8月27日、NTTドコモがワイヤレスホームルーター「home 5G」のサービスを開始しました。それに先立って、au(KDDIと沖縄セルラー電話)は8月6日、「Speed Wi-Fi HOME 5G L11」を発売しました。

 ソフトバンクの「SoftBank Air」を含めると、大手3キャリアがワイヤレスホームルーターサービスを開始したことになります。今回の「5分で知るモバイルデータ通信活用術」では、UQコミュニケーションズ、au、ドコモの5G対応ホームインターネットサービスの特徴を改めてチェックしていきます。

●UQの「WiMAX +5G」は「3日で15GB」制限あり 利用場所は自由

 UQコミュニケーションズは、ワイヤレスホームルーターの“老舗”で、2011年11月にWiMAX対応のホームルーター「URoad-Home」(シンセイコーポレーション製)を発売しました。その後も、WiMAX 2+対応、5G対応のホームルーターを継続して投入、販売しています。

 同社の初代「UQ WiMAX」では、月間通信容量はもちろん、直近3日間の通信容量にも特に制限は設けられていませんでした。「真の無制限」といっても過言ではありませんでした。

 その後継サービスである「WiMAX 2+」では、同社の親会社であるKDDIとの統合が深まり、一部の端末を除いて「au 4G LTE」ネットワークも使える通信モードが加わりました。これにより、通信可能なエリアは大きく広がりました。

 一方で、通信の公平性を確保するために、初代WiMAXにはなかった直近3日での通信容量制限が設けられることになりました。その制限内容の変遷は、2016年の大みそかに掲載した記事で解説しています。

 この制限とは別に、WiMAX 2+では、au 4G LTEエリアも利用する「ハイスピードプラスエリアモード」において月間7GB(※1)の通信容量制限もあります。こちらの制限に達すると、WiMAX 2+エリアでのみ使える「ハイスピードモード」を含めて通信速度が月末まで上下最大128kbpsに制限されます。

(※1)「auスマートポート」として契約した場合は月間30GB

 そして、ある意味で第3世代ともいえるWiMAX +5Gでは、直近3日間の通信容量制限が15GBに緩和されました。さらに、より広いエリア(※2)で利用できる「プラスエリアモード」における通信容量制限も月間7GBから15GBに緩和されました。プラスエリアモードで月間容量を超過した場合は、月末まで上下最大128kbpsの通信速度制限がかかりますが、スタンダードモードには影響しません。

(※2)au 4G LTEのBand 18/26(800MHz帯)のエリア。この帯域は、同サービスにおけるメイン帯域である

 WiMAX 2+では、ハイスピードプラスエリアモードの通信制限がハイスピードモードにも影響していました。それに対して、WiMAX +5Gではプラスエリアモードで通信制限がかかっても、スタンダードモードに戻せば“元通り”です。ただし、スタンダードモードで通信制限がかかっていないことが条件ですが……。

 月額料金は、UQコミュニケーションズが提供する「ギガ放題プラス」で4818円(税込み、以下同)で、「WiMAX +5G はじめる割」を適用することで契約から25カ月間は4268円で利用できます。

 なお、auの「ホームルータープラン 5G」は、WiMAX +5Gとほぼ同等の条件で提供されますが、条件が異なる部分があります。詳しくは後述します。

●auの「ホームルータープラン 5G」はUQより手頃 ただし「移動不可」

 auは、UQコミュニケーションズと同じ6月4日にSpeed Wi-Fi HOME 5G L11を発売する予定でした。しかし、専用料金プラン「ホームルータープラン 5G」の提供が延期されたことに伴い、発売も延期されてしまいました。

 延期後のプランの提供開始は「7月中旬以降」とされましたが、準備に手間取ったのか、8月6日にようやく提供を開始しました。auのL11も、同日に発売されました。

 ホームルータープラン 5Gは当初、各種割引前の月額料金が5458円で、「2年契約N」を契約すれば187円引き(月額5271円)、25カ月間限定の「5Gルーター割」を適用すれば550円引きという設定でした。契約当初の25カ月間は月額4721円で使えるので、本家であるUQコミュニケーションズよりも少し手頃……なのですが、ドコモのhome 5G(4950円)と比べると“割引前”の月額料金が割高です。

