オプテージのMVNO「mineo」が3月に導入した新プラン「マイそく」を検証した。従来の容量別プランとは発想が異なる“通信速度”で選ぶ料金プランだ。上限設定がない“データ使い放題”型だが、幾つかの制約がある。

●速度を選べる3プラン

 マイそくには、2つのプランが用意されている。月額990円(税込み、以下同)で最大通信速度が1.5Mbpsの「マイそく スタンダード」と、月額2200円で最大3Mbpsの「マイそく プレミアム」。8月下旬以降には、月額660円で300kbpsという低速・少額プラン「マイそく ライト」も提供される。

・マイそく スタンダード……月額990円、最大1.5Mbps

・マイそく プレミアム……月額2200円、最大3Mbps

・マイそく ライト……月額660円、最大300kbps(8月下旬以降)

 モバイル通信網はau網、ドコモ網、ソフトバンク網から選べるので、使いたいスマホに合わせて選ぶといいだろう。また、音声通話・SMS機能付きの「デュアルタイプ」と、データプランのみの「シングルタイプ」が選べるが、いずれも料金は共通だ。

 データ通信の利用量に上限設定はないが、通信速度はプランに応じた上限速度が設定される。さらに、月曜日〜金曜日の昼間の時間帯と、連続3日間で10GB以上通信した翌日は、最大32kbpsの速度制限が適用される。なお、データ通信時の画像などを圧縮する「通信の最適化」は自動適用となり、解除することはできない。

・月曜日〜金曜日の12時〜13時の時間帯:上下32kbpsの速度制限(※祝日も月曜日〜金曜日なら制限対象)

・3日間で10GB以上の利用:翌日に32kbpsの速度制限

 速度制限のない高速通信は、「24時間使い放題」のオプションサービスとして提供される。料金は24時間あたり330円で、通常時の1.5Mbps、3Mbpsの制限に加えて、平日お昼や10GB利用時の32kbps制限も解除される。

●「バースト転送」で1.5Mbpsでも快適

 今回は、「マイそく スタンダード」と「マイそく プレミアム」のSIMを実際に活用して検証を行った。なお、ネットワークはドコモ網で、検証端末はXiaomi 11T Proを用いている。

 セットアップについては特筆するべきことは多くない。スマホにSIMをセットして、mineoの管理画面から初期設定を行う。スマホの操作に慣れている人なら、10分程度で完了するだろう。開通操作後、APNの設定が必要となるが、昨今のSIMロックフリースマホの多くはmineoのAPNがプリセットされており、端末上で設定をせずに接続できる場合も多い。

 通信速度の1.5Mbps、3Mbpsは「ベストエフォート」とされているが、プラン内容に応じた速度がきっちり出るように制御されているようだ。

 スピードテストアプリで計測してみると、通信開始から約1秒程度、プラン規定の速度よりもやや高速に通信していることが分かる。これは「バースト転送」が有効化されているためだ。mineoのバースト転送では、一定の通信容量を、データ通信開始時に高速通信と同じ(速度規制のない)速度で通信する。

【訂正:2022年6月16日16時30分 初出時、バースト転送の容量を75KBとしていましたが、こちらは200kbps通信時のものでした。1.5Mbps通信時は異なる容量(非公表)となります。おわびして訂正いたします。】

 バースト転送の効果で、低速通信でも実用上は気にならないシーンも多い。例えばITmedia Mobileのようなニュースサイトや、TwitterやFacebookのようなテキスト主体のSNSを閲覧するときには、1.5Mbpsの低速でもテキスト部分は速度制限なしの回線と大きく変わらない速度で表示される。Twitterのタイムラインを眺める分には気にならなかった。Twitterの画像プレビュー表示には多少のタイムラグを感じたものの、気が短い人でなければ大きな支障はないだろう。

 一方で、画像主体のInstagramでは、3Mbpsのプレミアムプランの方が明らかに快適だった。1.5Mbpsのスタンダードプランでは写真1枚を表示するために2〜3秒程度待たされることがあり、Interphoneのタイムラインをサクサク流し見するのは難しい。

