総務省の情報通信行政検証委員会が10月1日、2016年から2020年にわたって行われたNTTグループ幹部と総務省職員との会食問題について、最終報告書を公開した。

 同問題をめぐっては、2020年9月29日付でNTT持株がドコモの株式公開買い付けを行ったことも踏まえ、2021年4月5日にソフトバンクやKDDIなどの電気通信事業者21社が「情報通信行政がゆがめられたのではないか」とする連名の意見書を総務大臣に提出。3月16日に第1回の検証委員会が開かれ、調査が進んでいた。

・発表資料全文

 検証では総務省の関係部局から文書で約20冊1万2000枚、データで22万3000ファイル170GBの資料に加え、NTTグループと同様の問題を指摘されていた東北新社で、合計約290ファイル160MBの資料提出があった。

 結果、期間中にNTTグループと総務省の間で開かれた会食は24件で、そのうち携帯電話料金に関する指針などの作成に関わった総務省職員とドコモとの間で開かれた会食は5件、合計14人の参加があった。この5件全てで十分な額の代金が支払われておらず、国家公務員倫理法に違反しているという。

 参加した職員は「異動後の顔合わせや懇親などを目的とした」「一般的な意見交換や自己紹介が行われただけ」としており、支払いについては「支払額の確認が不十分だった」と説明している。

 2019年の料金プラン「ギガホ」「ギガライト」の発表に先立ち、2019年4月10日に両プランの内容についての情報提供を行うため、ドコモ役員3名が総務省を訪問。同年5月に改正予定だった電気通信事業法に適しているかの確認を行ったが、総務省側から指導を行った形跡はなかったとしている。

 同じく2019年10月1日に解約金を9500円から1000円へ引き下げ、NTT持株によるドコモの株式公開買い付けが2020年11月17日に成立したが、いずれの時期においても総務省とドコモ間での議論はなかったと結論づけている。

 公正な競争の促進などの面で「ドコモと他のMNO事業者との扱いが変わるものではない」としつつ、「携帯電話料金の値下げに関し、ガイドラインなどの整備や行政指導の運用において、ドコモに便宜を図ることが想定されうるが、ガイドラインなどの整備は有識者による会議の結果を踏まえて行われている」「ドコモが指導などを免れているわけでもなく、不自然な運用は見当たらない」としている。

●NTT(中間持株会社)の設立

 2018年7月にNTT持株役員が総務省を訪れ、NTTコミュニケーションズ、ディメンションデータ、NTTデータなどを子会社化した中間持株会社であるNTTの設立に法的な制約がないかを確認。7月下旬に口頭で問題がないことを伝え、8月7日にNTTが設立した。

 この時期に、設立に関係する部署の総務省職員とNTT持株との間で4件、合計6人が参加する会食が実施。総務省職員に2件、4人の代金支払いがあったが、どちらも十分な額ではなく、以降は支払いがない状態だったとして、国家公務員倫理法に違反していることを確認した。

 この会食についても「一般的な意見交換や自己紹介などが行われただけ」と説明している一方で、「国家公務員倫理法の内容を十分理解していなかった」という説明もあったとしている。

 NTT持株は2020年4月にドコモの完全子会社化を検討したといい、「週刊ダイヤモンド20201212号」でも「ドコモを完全子会社化したいと思っている」と発言したと説明している。ドコモの完全子会社化について「携帯電話料金の値下げを行う代償として総務省が認めた」という指摘に対しては、「当時の資料からは具体的な検討を行った事実は確認できない」と否定している。

 総じてNTTグループと総務省との間で開かれた会食については、「NTTグループの新たな担当者となる総務省職員との顔合わせを行い、以後の業務を円滑に進めるために行われたもの」として、役職段階に応じて行われたこと、前任者の着任時にも行われたことを踏まえて「長年の慣行の可能性もある」としている。

 ただし総務省職員に対して、会食が「業務遂行上必要なものであると正当化されたか、自然なものであると受け止められるような空気が作られた」としつつ、国家公務員としての倫理意識が弱まっていたと推定している。

 加えて「単なる法令の知識や意識の欠如で済ませるべき話ではない」として、職員の意識改善と国民や事業者からの理解、信頼の回復を行う、と結論づけた。

 検証結果最終報告書(※PDF)の57ページ以降では、国民の信頼回復のための指針や記録の透明化などの対策や、検証委員会で提出された資料が記録されている。