NTTドコモが10月7日、dアカウントやdポイントを活用した「エコノミーMVNO」について発表した。エコノミーMVNOは、低容量かつ低廉な料金サービスを利用したいユーザーのニーズに応えたもの。現時点ではNTTコミュニケーションズの「OCN モバイル ONE」と、フリービットの「トーンモバイル」と提携することが決定しており、OCN モバイル ONEは10月21日から、トーンモバイルは12月から全国のドコモショップで取り扱う。

 ドコモは料金プランの中で「5Gギガライト」「ギガライト」を小容量、オンライン専用プラン「ahamo」を中容量、そして「5Gギガホ プレミア」「ギガホ プレミア」を大容量に位置付けている。エコノミーMVNOは、5Gギガライト/ギガライトよりもさらに低容量かつ低廉な領域をカバーする。

●3GB以上と1GB未満で満足度の大きな差があり

 1GB未満から7GBまで使った分だけ料金が変動するギガライトは低容量もカバーしているが、1GB未満でも割引適用前で月額3465円(税込み、以下同)、割引適用後でも月額2179円なのでMVNOよりも高い。実際、ドコモのスマホ利用者で他社へ移った人の中で、データ利用量3GB未満の割合が年々増えているという。さらに、ドコモの満足度調査では、データ利用量3GB以上よりも、1GB未満のユーザーの方が約1.6倍満足度が低いという結果が出ている。

 ドコモの営業本部長 野田浩人氏は「低廉な料金をメインプランにしたいというニーズにお応えできていないことが喫緊の課題だった」と認める。OCN モバイル ONEは、ドコモとの提携を機に月額550円で500MBのプランを新設する。月額770円で1GB〜月額1760円で10GBというその他のプランもギガライトより安い。

 iPhone向けSIMを提供予定のトーンモバイルは、ドコモ向け料金は未定としているが、現在扱っている月額1650円の「TONE SIM for iPhone」と同額なら、やはりギガライトよりも安い。TONE SIM for iPhoneは動画以外はデータ通信が使い放題なので、低容量というよりも、低価格で大容量の通信も可能なプランといえる。

 低廉なプランを強化することで「フィーチャーフォンのユーザーへのスマホ移行も促進できる」と野田氏は期待を寄せる。

●ドコモと同等のサポート、端末の購入も可能

 エコノミーMVNOは、ドコモショップで取り扱うだけでなく、契約手続きから初期設定、アフターサポートまでをカバーする。サポートの中身はドコモ本体と大きな差はないという。ケータイ補償サービスも適用でき、ドコモスマホ教室にも参加できる。

 さらに、エコノミーMVNOのSIMとセットで、ドコモが取り扱う端末を購入することもできる。その際、割賦での購入や、端末購入プログラムの「いつでもカエドキプログラム」の適用にも対応する。MVNOでは大手キャリア傘下以外ではほぼ扱っているところがない新品iPhoneも、エコノミーMVNOなら回線契約と同時に購入できるようになる。

●ドコモとMVNOにとってのメリット

 dポイントとdアカウントを連携できるのも特徴で、利用料金に応じてdポイントをためたり、通信料金の支払いにdポイントを充当したりできる。ドコモ側にとっては、非通信分野も含めた回線基盤の拡大やdポイント加盟店拡大がメリットとなる。

 一方で、ドコモユーザーがMVNOに移ることで収益面ではマイナスになるが、「サブブランドを持っていないわれわれにとっては、低廉なレンジの料金サービスをどういう形で提案できるかが、長年の課題だった」と野田氏。Y!mobileやUQ mobileへの転出を抑えつつ、dアカウントと連携するエコノミーMVNOにとどまってもらうことで、非通信分野での収益成長を図るという狙いも見えてくる。

 トーンモバイルでは、子供やシニア向けの見守りサービス「TONEファミリー」を提供しているが、こうしたターゲットを特化したMVNOサービスをドコモが扱うことで、ユーザーの多様なニーズに対応できるというメリットも生まれる。野田氏はTONEファミリーを例に挙げ、「ティーンと親、シニアに特化した見守りサービスは他にはない。ドコモの子育て応援プログラムの会員に、お子様のスマホデビューの企画としてご提案できる」とも話す。

 MVNO側にとっては販路拡大やサポートの強化、加盟店向けアセットを活用したマーケティング強化がメリットとなる。一方、ショップでのサポートが発生した際の手数料、dポイントの発行額に応じた原資、端末販売で回線契約を伴う値引きなどはMVNOが負担することになる。

●サービスは競合しても「競争原理」の中で選ばれる

 今後、提携していくMVNOの数などで目標を定めているわけではなく、「連携の可能性のある方々とは積極的にやっていく」(野田氏)とのこと。料金やデータ容量などで条件を課しているわけでもないそうだ。

 低容量プランはギガライトと、トーンモバイルはキッズケータイと競合する部分があるが、野田氏はドコモ光でISPと提携したことを例に挙げ、「良い意味での競争原理が働いた」と振り返る。サービスの種類を増やすことで今回も競争原理が働き、「一番優れたサービスが選ばれる」との見解を示した。低容量帯でかぶるギガライトを廃止する予定は現時点ではなく、「エコノミーMVNOの効果を見ながら柔軟に行っていきたい」(野田氏)とした。

●他社サブブランドとの違いは通信品質と移行手続き

 競合他社のサブブランド、Y!mobileやUQ mobileとの違いとして、通信品質の差が挙げられる。エコノミーMVNOも、回線はあくまでドコモから借りているものなので、MVNOによっては昼の混雑時に速度が低下しやすいという差が出てくる。野田氏は「データ利用が少ない利用体系を考えると、体感上大きな差がなく利用いただけると判断している」と話すが、提供条件については「ショップできちんとご案内した上で進めたい」(野田氏)とのこと。

 また、ソフトバンクからY!mobile、auからUQ mobileへの移行はMNP不要となったが、エコノミーMVNOにはMNPで移る必要があるため、やや手続きが煩雑となる。この点について野田氏は「ドコモショップでスタッフがお手伝いをするので、スムーズに移行できる」とした。