2021年5月27日、OPPOは中国でミドルハイレンジモデル「Reno」シリーズの最新機種、「Reno6」シリーズ3モデルを発表した。中国市場でVivoと激しくシェア1位を争うOPPOはRenoシリーズの展開を強化している。

 中国のスマートフォン市場は、Huaweiが米国政府の制裁による失速とHonor分社化によりシェア1位から脱落し、代わってVivoとOPPOが上昇。2021年第1四半期のシェアはVivoが24%、OPPOが23%となり、3位以下グループに差をつけている(Canalys調査)。2020年比でみるとVivoは79%、OPPOは65%、また3位Xiaomiは75%と大幅な伸びを示した。

●OPPOは「Find X」「Reno」「A」シリーズに注力

 Huaweiが新製品を思うように出せない中、OVX(OPPO、Vivo、Xiaomi)は次々と新製品を投入している。製品のシリーズ展開も増えており、Vivoは「X」「Y」「S」「iQOO」「iQOO Z」「iQOO U」、Xiaomiは「Mi」「Mi MIX」「Redmi」「Redmi Note」「Redmi K」「BlackShark」(傘下ブランド)と複数のラインアップを有している。

 一方、OPPOは高性能、フラグシップの「Find X」シリーズ、ミドルハイレンジの「Reno」シリーズ、普及価格帯の「A」シリーズの3つを中心に製品展開しており、VivoやXiaomiよりも分かりやすい。なお、OPPOにはAceシリーズもあるが、新製品はしばらく出ておらず、Kシリーズはゲーミングモデルとして生まれ変わったが、最新モデルはまだ1機種のみだ。

 OPPO日本法人のオウガ・ジャパンは、日本でも5月25日に「Find X3 Pro」「Reno5 A」「A54 5G」を発表しており、この3本柱戦略は中国のみならず世界各国で展開されている。OPPOはやみくもに製品ブランドを増やすのではなく、3つのラインアップをじっくりと展開し、それぞれのブランド認知度を高める戦略をとっているようだ。

 その中でも旗艦モデルとなるのがRenoシリーズだ。スマートフォンメーカーの顔となる製品は、Samsungなら「Galaxy S」「Galaxy Note」シリーズのようなハイスペック・上位モデルである。しかしOPPOはFind XシリーズよりもミドルハイレンジのRenoシリーズを自社の中心製品として展開しており、そこから「より高性能なFind X」「手ごろなA」と、消費者を自社の他製品へ興味を引かせようとしている。

 Renoシリーズは価格が3000元弱から4000元台、日本円で約5万円から7万円程度だ。決して「格安」ではないものの、価格勝負ではなく「Renoブランド」「性能」「本体デザイン」で他社品との差別化を図っている。

 2019年4月に「Reno」「Reno 10x Zoom」が発表された。今から約2年前のことだ。その後、1年間に2〜3機種のモデルチェンジを重ね、製品バリエーションも増やしていった。またグローバル市場にはローカライズも行い、日本でも「Reno A」など独自モデルも投入されている。Reno 10x Zoomはカメラが扇形にポップアップするというギミックを搭載したことでも話題となったが、その後のRenoシリーズはダイヤモンドカットで本体背面を仕上げた「Reno Grow」を採用するなど、本体デザインの美しさを特徴の1つにしている。もちろんカメラ性能も定評があり、インカメラも3200万画素と高画素だ。

●従来シリーズから大きな変化のないReno6

 Reno6シリーズはその名の通り、Renoの6世代目のモデルとなる。前モデル「Reno5」シリーズが発表されたのは2020年12月10日、さらにその前のモデル「Reno4」シリーズは2020年6月5日だった。しかし本体の基本デザインはReno4、Reno5、Reno6と大きな変化はない。「Reno Glowの美しいボディーに、縦に並んだ3つの大型カメラ」をRenoシリーズの外観の特徴とし、他社との差別化を図ろうとしている。

 モデルチェンジが1年おきなら、本体デザインも毎年変えてイメージチェンジを図るべきだろう。しかし現在のRenoシリーズは半年おきに機能面のブラッシュアップをするにとどめ、外観はあまり変えていない。これはAppleのiPhoneシリーズが本体デザインの変更を2年おきとしていた戦略に通じるところがあるだろうか。

 Reno6シリーズは「Reno6 Pro+」「Reno6 Pro」「Reno6」の3種類がそろっており、それぞれ「Reno5 Pro+」「Reno5 Pro」「Reno5」の後継機となる。主な変更点はプロセッサで、「Pro+」モデルはSnapdragon 865→Snapdragon 870 5G、「Pro」モデルはDimensity 1000+→Dimensity 1200、無印モデルはSnapragon 765G→Dimensity 900にアップデートされた。なお、Reno6はDimensity 900を搭載する世界初のモデルとなる。カメラ性能はReno6シリーズとReno5シリーズでほぼ変わらない。

 スマートフォン向けのプロセッサはこれまではモデルチェンジが1年に1回程度だったが、今では年に数回のモデルチェンジや派生モデルの投入も珍しくなくなった。そのモデルチェンジに合わせるように、中国メーカーは機動力の高さで最新モデルを次々と投入しているのだ。Reno6シリーズはReno5シリーズと比べ外観やカメラスペックなどに大きな差がないのはそのためだ。

●プロセッサの出荷量でMediaTekがQualcommを抜く

 Counterpointの調査によると、2020年のスマートフォン向けプロセッサの出荷量でMediaTekがQualcommを初めて抜き去り1位となった。MediaTekは5G対応プロセッサでQualcommのシェア30%に対して28%と2位ながらも肉薄しており、前年からほぼシェアを倍増させている。MediaTekは5G向けプロセッサ「Dimensity」シリーズを立て続けに投入しており、Qualcommも負けじと「Snapdragon」シリーズを次々と発表している。

 OPPOが1年間でRenoシリーズを2世代もグレードアップしたのは、このようにチップメーカーが次々と新しいプロセッサを出すことに対応してのことだ。これは他のメーカーも同様であり、中国ではほぼ毎週のように新製品が発表されている。しかし次々と出てくる新製品が消費者に混乱を招いていることは否めない。だがVivoやXiaomiが物量で攻める中、OPPOは「Reno、そしてFind XとA」というぶれない戦略で攻めている。中国市場でのOPPOの成功はスピード感ある新製品展開だけではなく、ブランド重視で新製品を投入していった結果でもあるのだ。