夏のハイエンドスマホ4モデルカメラ対決である。2021年はシャープがライカと協業して1型センサーカメラを搭載する「Leitz Phone 1」とか、ソニーがカメラ3つだけど1つは可変式で4つの焦点距離を使える「Xperia 1 III」とか、OPPOが4つ目のカメラとして「顕微鏡カメラ」を積んでくる「OPPO Find X3 Pro」とか、なんともいろいろあって面白いのだ。

 今回は同じ条件で撮り比べて基本性能をチェックしたり、それぞれの特徴的な機能に注目したりしてみた。ハイエンド端末は高いから興味ないって人も、今どのくらいカメラ機能が強化されているかチェック、って意味でも見てほしい。

●4機種のカメラ性能をおさらい

 取り上げるのは以下の4モデル。簡単にプロフィールを。

シャープ「AQUOS R6」

 今回取り上げたモデルでは、唯一のシングルカメラモデル。19mm相当の超広角レンズを搭載し、ハイエンドコンデジと同じ1型で2020万画素のセンサーを搭載。センサーのアスペクト比が3:2(他の一般的なスマホは4:3)なのも特徴だ。

 レンズはライカのズミクロン。そのカメラで、19mm相当の超広角、24mm相当の広角、48mm相当の望遠と切り替えて使う。広角と望遠ではデジタルズーム的な処理をしている。

ソニー「Xperia 1 III」

 「Xperia 1」シリーズも3代目にして大きく進化した。トリプルカメラだが、望遠カメラは2段階のステップズーム(「可変式望遠レンズ」と呼んでいる)を搭載して、実質クアッドカメラになっている。その4つは16mm、24mm、70mm、105mmで、70mmと105mmが望遠レンズだ。超高速で正確なAFと優れた動画機能、何よりPhotography Proという専用のカメラアプリが秀逸。

サムスン電子「Galaxy S21 Ultra 5G」

 「Galaxy S21」シリーズは機種によってカメラ構成が違う。一番スゴいのは最上位のUltra。クアッドカメラで、望遠カメラは3倍と10倍の2つを搭載している。

 全部で13、24、72、240mmである。超広角はスマホカメラの中で最も広角な13mm相当、望遠はスマホカメラの中で最も望遠な240mm相当と、光学的にフォローする範囲は一番広い。これは圧巻。

OPPO「OPPO Find X3 Pro」

 薄いボディーに4つのレンズの「Find X3 Pro」。超広角と広角に同じ大きめのセンサーを搭載した「デュアルフラグシップカメラ」をうたうカメラが特徴で、望遠カメラは2倍。クアッドカメラの4つ目は何と「顕微鏡」専用カメラとなっている。10ビットカラーの10億色も特徴だが、今回は他機種と同じ8ビットカラーの絵で撮らせてもらった。

 では、実際の性能を見ていこう。

●超広角から望遠までまとめて画質チェック

 では超広角から望遠まで撮り比べる。撮影は標準の写真モード(Xperia 1 IIIの場合は「BASIC」モード)で、AIやシーン認識、オートHDRなどはオンにしてある。基本的に全て同じ位置で撮影しているので(手持ちなので微妙な中心のずれはご勘弁を)、それぞれ写る範囲がどのくらい違うか見てもらいたい。

 さらに、青空や赤の表現などに注目。けっこう違いがあるのだ。

超広角の迫力がたまらん編

 超広角から順番に行こう。一番超広角なのが13mm相当のGalaxy S21 Ultra 5G。続いて、OPPO Find X3 Pro、Xperia 1 III、AQUOS R6という順番。超広角であればあるほど広い範囲が写る。その分遠近感も強く、上手に使うとめちゃ迫力のある写真になる。

 写る範囲(画角)の差のみならず、青空の表現や赤い門の写りに差が出て面白い。Xperia 1 IIIは青空があっさりめ。AQUOS R6はちょっと抑え気味でナチュラルだけど地味に見える。

 Find X3 Proがシャドー部を持ち上げてより赤が映える写りになっている。やり過ぎ感もあるけど、一番見栄えがするのは確かだ。

メインカメラ(広角)がキレイなのはどれだ?編

 続いてメインカメラとなる広角カメラ編。AQUOS R6はシングルカメラだけど、ここではカメラアプリ上のズームアイコンに従って撮影している。基本的に一番いいセンサーとレンズを搭載しているのがこの広角カメラだ。超広角編と同じ位置から撮っている。

 広角カメラの画角はどれもほぼ同じ。写りの傾向は、Find X3 Proがわざとらしいくらい赤が鮮やかだ。いい感じにナチュラルなのがXperia 1 IIIとGalaxy S21 Ultra 5Gなのだが、Find X3 ProのHDRを強くかけて「コテコテにしましたわ」感も見栄えがするし。思ったより差が出て面白い。

 では、望遠カメラの性能を見てみよう。

望遠性能は機種によって大きく違うのだった編

 続いて望遠カメラ編。機種によって大きく差が出るところだ。どのカメラアプリもボタン1つで望遠カメラに切り替えられるようになっているが、そのパターンの数が端末によって違う。

