スマートフォンを使う上で「どれだけバッテリーが長持ちするのか」は重要なポイントだ。バッテリーの持ちというと、「充電せずに連続でどれだけ使えるのか」に目が行きがちだが、今回着目するのは「バッテリーの寿命」。つまり、バッテリーを交換することなく、1台のスマホをどれだけ長く利用できるか、ということ。スマートフォンの機能が成熟し、買い換えサイクルが伸びつつある中、1台のスマートフォンはより長く使えることが望ましい。

 言うまでもなく、スマートフォンは繰り返し充電をしながら使うものだが、充電のタイミングや方法によってはバッテリーを劣化させる恐れがある。また充電をしないときでも、スマートフォンを使う環境によってはバッテリーに悪影響を及ぼす可能性もある。

 バッテリーがへたってきたら交換したいところだが、現行のスマートフォンはバッテリーを内蔵している機種が大半で、ユーザーが外して交換することはできない。バッテリーを交換するには修理に出す必要があり、保証サービスに加入していないと、1万円前後の修理費用がかかる。

 バッテリーに負荷の掛かる使い方をしたために、本来は必要のなかった手間や費用が発生する場合もあるのだ。少しでもバッテリーの寿命を長くするには、どんなことに注意すればいいのか。NTTドコモ、KDDI、ソフトバンク、楽天モバイルの4キャリアに聞いた。なお、楽天モバイルは同社オリジナル端末の場合となる。

●iPhoneはフル充電サイクルを500回繰り返して80%まで維持

 そもそもスマートフォンのバッテリーはどれだけ持つのか。バッテリーは経年劣化するものなので、使うほどに寿命は縮まる。Appleのサポートページによると、iPhoneの場合はフル充電サイクルを500回繰り返しても、本来の蓄電容量の最大80%を維持するよう設計されているという。フル充電サイクルでは、バッテリーを100%消費すると1回カウントされる。例えば75%を1日で消費し、充電した翌日に25%消費した時点で、1回のサイクルを完了したことになる。100%消費するペースが2日に1回程度だとしたら、2年9カ月ほど使っても80%を維持できる計算になる。

 機種によっては、現在のバッテリーの消耗具合を把握できるものがある。iPhoneの場合、「設定」→「バッテリー」→「バッテリーの状態」に表示される「最大容量」がそれだ。購入時点では100%となっているが、使っていくうちに減少していく。

 ちなみに、筆者は「iPhone 11 Pro Max」を1年10カ月ほど使っており、現時点でのバッテリーの状態は「86%」となっている。急激にバッテリー残量が減ることはないが、購入当初と比べ、少し減りやすくなってきたかなと感じている。

●どのくらいの頻度、タイミングで充電すればいいのか

 では、バッテリーの寿命を延ばすには、どれくらいの頻度とタイミングで充電するのが望ましいのだろうか。

NTTドコモ バッテリーを使い切ってからの充電はバッテリーを劣化させる要因でもありますので、残量20%程度を目安に充電されることをオススメします。また、常に満充電状態であることも好ましくありませんので、満充電となる手前(残量80〜90%目安)で充電停止することも有効です。端末によってはこれらバッテリー寿命を延ばす充電制御機能搭載の機種もございます。

KDDI 電池残量を100%にしておかないと不安に感じられるお客さまも多くいらっしゃいますが、「腹八分目」くらいに抑えていただくことが望ましく、また電池を使い切ってからの充電もバッテリーを劣化させる要因となるため、残量20%程度から充電開始し、80%程度にとどめることが理想的なご利用方法となります。スマートフォンにはバッテリー寿命を延ばすための機能が備わっている機種もございますので、それをお使いいただくこともオススメします。

ソフトバンク 充電しながらのスマホの使用や操作を避け、電池が100%の状態で充電し続けないことをオススメします。また、ある程度(20%)まで使ったら、満充電(100%)までいかない程度に充電することをオススメします。