 動画ではYouTubeでいくつかミュージックビデオをストリーミング視聴してみた。3Mbpsのプレミアムプランなら、フルHD(1080p)でも途切れることなく再生できた。1.5Mbpsのスタンダードプランでは、さすがに1080pは厳しいが、720p程度までならさほどストレスを感じずに再生できた。

 ただし、大容量のファイルをダウンロードする場合には、やはりそれなりに待たされる。例えばNetflixでテレビシリーズ1話(高画質設定・24分で275MB)をダウンロードしてみたところ、3Mbpsのプレミアムプランでは再生可能な状態(ダウンロード8%程度)に達するまで1分半ほどかかった。100%完了までにかかった時間は約12分40秒だった。同じ動画を1.5Mbpsのスタンダードプランでダウンロードしてみると、再生可能までに2分、ダウンロード完了までは約30分だった。

 新しいアプリをダウンロードする場合、アプリ自体の容量にばらつきがあるが、ツール系の小さめのアプリなら50MB程度のものが多いため、おおむね10分程度あればダウンロードできる。1GB以上のアプリもあるゲームアプリのダウンロードは、素直にWi-Fiや“24時間使い放題”の利用をおすすめしたい。

●超低速通信「32kbps」の実力は

 マイそくの特徴として、速度制限時の通信速度が「32kbps」と極端に絞られていることが挙げられる。この速度制限は先述のように、「月曜日〜金曜日の12時〜13時」と「3日で10GBのデータ利用を行った翌日」という2つの条件で適用される。

 32kbpsとは、大手キャリアの制限速度の約4分の1。かつての「ダイヤルアップ接続」のような速度だ。果たして実用に足る速度なのか。

 実際に使ってみた感触としては、やはり厳しい。ほとんどのデータ通信は使えないと考えていいだろう。例えば、テキスト主体のニュースサイトを開きたい場合でも、Webサイトの基本的な要素が読み込めないため、ブラウザ上では「ネットワーク無し」の表示になることがある。

 LINEのようなメッセージアプリの場合、文字だけのメッセージなら送れるし届くが、添付されている写真やスタンプを表示するのは難しいだろう。「LaLa Call」やLINE通話のようなIP電話も、安定した通話は難しい。

 なお、デュアルタイプのSIMの場合、音声通話は速度制限の影響を受けない。通常通りの発着信が可能となっている。お昼の時間帯はデータ通信をほぼ使えないが、電話の着信を逃すことはない。

●「24時間使い放題」課金でストレスフリーに

 マイそくには「24時間使い放題」というオプションが用意されており、1回330円を追加支払いで、高速通信が24時間利用できる。通信速度は通常プランの「マイピタ」と同等としている。

 MVNOというサービスの性質上、昼休みのような利用が多い時間帯は通信速度が遅くなる傾向はあるが、夕方には実測値で100Mbpsという十分なスピードでの通信が可能だった。この24時間データ使い放題を有効にすると、平日12時〜13時や、3日で10GB利用時の32kbps速度制限が適用されている場合でも、高速な通信が可能となる。普段は昼休み帯に使わないが、国内旅行時に高速な通信が必要になった場合などに重宝するだろう。

 一方で、マイそくでは「1GBあたり550円」といった形で追加のデータ容量を購入することはできない。マイネ王やmineoアプリの特典として追加データを得ることはできるが、マイそく契約中は利用できない点は注意が必要だ。

●1.5Mbpsなら「パケット放題 Plus」の方がストレスフリー

 「マイそく スタンダード」は、1.5Mbpsという低速で使い放題というプランだが、実際には完全な使い放題ではなく、「平日12時〜13時は超低速」という制約があるのは上述の通り。また、「3日で10GB通信すると翌日は超低速」となるため、低速通信をだらだらと流し続けるような使い方はあまり適していない。加えて、パケットタンクやマイネ王のボーナスパケットは、マイそくでは利用対象外となっているため、“mineoらしいギガ活”にも不自由するという点も、マイそくのデメリットといえる。

 一方で、mineoの基本プラン「マイピタ」では、「パケット放題 Plus」というオプションが提供されている。これは、基本プランの月額料金プラス385円(10GB以上のプランは無料)のオプション料金で、「低速時は1.5Mbpsで使い放題になる」というオプションだ。