 AQUOS R6のカメラは超広角、広角、望遠の3パターンで、望遠は48mm相当。シングルカメラゆえ、どうしてもデジタルズームになるし、むちゃな望遠は無理。Xperia 1 IIIとGalaxy S21 Ultra 5Gは4パターンあり、望遠側に伸びがある。Find X3は光学的には2xの望遠だが、その上にハイブリッドズームとして5xが用意されており、全部で4パターンだ。

 仮に「中望遠」(2x〜3x)と「望遠」(それ以上)ということにして撮り比べ。まずは「中望遠」から。基本的に24mmに対して2x相当なので48〜50mmくらいになるわけだが、Xperia 1 IIIとGalaxy S21 Ultra 5Gは3x相当の70〜72mmになるのでちょいと望遠感が強い。個人的には2xくらいのところに1つあると扱いやすいと思うのだけど。

 4パターンある端末に関してはさらにもう1段階行く。Xperia 1 IIIは105mm(4.4x)。Galaxy S21 Proに至っては10xの240mmである。

最大ズーム倍率対決!

 せっかくなので各モデルの「最大ズーム倍率」でもチェック。どれもデジタルズームになるので画質は落ちるけれども、どの端末が一番むちゃをしているか見るって意味でちょっと楽しい。

 Find X3 Proは30x、Galaxy S21 Ultra 5Gに至っては100xである。むちゃするなあ。この2機種は最大までひっぱると、サムネイルが表示されてどこを撮ろうとしているか教えてくれるので便利。

 ここまで屋外で撮影してきたが、屋内ではどうか。

●屋外に続いて屋内編

 続いて屋内。大きな熊手が飾ってあったので、それを撮り比べてみた。あまり明るくはない屋内であるが、さすがにこのクラスになると多少ISO感度が上がってもびくともしない。微妙にホワイトバランスに差はあるし、微妙に背景のボケ具合(ピントは中央に合わせてある)の差は出ているけれども、これだけ撮れれば文句ないよねという写りだ。

 ちなみにAQUOS R6は光学式手ブレ補正を持たないため、多少暗くても1/100秒を維持するようだ。

 さらに室内といえば料理。スイーツを撮ってみた。

 どれも料理と認識したが、AQUOS R6は撮影最短距離が長い(近づきすぎると「もう少し離れて撮影してください」といわれる)のはちょっと不便だ。Galaxy S21 Ultra 5Gはある程度被写体が近いと「フォーカスエンハンサー」が働いて超広角カメラに切り替わる(超広角カメラの24mm相当分のエリアだけ使うっぽい)のでここは素直にそれに従った。Find X3 Proも同様の機能を持っているんだけど、このくらいの距離だと切り替わらない。

●どこまで寄れるか勝負

 という感じで撮っていると、「どのくらい近寄って撮れるか」が気になってきたのである。スマホカメラを手にしたとき、身近なものをそこそこアップで撮りたいことって多いと思うし。

 そこで、前編の最後はどこまで寄れるか勝負をしてみた。AQUOS R6はあまり寄れないし、すぐ「もう少し離れて撮影してください」と言われる。

 そういうときは、望遠に切り替えてやると中央部を大きく取ってくれるので多少は寄れる。デジタルズームになるので多少甘くはなるが、ギリギリまで寄ってこのくらい。

 Xperia 1 IIIは広角カメラでこのくらい。まあ普通だ。写りもいい感じに黒が締まっていてカッコいい。もうちょっと寄りたいときはデジタルズームで50mmくらいにするといいのではないかと思う。

 Galaxy S21 Ultra 5Gは超広角カメラがマクロカメラも兼用していて、ある程度以上近づくと「フォーカスエンハンサーをON」にしてカメラが切り替わる。

 で、フォーカスエンハンサーONの状態でどこまでピントが合うかなと、どんどん近寄ってみたら、ここまで寄れた。周辺部の画質がちょっと流れるけど、まあそんなの気にしない。これで困ることはまずなかろう、である。

 Find X3 Proもある程度以上近づくと、自動的に「マクロレンズ」と表示され、超広角カメラに切り替わる。

 これだけ寄れたら文句ない。これもよい。

●前半の結論

 前半はここまで。ざっくりいえば、超広角から望遠まで、どのくらい幅広いシーンに対応できるか、どこまで寄って撮れるか、といったところをチェックしつつ、画質のクセを見てきた。

 スゴかったのはGalaxy S21 Ultra 5G。13mmから240mmまで、しかもマクロ撮影も強いという、超近距離から超遠距離まで撮れる圧巻の幅広さなのだった。恐るべしGalaxy S21 Ultra 5G。

 続いて、広角&近距離重視ならFind X3 Pro、望遠側重視ならXperia 1 IIIか。デジタルっぽい派手目の(ちょっと人工的だけど見栄えのする)絵が好きなのか、カメラとしてナチュラルな写りが好きなのかでも評価が分かれる感じだ。個人的には、スマホカメラはもう思い切って盛り盛りの印象的な画作りでいいじゃん、とも思う。

モデル:長谷川実沙