楽天モバイル 充電と放電のサイクル数を減らすため、電池容量がまだ十分残っている状態での継ぎ足し充電はしない方がいいです。

 充電は0%になってからではなく、20%を目安に行うのがよく、満充電せず80%程度でとどめておくのがベストというわけだ。

 iPhoneでは、バッテリー残量が20%以下になると「低電力モード」への設定を促すアラートが出るが、ここが充電すべきタイミングとなる。またiOS 13以降では「設定」から「バッテリー充電の最適化」をオンにしておくと、iPhoneがどのように充電されるかを学習し、「まだ充電器に接続される」と判断したら、80%以降の充電を緩やかにして、充電器から外す(と思われる)タイミングで満充電とするよう調整してくれる。

 Androidの現行モデルは、満充電を80%や90%にしたり、満充電までのスピードを緩やかにしたりできる機種が増えている。ソニーの「Xperia 1 III」や「Xperia 10 III」では、バッテリーの負荷を軽減する「いたわり充電」とXperia独自の「充電最適化技術」により、3年使っても劣化しにくいバッテリーを実現するという。いたわり充電の設定でも、充電容量を80〜90%にしたり、充電時間をコントロールしたりできる。

●満充電のまま充電を続けるのはNG?

 これは筆者もよくやってしまうが、満充電のまま充電を続けることも、バッテリーの劣化につながるといわれている。これは本当なのか。

NTTドコモ 満充電状態で充電を続けることはバッテリー劣化の要因となります。端末を操作しながらの充電がそれに該当します。

KDDI 満充電の状態で充電を続けることはバッテリー劣化の原因となります。これはバッテリー電圧が高い状態での充電がバッテリー劣化の原因となるためです。

ソフトバンク 電池が100%の状態で充電を続けると、劣化の原因になり得ます。

楽天モバイル 満充電で充電を続けた場合、電池容量がかなり残っている(90%以上)状態で充電と放電を繰り返すため、充電と放電のサイクル数が増え、電池の劣化を早めます。

 やはり4社とも、「バッテリー劣化の原因になる」との回答。とはいえ、満充電されたことをリアルタイムで確認するのは難しく、逐一スマホ画面からバッテリー残量を確認するのは現実的ではない。そこで、Xperiaなどの対応機種なら、就寝中に充電を進めて、起床時間に満充電になるよう設定すれば、朝起きてスマホから充電器を外すだけで、過充電を防げる。iPhoneの場合、「バッテリー充電の最適化」を有効にした上で、ある程度長い時間、充電器に接続されるとデバイス側が予測すると、充電完了時間を通知してくれる。

 なお、「ワイヤレス充電(電磁誘導方式)は、充電台側とスマホの両方で内蔵しているコイルが温かくなる場合があるため、充電が終わったら小まめに充電台から外すことをオススメします」(KDDI)とのこと。

●「ながら充電」もバッテリーの寿命に悪影響

 ゲームをしながら充電するなどの「ながら充電」も、バッテリーの寿命に悪影響を及ぼすといわれているが、これは何が問題なのか。

NTTドコモ バッテリーが長い時間満充電に近い高い電圧にさらされることや、充電しながら端末を操作することでの発熱も、劣化を促進する要因の1つと考えられています。

KDDI バッテリー寿命に影響する充電方法として、「バッテリー電圧が高い(満充電に近い)状態での充電」と「高温状態での充電」がございます。「ながら充電」はこの2つの影響を及ぼすためです。

ソフトバンク 一例ですが、充電しながらスマホを利用することでスマホ自体が高温になり、劣化する原因になり得ます。

楽天モバイル 端末動作時の発熱と充電の発熱が重なるため、高温での電池の充放電となり、電池の劣化を早めます。また、端末動作による放電と、電池容量が残っている状態での充電となるため、充電と放電のサイクル数が増え、電池の劣化を早めます。

 筆者もゲームをプレイする際、うっかり充電を忘れいて、つい充電しながらプレイしてしまうことがあるが、ながら充電をすると、端末が発熱し、高い電圧にさらされるため、極力控えるようにしたい。

●その他の注意点

 夏は特に注意したいが、炎天下の屋外でスマホを操作すると本体が発熱しやすくなるが、「高温状態かつ、高い電圧を維持するとバッテリー劣化につながる可能性がある」(KDDI)ため、バッテリーの劣化につながる。スマホを高温の環境で長時間使わないよう注意したい。

 付属品以外でスマートフォンの充電器を選ぶ際には、モバイル充電安全認証を取得した「MCPC認証マーク」や、電気用品安全法の基準に適合する「PSEマーク」が付いているかを確認したい。