の税込みで、計算しています。

●データ通信をあまり使わないなら「格安ブランド」

 毎月使うデータ通信量が少ない人には、大手キャリアの「格安(サブ)ブランド」の新料金プランがお勧めです。

 Y!mobileの「シンプルS」は月額2178円、UQ mobileの「くりこしプランS」なら1628円で毎月3GBの高速データ通信を利用できます。SNSやLINEなど、テキスト主体のコミュニケーションやWebブラウジングが中心ならこれで十分です。両プラン共に、月間データ容量を使い切った場合は上下最大300kbpsの通信速度制限がかかりますが、先に挙げた使い方であればストレスを感じる場面も少ないはずです。

 両プランは子どもに持たせるスマートフォンのプランとしてもお勧めです。先の速度制限下でも音楽ストリーミングサービスの多くは問題なく使えますし、画質こそ落ちてしまいますが動画も視聴できます。「進級や進学を機にスマホを」という場合にもピッタリです。

●旧プランからの切り替えなら「オンライン専用プラン」

 昨今の新料金プランラッシュの中で、特に注目を集めているのが大手キャリアのオンライン専用プランです。ソフトバンクが「LINEMO(ラインモ)」を3月17日から提供するのを皮切りに、au(KDDIと沖縄セルラー電話)は3月23日から「povo(ポヴォ)」を、NTTドコモは3月26日から「ahamo(アハモ)」を提供します。

 呼び方からも分かる通り、オンライン専用プランは契約手続きやサポートをオンラインでのみ受け付けます。そのため、自宅や職場、学校の近くにあるキャリアショップや家電量販店、携帯電話販売店では一切の手続きを受け付けません。その代わり、オンライン専用プランは「月間データ容量20GBで月額3000円未満」という従来の大手キャリアプランにはない手頃さがあります。

 大手キャリアのオンライン専用プランは20〜30代をターゲットに据えている……のですが、年齢から離れて誰にお勧めなのか考えてみましょう。

ケース1:ドコモの20GB旧プランを契約している場合

 まず、2年ほど前に提供されていた、20GBプランを使っている人は、オンライン専用プランを真っ先に検討すべきです。ドコモの「シンプルプラン」に「ウルトラデータLパック」を組み合わせたものと、ahamoの料金を比べてみると、月額で4730円の差が生じます。1年間に換算すると、ahamoにするだけで5万6760円も出費を抑えられるのです。

 以前の料金プランは「端末購入を条件に月額通信料金を割り引く」という形態の端末購入補助を適用できました。この補助が効いていると仮定すると、オンライン専用プランに移行するとむしろ割高というケースもあり得ます。

 しかし、このようなプランは既に提供を終了しており、終了ギリギリで補助を適用した場合であっても、それの有効期限は近々満了するはずです。そのような人は、新プランに移行することで、容量的な意味での使い勝手を維持しながらも節約を図れます。

ケース2:au/UQ mobileの中容量旧プランを契約している場合

 10GB前後のデータ容量のプランでも、オンライン専用プランに移行した方が有利なケースもあります。auが2019年9月30日をもって提供を終了した「auフラットプラン7プラス」と、UQ mobileがくりこしプランと入れ替える形で提供を終了した「スマホプランR」と、auのオンライン専用プランであるpovoを比べてみましょう。

 auフラットプラン7プラスは、月間7GBのデータ通信容量と一部SNSのデータ定額込みで税込み月額6028円です。一方で、スマホプランRは月間10GBのデータ通信容量込みで税込み3278円です。それに対して、povoは税込み月額2728円となります。

 フラットプラン7プラスとpovoを比べると、月額で3300円の差、年額換算で3万9600円の差があります。フラットプラン7プラスには一部SNSのデータ定額があるとはいえ、よほどのことがない限り、SNSのデータ通信量はプラン変更によって増加する13GBの容量で賄えるはずです。

