カメラファンがみな注目しているシャープの「AQUOS R6」。何しろドイツが誇る老舗カメラ・レンズブランドのライカ(Leica)とコラボしたのである。

 フィルム時代からのレンジファインダーカメラをデジタル化した「LEICA M」シリーズは(高価だけれども)人気だし、パナソニックやシグマが採用しているミラーレス一眼用のLマウントもライカが開発したマウントだし、スマホの世界にも早くから飛び込んでいて、Huaweiはライカブランドのレンズを搭載してカメラ性能がぐっと上がったし、パナソニックもライカブランドのレンズ(もともとデジタルカメラで協業している)を搭載した「LUMIX DMC-CM1」を出していた。

 まあそんな世界的な信頼と実績と老舗のブランドのライカが今度はシャープと手を組んだのである。カメラ好きの間で話題にならないわけがない。しかもハイエンドコンデジと同じ「1型」の大きなセンサーを搭載しているのだ。

 ここで大事なのは、AQUOS R6はライカかAQUOSか、ってこと。分かりやすく言えば「AQUOSの顔をしたハイエンドコンデジ」なのか「ハイエンドコンデジ並の画質を持つAQUOS」なのかと言い換えてもいい。最初に言っておくと、これは後者である。あくまでもAQUOSだ。

●1型センサーの威力はいかに

 R6はシングルカメラのハイエンド端末。多くのメーカーは「そこそこの画質のカメラを3つ搭載する」のに対し、AQUOS R6は「超高画質なカメラを1つだけ搭載する」方を選択したのが特徴だ。それが2020万画素の1型センサー。ハイエンドコンデジの代表的モデル、ソニーのRX100やパナソニックのTX2、キヤノンのPowershot G7Xなどで採用されているサイズだ。

 そのため、一般的なスマホのカメラと違う点がいくつかある。1つはセンサーサイズ。小さなものは1/3型、大きくて1/1.12型とバラツキがあるが、取りあえず1型が一番大きい。この1型って何のサイズ? と言われると歴史的経緯がいろいろあってややこしいが、大ざっぱに「対角線の長さ」と思っていい。画素数の割にセンサーサイズが大きいと1画素あたりの面積が大きくなるので、その分光を多く捉えることができる。それが大型センサーのメリットだ。

 もう1つはアスペクト比。スマホのカメラはどれも「4:3」。それに対してAQUOS R6のセンサーは「3:2」とちょっと横長だ。APS-Cサイズやフルサイズのデジタル一眼と同じアスペクト比であり、35mmフィルム時代のアスペクト比と同じ。だから一般的なスマホのカメラに比べてちょっと横長(縦位置で撮るときは縦長)に写る。

 設定で16:9や4:3にすることもできるけど、センサーのアスペクト比は3:2なのだ。

 レンズは薄型ながら超広角の19mm相当でF1.9と明るいもの。ライカの「SUMMICRON」(ズミクロン)ブランドとなっている。

 さらに暗所でのAFを高速化するToFも搭載している。

 ではカメラアプリを起動する。アプリのデザインは従来のAQUOSと同じだ。起動すると、ズームボタンが「人の全身アイコン」。画角的には24mm相当になる。これがAQUOS R6でいう「1x」だ。レンズは19mmなのに、1xが24mmとはこれいかに。

 カメラ脳的には「え、19mm相当のレンズなのだから、それが1xになるんじゃないの?」となるところだが、一般的にカメラって起動したときの状態で使うことが多いから、スマホ的には納得できる。1つのカメラで超広角から望遠までまかなうために、19mm相当の超広角レンズを付けているけれども、常用するには19mm相当は広過ぎるのだ。

 では24mm相当で撮ったいつものガスタンクを。雲が多い日だったけれども、その隙間からかすかに日が差す瞬間を狙って撮影。

 で、写りだけれども、さすが1型センサーという良さ。デジタルズームっぽいディテールの弱さもないし、スマホのカメラでありがちな、絵の硬さもなく、階調もディテールも豊かで滑らか。これはさすがである。カメラアプリのズームボタンをタップすると次は2xの望遠になる。もちろんデジタルズームなんだけれども、元のデータが優れているだけあって滑らかできれい。しかも超解像ズームのおかげで不自然さも少ない。日常使いには問題ゼロって感じだ。

 ちなみに最大で6xまでいける。さすがに6xだとディテールは曖昧になってくるのでまあ普段使いは2xまでかな。さらにズームボタンをタップすると、超広角になる。やっとレンズ本来の画角だ。

 というわけで、19mmのレンズなのに起動時は24mmでそれが「1x」になっている上に、カメラアプリでは「0.7xから6x」という現在の焦点距離が分からないなど「カメラ好きがカメラとして使おうとすると釈然としないところがある」んだけど、スマホ的には正しいといっていい。冒頭で書いたように「AQUOSの顔をしたコンパクトカメラ」はなく「コンパクトカメラ並の画質を持つAQUOS」なのだ。

 ただ、UI的にはこのズーム倍率変更はいただけない。素直に、超広角・広角・望遠の3つのボタンを並べて必要な画角にさっと切り替えられるべきだったと思う。そこは残念だ。

 ではいろいろと撮ってみる。

●背景ボカシで1型センサーの本領発揮

 まずは1型センサーを使ったことによる3つ目の違い。それは背景のボケ具合。一般的にセンサーが大きい方が背景のボケは大きくなる(ピントの合う範囲が狭くなる)。遠距離(数メートル以上)離れてると差は出ないけど、近距離の被写体だと背景のボケ具合に大きな違いが出る。そこで、iPhoneと同じような距離で撮り比べてみた。

 同じ位置でiPhone 12 Pro Maxでも撮影し、背景のボケを比べてみるとこれだけ違う。明らかにR6の方が背景がいい感じにボケているのが分かると思う。被写体が近いともっと差は大きくなる。