 マイピタの最低容量プラン(1GB)とパケット放題 Plusの組み合わせでも、マイそくの“1.5Mbpsで使い放題”とほぼ同様の体験が可能となる。この組み合わせの場合、マイピタ側がデータプランなら月額1265円(基本料金880円+オプション料金385円)、音声通話プランなら月額1683円(月額料金1298円+オプション料金385円)で利用できることになる。マイピタ+オプションという組み合わせなら、月曜日〜金曜日の厳しい速度制限は適用されない上、マイネ王などのボーナスパケットも活用できる。マイそくよりも月額料金は上乗せされる場合があるものの、高速通信の快適さはマイピタの方が上回るだろう。

【訂正:2022年6月20日22時00分 初出時、「マイピタよりも月額料金は上乗せされる」としていましたが、正しくは「マイそくよりも月額料金は上乗せされる」です。おわびして訂正いたします。】

●参考:マイそくとマイピタの特徴まとめ

マイそく

・通信速度で月額料金を選ぶ……300kbps/660円、1.5Mbps/990円、3Mbps/2200円

・3キャリア網が選択可能、音声プランもデータプランも同料金

・高速通信は「24時間使い放題」……1回あたり330円

・月曜日〜金曜日の制限が厳しい……最大32kbps

・マイネ王のボーナスパケットは利用対象外

マイピタ

・月間容量で利用料金を選ぶ――1GB/1298円、5GB/1518円、10GB/1958円、20GB/2178円

・3キャリア網が利用可能、データ専用プランは音声プランより割安

・容量追加は100MB/55円(1GB/550円)

・速度制限時は200kbps

・月385円の「パケット放題 Plus」併用で1.5Mbps使い放題に

・マイネ王のボーナスパケットが利用可能

●「マイそく」が役立つ活用シーンを考えてみる

 ここまで見てきたように、マイそくは、スマートフォンの料金プランとしては珍しい「制限速度で使い放題」という独特の料金体系となっている。月曜日〜金曜日のお昼1時間は「最大32kbps」という強力な速度制限があるため、使う人を選ぶプランなのは確かだ。そこで、マイそくの長所を生かせる使い方を考えてみた。

(1)サブ回線用に

 動画視聴しながらSNSで“実況”したり、通話しながらスマホのカレンダーに記録したりといったシーンで、スマホが複数台あると便利な状況は多くある。こうした2台持ちのサブ端末にマイそくのSIMを挿しておけば、SNSなどをスムーズ使える。2台持ちのサブ回線としての用途なら、月曜日〜金曜日12時台の速度制限もあまり気にならないだろう。

(2)旅行用のバックアップ回線として

 マイそくをサブ回線として契約し、旅行用のモバイル回線として利用する。日常生活ではスマホのデータ通信をほとんど使わないが、旅先などでは写真のバックアップでデータ容量を大きく消費している人に適していた使い方だ。

 旅行中だけマイそくの「24時間使い放題」をオンにすれば、データ消費を抑えつつ、速度制限に悩まされることなく利用できる。

(3)通話用の4G LTEケータイで

 マイそくは、音声通話プランでもデータプランと同一の料金となっている。通話専用の回線として契約する場合は、維持費を抑えつつ運用できる。+メッセージなどを使う場合は300kbpsプランで十分。メールに添付されたWebサイトなどを開きたい場合は1.5Mbpsプランを契約すれば快適だ。ネットワークはドコモ網、KDDI網、ソフトバンク網で提供されているため、4G LTEケータイの対応回線にあわせて最適な通信網を選択できる。

(4)Wi-Fiルーターと組み合わせて固定回線代わりに

 スマートスピーカーやスマート電球、スマートロックのような製品を導入したい場合、自宅のWi-Fi環境が必須となる。固定回線を導入するほど通信しないが、ある程度の速度で通信できるWi-Fi環境を整備したいという場合、据え置き型のモバイルWi-Fiルーターとマイそくを組み合わせれば、おおむね対応できるだろう。