 スマホプランRからpovoへの移行では、月額で550円の差、年額換算で6600円の差なので、節約効果は少なめですが、移行することで月間データ通信容量が2倍に増えます(10GB→20GB)。

 今まで10GB前後の容量のプランで「月末まで容量が足りるかな?」と試行錯誤して使っていたユーザーであれば、オンライン専用ブランドに移行することでストレスを大きく軽減できるはずです。

●「無制限プラン」はより分かりやすく値下げ

 5G(第5世代移動通信システム)のサービス開始に前後して、大手キャリアは超大容量プラン、端末単体なら「データ容量無制限」なプラン、特定の動画やSNSサービスに関する通信なら容量無制限なプランを打ち出しました。

 さらに、先述の料金見直しに伴い、各キャリアは2〜4月にかけて国内の月間データ容量を無制限とするプランを取りそろえることになりました。ドコモなら「5Gギガホ プレミア(4月1日提供開始)、auなら「使い放題 MAX」シリーズ(提供開始済み)、ソフトバンクなら「メリハリ無制限」(3月17日提供開始)、楽天モバイルなら「Rakuten UN-LIMIT V」(4月1日以降は「Rakuten UN-LIMIT VI」)がそれに当たります。ドコモと楽天モバイル以外には「端末単体」という制限こそありますが、月間容量を気にせず使える時代がやってきたわけです。

 このような「無制限プラン」は、スマホでたくさんデータ通信をする人にこそ最適です。通信容量を気にしたり、速度制限に悩んだりすることがないということは、何物にも代えがたいメリットです。

 ただ、割引前で6000円を超えるの月額料金は、オンライン専用プランの料金を見た後では“割高感”は否めません。ただし、無制限プランは家族(複数回線)割引やインターネット(固定)回線とのセット割引を適用できます。割引をフルに適用することで、割高感も和らぎます。無制限プランを使いたい人は、家族の利用状況やインターネット回線の契約内容も合わせて確認するようにしましょう。

 ……とはいえ、具体的にどのくらいの月額料金になるのか試算してみないことにはお得かどうかは分かりません。「全員がソフトバンクを使っている家族3人」を例にして、メリハリ無制限を維持する場合の“最安値”を検討してみましょう(学割は考慮しません)。

 まず、データ通信を盛んに使う1人はメリハリ無制限(月額7238円)を、それほどデータ通信を使わない2人は「ミニフィットプラン」(月額3278円から)を契約します。両親のデータ通信容量が1GB以下となる場合、単純合算した月額料金は1万3794円となります。

 この3人の回線を家族回線としてひも付けると、メリハリ無制限の回線に「新みんな家族割」が適用できます。ミニフィットプランは割引対象外ですが、新みんな家族割のカウントには参入されます。従って、この例では税別で月額1100円(税込みで1210円)が割り引かれます。

 さらに、この家族の誰かが「SoftBank 光」または「SoftBank Air」を契約している場合、全回線に「おうち割 光セット」を適用できます。おうち割 光セットは月額料金が1回線当たり税別1000円(税込み1100円)割り引かれます。従って、この家族の場合は税別で月額3000円(税込みで3300円)が割り引かれます。

 総合すると、この家族が支払う税込みの月額料金は、1万3794円−4510円=9284円となります。インターネット回線の料金が別途掛かるという点には気を付けないといけませんが、「自宅にインターネット回線を引いているが、外出先でも多くデータ通信をする」という人は、家族割引やセット割引は“有効”です。

 ただ、データ通信を使わない2人が1GB以上通信する場合は料金ステップが上がってしまい、それほどの割安感がなくなります。そこで、両親の回線をY!mobileの「シンプルS」(月額2178円)にして改めて試算してみましょう。シンプルSは月間3GBまで高速通信ができるプランです。

 まず、家族内でブランドが分かれるため、新みんな家族割を適用できなくなります。その代わり、データ通信をあまりしない2人はY!mobileブランドにおける「家族割引サービス」を適用できます。家族割引サービスは2回線目以降9回線目までの月額料金を税別1080円(税込みで1188円)割り引きます。よって、この試算では2人のどちらかの月額料金が税別1080円(税込み1188円)引きとなります。