 続いて人物から。もちろん顔認識付き。実にナチュラルでいい感じに撮れている。もともとセンサーのダイナミックレンジが広い上にオートHDRもかかるので、階調はより滑らかだ。

 ただ、イマドキのスマホにしてはちょっとAFが遅くて不安定かな、とは思う。顔を検出しながらフォーカスが背景に抜けたこともあった。AF回りは改善の余地があるかも。背景がボケやすい分、ちょっとしたAFのズレも目立つのでタッチAFをうまく使いたい。

 センサーサイズが大きいので背景がボケやすいとはいえ、数メートル離れた被写体だとそこまで大きくボケるわけじゃないので、背景をきれいにボカしたいときは「背景ぼかし」モードを使う。

 一瞬、陽射しが来たので顔に浴びてもらった1枚。背景はすごくいい感じに大きくボケていて、ToFセンサーのおかげか境界もしっかりしている。これはよい。ちなみに背景ぼかしモード時は画角は1.5xくらいになる。

●料理や風景を撮影

 では通常の撮影モードに戻って料理を撮影。近距離まで寄れるが、近距離だと背景のボケがちょっと四隅に向かって流れるようになる。寄りすぎるとボケがあまりきれいじゃないというのは、まあレンズをギリギリまで薄く作ったのでしょうがないところだろう。広角で無理に寄るよりは、2xにしてちょっと離れて撮った方がよい結果になると思う。

 続いて2xにしてアナベルとガスタンクを。背景ぼかしを使わなくてもこのくらいボケてくれるのがよい。

 せっかくなので超広角での風景も。さすが1型センサーって写りを見せてくれる。

●超広角夜景を撮るならAQUOS R6が断トツ

 さらに圧巻なのは夜。写真モードでもAIをオンにすると自動的にナイトモードになってくれるし、別途ナイトモードに切り替えてもいい。せっかくなのでいつもよりより暗いシーンで、19mmで撮影してみた。

 で、今回、三脚モードがついた。三脚を使うと、自動的にそれを認識して(つまり完全に静止しているかどうかを見ている)、三脚モードに切り替わるのだ。

 そうすると30秒の超スローシャッターになり、より高画質な夜景を撮れるのである。しかもかなり暗くてもToFセンサーがAFを補助してくれるのでピントが合う。

 これはめちゃきれい。夜は小さな三脚をバッグの隅に入れておきたくなるレベルだ。

 では、次は連写機能や夜のロケーションを試してみる。

 もう1つ、AQUOS R6のよさはシングルカメラであること。大抵のスマホは一番高性能なのが「広角カメラ」なので、夜景撮影時はどうしても、結局広角カメラで撮るのが一番だね、となっちゃうのだけど、AQUOS R6は望遠でも超広角でもきれいに撮れるのだ(まあセンサーが同じだからね)。超広角夜景を撮るならAQUOS R6が断トツだ。しかも、同じようなセンサーを使っているハイエンドコンデジとは違い、スマホならではの画像処理(特にオートHDRやAIシーン認識など)も加わっているので強力なのだ。

 光学式手ブレ補正を持たないのが若干不安ではあったが、手ブレ補正への対応はしており、室内など明るくない場所ではISO感度を上げることでシャッタースピードを高めに保つ。ISO感度を上げると画質が落ちるが、AQUOS R6はセンサーサイズが大きいので多少ISO感度を上げても十分なクオリティーを保ているのだ。

 電子式の手ブレ補正をかけているので、使っていて手ブレが気になることはなかった。詳細は不明だが、どうやら連写して一番ブレていないカットを選ぶなどの処理をしているようだ。

 暗いときでもシャッタースピード1/100秒で、ISO感度を上げているようだ。これは夜の公衆電話だが、ISO1451で1/100秒だった。むしろクオリティーを保てるならシャッタースピードは速めの方が被写体もぶれづらくてよい。

 連写はシャッターボタンの長押しで。100枚まで連写してくれる。

 動画はもちろん4K。撮影しながら自動的に静止画も撮ってくれる「AIライブシャッター」や、長いビデオからダイジェスト動画を作ってくれる「AIライブストーリー」など、AQUOSならではの機能ももちろん搭載している。

 で、もともと高画質なので、4K動画中にAIライブシャッターで撮った写真もキレイなのだ。

 そうそう、一応インカメラも。インカメラは1200万画素。

●シングルカメラならではの良さがここに

 AQUOS R6のカメラが見た目の割に(なぜこんなに薄いボディーに1型センサー+レンズが入るのだ?)、高性能なのでその辺りを集中的に見てきた。

 ライカが全面協力! ってところに心引かれた人が「カメラだー」と思って使うとちょっと拍子抜けするかも。絞りはF1.9固定だし、カメラアプリは従来のAQUOSを受け継いでいてとっても“スマホカメラ”だからだ。そこは普通にカメラ性能が高いスマホを求めている人向け。マニュアル撮影モードはもうちょっとカメラっぽい造りにしてもよかったかと思うけど。

 そこはパナソニックがかつて出していた「DMC-CM1」と違うところだ。あれは名実ともにデカい画面を持ち、スマホとしても使えるカメラだったから。逆に、普通に高性能なシングルカメラを搭載したスマホと思うとすごく魅力的だ。

 光学式手ブレ補正がない点は使っていて気にならないし、超広角でも望遠でも画質は安定しているし、何より階調が豊かで高感度にも強くて(多少暗くてもシャッタースピードが落ちないのがいい)魅力的だ。AF回りに不満を感じることはあるけれども、全体としてはすごくよい。0.7xから2xまで、どこで撮っても高画質なスマホカメラが欲しい人におすすめだ。