 契約当初の25カ月間はhome 5Gより少し手頃ですが、それを過ぎれば確実に割高になってしまいます。これは競争上由々しきことです。

 そこでauは、ホームルータープラン 5Gの提供条件を以下の通り変更しました。

・月額料金(割引前):5458円→5170円

・2年契約N:設定あり→設定なし

・プラスエリアモード:月額1100円→無料

・プラスエリアモードの容量制限:月間15GB→月間30GB

・利用場所の制限:なし→あり

 UQコミュニケーションズのギガ放題プラスと比べると少し高価ですが、プラスエリアモードが無料で、容量制限がさらに緩和されてています。スタンダードモードでは圏外、あるいは電波状況が不安定な場所での利用では、より便利に使えます。

 一方で、届け出た住所以外での利用はできなくなりました。出張先や旅行先に持ち運んでも使うことはできないということです。持ち運んで使う場合は、UQコミュニケーションズのWiMAX +5Gを選びましょう。

 以前の記事でも触れましたが、モバイルネットワークを使うのに持ち運べないことには、現行の電気通信事業法に基づく“合理的な”理由があります。以下の通り、ほとんどがキャリア側にとってのメリットですが、一部はユーザー側にもメリットとなりえます。

・定期契約に関する制限(2年以内)を受けない

・定期契約時の解約金に関する制限(上限1100円)を受けない

・端末購入時の利益提供(割引)に関する制限(上限2万2000円)を受けない

 提供条件の変更により、auのホームルータープラン 5Gでは2万2000円を超える割引を提供できます。SoftBank Airやhome 5Gと対抗する“アグレッシブ”な販売施策を行うことも可能です。

 「3日間で15GB」の通信容量制限と、制限に達した時の「18時から翌2時までの上下最大1Mbps程度」の速度制限をどう考えるか次第ではありますが、auスマホと組み合わせて使う場合は「auスマートバリュー」の対象となるので、よりおトクに利用できます。

●ドコモの「home 5G」は移動不可 ただし現時点では通信制限が緩め

 ドコモのhome 5Gは割引前の月額料金が4950円で、ホームルータープラン 5Gと同様に届け出た住所以外では利用できないようになっているため、持ち運べません。その代わり、端末購入に伴う「月々サポート」が月額1100円×36回(総額3万9600円)付与される他、販売店によっては端末代金の値引きも実施されています。

 UQコミュニケーションズやauの5Gルーターと比べると、home 5Gは一定期間内の通信容量制限は設けられていません。ただし、以下のいずれかの条件に当てはまる場合は通信制限が掛かることがあります。

・当日を含む直近3日間のデータ利用量が特に多い場合、他のユーザーよりも通信速度が遅くなる場合がある(切断はしない)

・一定時間内、あるいは1つの接続で大量の通信や長時間の接続を行った場合、当該の通信を中断する場合がある

 固定インターネットサービスでも、同様の制限は存在します。ただ、携帯ネットワークはより多くのユーザーとリソースを共有するため、一般に制限のしきい値は固定インターネットサービスよりも厳しめになります。そのこともあり、ドコモ自身も「一切の制限なし」「完全使い放題」とはうたってはいません。

 ただ、サービスが始まって10日程度ですが、SNSなどでは極端な速度低下に関する報告は見られません。筆者もhome 5Gを契約して利用していますが、特に5Gエリアでは非常に快適な下り通信を期待できます(レポートは後日別途お伝えする予定です)。

 「建物や立地条件の都合で高速な固定インターネットサービスを契約できない」という場合には、現時点においてベストなワイヤレスインターネットサービスといえます。

 「そうなると、5Gエリアじゃないと意味がないの?」といえば、そうでもありません。LTE(Xi)エリアでも、条件が良ければ下り通信速度が100Mbpsを超えます。下手なADSL/VDSL/CATV回線よりも快適な通信を期待できます。

 ……とはいえ「しっかり通信できるかどうか試してから契約したい!」という人もいるでしょう。その点、UQコミュニケーションズは「Try WiMAX」という体験サービスを提供しています。ドコモでも「エリアおためしサービス」が提供されていたはずなのですが、9月7日現在、Webサイト上では見当たらなくなっています。契約前に試用できるサービスがあれば安心なのですが……。