 おうち割 光セットはY!mobileブランドのプランにも適用可能で、シンプルSでは税別月額1080円(税込み1188円)の割引を受けられます。ただし家族割引サービスとは重畳適用できません。そのため、メリハリ無制限回線におうち割 光セットを適用することとします。

 すると、この家族が支払う税込みの月額料金は、1万1594円−2288円=9306円となります。先ほどの試算と比べると、月額58円値上がりしますが、それでデータ通信をあまりしない2人はそれぞれ月間2GB(合計4GB)高速通信できる容量が増えます。

 このように、使い方に応じて家族内でブランドを分けた方が利便性が向上することもあるので、しっかりとした試算は欠かせません。パッと見だけで判断するのは避けたい所です。

●データ通信量が月によってまばらなら「楽天モバイル」や「povo」

 ここまで紹介してきたプランの選び方は、使う月間データ容量がある程度決まっている場合のものです。中には、月によって使うデータ容量が大きく変わるという人もいるはずです。筆者も過去に「あまり外出して使わないから」と容量の少ないプランにしたら、想定以上に外出が増えて速度が落ちる……という経験をしたことがあります。

 このように、月々の通信容量がまばらになる場合は段階制プランにしておくと無駄な出費がなく、容量がかさんだ場合でも、ある程度までは追加データ量を購入するよりも出費を抑えられます。

 とりわけ、エリアが限られるという“弱点”はあるものの、楽天モバイルの「Rakuten UN-LIMIT VI」は月額料金の上限(3278円)に到達すると自社エリア内の月間通信容量が無制限となるので安心感が高めです。あまり通信しなかった場合でも3GBまでなら月額1078円、20GBまでなら2178円と、大手キャリアのオンライン専用プランよりも手頃に使えます。1人当たり1契約限りではありますが、1GB以下なら月額無料であることも強みです。

 ただし、先述の通り月間通信容量の無制限は自社エリア限定です。au(KDDIと沖縄セルラー電話)のローミングエリアにおける通信には月間5GBの容量制限があるので、契約する前によく使う場所が自社エリアかどうかをしっかりと調べておきましょう。

 自宅が楽天モバイルの圏外という場合は、auのpovo(月額2728円)で「データ使い放題24時間」トッピングを使うという手もあります。その名の通り、このトッピングは購入から24時間のデータ通信容量が無制限となるというもので、1回220円で購入可能です。容量追加のトッピング(1GB当たり550円)よりも手頃なことも魅力といえます。

 「これからたくさん動画を見るぞ!」という時、あるいは「仕事の資料を大量にダウンロードしないといけない」という時に、視聴/ダウンロードを始める前にデータ使い放題24時間を購入すれば、月間20GBの容量を消費せずに済みます。たくさん通信するのが一時的だと分かりきっている人にもお勧めです。

 ただし、データ使い放題24時間の利用中はネットワークの混雑時、動画/クラウドゲームなどの利用時に通信速度が通常よりも遅くなる場合があります。この点には気を付けたいです。

 「データ容量不足や速度制限を避けるために、わざわざ大容量プランを契約するのはもったいない」と感じる人は、Rakuten UN-LIMIT VIやpovoのトッピングを検討するといいでしょう。

●料金プランの選択は「データ通信容量」から考えると“吉”

 大手キャリアが打ち出した新料金プランの多くは、従来よりも月間のデータ通信容量が増えつつも、月額料金を値下げしています。そのため、よほどのことがなければ現在と同等のプランか少し大容量のプランに変えるだけで毎月の出費を抑えられます。

 2021年春以降に機種変更を検討しているという人の多くは、新規申し込みの受け付けを終了した旧プランを契約していると思われます。機種変更をするなら、ぜひここ半年から1年のデータ通信容量をチェックしてみてください。プランを変えるだけで、おトクになるかもしれません。