音声SNS「Clubhouse」を提供する Clubhouse(クラブハウス)は、9月30日にClubhouse上で日本の報道関係者向けに説明会を開催した。クラブハウスが日本で記者会見を行うのは今回が初となる。なお、通常、Clubhouseでは音声の録音や会話の書き起こしは許可されていないが、この説明会では記事化のための録音や登壇者のスクリーンショット撮影が許可された。

 説明会にはクラブハウスのCEO 兼共同創業者ポール・デイビソン氏、同CTO 兼共同創業者ローハン・セス氏、同国際部門統括責任者のアーティ・ラママーシーが登場。また、ゲストスピーカーとして、Clubhouseクリエイターで「プロセスエコノミー」の著者、尾原和啓氏も参加した。

 ポール氏はClubhouseの成り立ちや事業戦略を語る中で、今後、数カ月の間にClubhouseを日本語に対応させることと、Clubhouse上で活動するクリエイターの収益化をサポートすることを明らかにした。

●「Clubhouse」開発の背景

 共同創業者のポール氏とローハン氏は10年以上前に知り合った。当時、2人ともSNSの業務を行っていたという。2人で一緒に何かしようと話し合ってきたが、「2人とも子どもを持ついい大人なので、SNSはやらない方がいいよねと話していた」(ポール氏)という。そこで、2人が好きなオーディオを使ったサービスを検討したが、最終的には音声SNSのClubhouseを始める。

 「音声のコンテンツを作って成功するのは難しいと思った。ポッドキャストは本当に頑張っているが、すごく難しいと思う。教育系アプリ、エンタープライズ、ビジネス系のアプリとか?……SNSのアプリを作り上げるしかないってこと? ありゃりゃ、参ったと僕たちは思った(笑)」(ポール氏)

 Clubhouseは2020年3月に開始。非常に小人数のチームで始め、「慎重にコミュニティーを成長させよう」(ポール氏)と考えていたという。そのため、世界中で注目され、ユーザーの波が押し寄せることは予測していなかったそうだ。

 「いきなり大きくなりすぎて、崩壊してしまうことを懸念していた。Clubhouseを楽しんでくれてうれしかったが、小さなチームとしては、まだ準備ができていなかったと思う。僕たちは落ち着いて、アプリの機能とコミュニティーを整えることに一生懸命フォーカスした」(ポール氏)

●日本語ローカライズと収益化について

 Clubhouseでは、今夏初めに約30万のルームが開かれていたが、8月末時点では約70万に増加。1ユーザーのClubhouse平均利用時間は、全世界では70分/日だが、日本では113分/日になるという。ポール氏は日本を「Clubhouseにとって優先順位の高い重要な国の1つ」とした。

 現在、Clubhouseは英語しか対応していないが、これから年末までの間に、日本語を含めたいくつかの言語でローカライズのテストを行い、年末に正式発表する予定だ。日本語ローカライズが行われると、アプリのUI(ユーザーインタフェース)、ガイドライン、カスタマーサービス、通知など、全てが日本語になり、「英語が分からなくてもClubhouseが使えるようになる」(アーティ氏)という。

 また、もう1つの取り組み、クリエイターの収益化については、ルームやクラブのサブスクリプション登録、ルームに入るときの支払い、米国では提供中の「投げ銭(Tipping:ティッピング)」という3つの方法を検討中だ。クリエイターとスポンサードする企業などとのマッチングも少しずつ進めているという。

 海外では、既に収益化に成功しているクリエイターも現れている。「金融関係の企業で働いていた人が収益化に成功して、仕事を辞めた例がある。また、音楽を流すルームで多い人では10万ドルというお金を集め、チャリティで寄付した人もいる。現在、Clubhouseのアイコンになっているビエラ・マーというコメディアンは、企業とのスポンサー契約や投げ銭で生活できるようになった。20分くらいルームを開けただけで何百ドルと稼いでいるミュージシャンもいる」(ポール氏)

 ゲストスピーカーの尾原氏は「日本でもサブスクリプションの月額型で生きているクリエイターは多い」とし、安定した基盤になると期待を寄せた。一方で、「Clubhouseからクリエイターが生まれることも大事なので、その意味では投げ銭がいい」とも語った。

●機能強化も継続

 Clubhouseでは空間オーディオの機能を入れるなど高音質化に投資しており、音楽はClubhouseの人気カテゴリーになっているという。ローハン氏は「互いに知らないギタリスト、ピアニスト、歌手が国境を越えてルームに集まり音楽を作っていて、本当に素晴らしいと思う」と語った。

 ポール氏は「音声アプリ、音声SNSは長期的に継続すると信じている。人間らしいつながり、ふれ合いを、声を通してやってほしい」と語り、今後も機能、サービスを充実させていく姿勢を示した。