2021年にXiaomiがコスパに優れた高性能なタブレット「Xiaomi Pad 5」をリリースして以来、他のメーカーもタブレット市場に続々と参入している。新型コロナウイルスの影響によりリモートワークが増えたことなどから、自宅での需要が増えていることも背景にあるだろう。ノートPCより価格が安く、スマートフォンより大きい画面が使えるタブレットは、スマートフォンの次に買い足される製品になっているのだ。

●Xiaomiは中国国内で「Xiaomi Pad 5 Pro」を販売

 XiaomiのXiaomi Pad 5は日本を含むグローバル市場では1モデルだけの展開だが、中国国内では性能を高めた「Xiaomi Pad 5 Pro」も販売されている。Xiaomi Pad 5のカメラ部分はデュアルカメラのように見えるが、片側には「AI」の文字が書かれてふさがれている。これはProモデルとカメラ部分のボディーを共有しているからで、Xiaomi Pad 5 ProはWi-Fiモデルが1300万画素+500万画素のデュアルカメラ仕様となっている。さらに5G対応モデルもあり、そちらのカメラは5000万画素+500万画素。タブレットでも十分高画質な写真撮影が可能なのだ。

 その他、Proモデルの違いとして、プロセッサがSnapdragon 860から870 5Gへアップグレードしており、バッテリーは8720mAhから8600mAhへやや容量ダウンしているが、急速充電は33Wから67Wへと強化されている。中国ではマグネットで装着する端子接続のキーボード付きのカバーも販売され、ノートPCのようなスタイルで使える。公式にはアナウンスはないものの、この中国販売のキーボードは日本などで販売されているXiaomi Pad 5でも利用できる。

 XiaomiはRedmiブランドも含めてノートPCも展開しているが、PCほどの性能が不要なユーザーや、スマートフォンと共通のアプリを使いたい人などはタブレットに興味を持つようだ。他のメーカーもノートPCの展開を始めているところもあるが、やはりXiaomi Pad 5の成功にあやかろうと、次々とタブレットを投入している。

 現時点(2022年5月末)で最も新しい製品がrealmeの「realme Pad X」だ。価格は1299元(約2万5000円)。プロセッサこそSnapdragon 695と若干スペックを落とし、メモリとストレージの構成も4GB+64GBに抑えているが、この価格はタブレット入門者にとって魅力だろう。ディスプレイは11型2000×1200ピクセルで8340mAhバッテリーを搭載。本体カラーのグリーンは背面にチェッカーフラグのような模様も入れており、カジュアル感を高めている。スタイラスは499元(約9600円)、キーボードカバーは399元(約7700円)で別売だ。

 Redmi Pad XはXiaomiがRedmiシリーズとして出すべき製品だろう。しかしXiaomiはタブレットをビジネスツールとして展開しており、高い性能を売りにしている。もしもRedmiシリーズのタブレットが出てくるとすれば、価格を抑えつつキーボードは利用できないなど、簡易的な製品になるかもしれない。realmeはXiaomiの隙をついて格安タブレットを一気に売り込もうとしているのだ。realmeは2021年に「realme Pad」をリリースしたが、ペンやキーボードは非対応、ベゼルも厚いデザインだった。realme Pad Xはより洗練されたクリエイティブツールとして人気になるだろう。

●OPPOは2種類のタブレットでXiaomiを追う

 OPPOは2種類のタブレットでXiaomiを追いかける。5月発売の「OPPO Pad Air」は440gと軽量で本体の厚みも7mmを切る6.9mmとしたライトモデル。Snapdragon 680に4GB+64GB構成の価格はrealme Pad Xと同じ1299元。ディスプレイは10.36型と若干小さく2000×1200ピクセル、バッテリーは7100mAhを搭載する。スタイラスは299元(約5700円)、キーボードカバーは349元(約6700円)である。

 一方、Xiaomi Pad 5に対抗する上位モデルが「OPPO Pad」。Snapdragon 870、11型(2560×1600ピクセル)ディスプレイ、メモリ6GB+ストレージ128GB、1300万画素カメラなどXiaomi Pad ProのWi-Fiモデルとほぼ同等の性能だ。バッテリーは8360mAhを搭載。価格は2299元(約4万4000円)で、Xiaomi Pad 5 Proが2249元(約4万8000円)であることを考えると競争力は十分にある。スタイラスは499元(約9600円)、キーボードカバーは399元(約7700円)だ。

 OPPOのライバルでもあるvivoの「vivo Pad」もSnapdragon 870を搭載する。ディスプレイも11型(2560×1600ピクセル)と同等で、8040mAhバッテリーは44W充電に対応。細かい部分でXiaomiやOPPOの製品と性能を分けている。メモリ構成は最低が8GB+128GB。価格は2499元(約4万8000円)で、スタイラスが349元(約6700円)、キーボードカバーは599元(約1万1600円)だ。

 このように、ビジネスやクリエイティブツールとしてのタブレットは11型の高解像度ディスプレイの搭載が必須となっている。一方、低価格モデルでもスタイラスとキーボードが使えるなど、各社のタブレットは「画面が大きいだけのスマートフォン」から脱却し、ノートPCの代替製品あるいは下位モデルという位置付けの製品として展開されている。

 同じAndroid OSを搭載することで、タブレット内にスマートフォンの画面をそのまま投影しデータの共有なども簡単にできる機能も搭載。2つのデバイスをシームレスに利用できるとなれば、なおさらタブレットを購入する人が増えるわけだ。

●HonorはWi-Fiモデルと5Gモデルの両方で展開

 さて、Xiaomiより先にタブレットの投入を始めたのがHonorだ。Huaweiからの独立後、2021年3月には早くも「HONOR Pad 7」をリリースした。しかし10.1型と小型のディスプレイに、プロセッサがMediaTek Helio G80とスペックも低かったことや、スタイラス・キーボード非対応ということもあって、あまり話題にはならなかった。

 その後、Xiaomi Pad 5が登場したことを受け、発売したのが「HONOR Pad V7」と「HONOR Pad V7 Pro」の2モデルだ。Xiaomi以外のメーカーのタブレットはQualcommのプロセッサを搭載しながらもWi-Fiモデルのみだった。HonorはMediaTekの5Gプロセッサを採用し、Wi-Fiモデルと5Gモデルの両展開を行っている。

 HONOR Pad V7はMediaTek Kompanion 900T、メモリ6GB、ストレージ128GB、10.4型(2000×1200ピクセル)ディスプレイに1300万画素カメラ、7250mAhバッテリーを搭載してWi-Fiモデルが1999元(約3万9000円)、5Gモデルが2599元(約5万円)。

 HONOR Pad V7 ProはKompanion 1300Tにメモリ6GB、ストレージ128GB、11型(2560×1600ピクセル)ディスプレイを搭載してカメラは1300万画素+200万画素のデュアル、バッテリーは7250mAh。価格はWi-Fiモデルが2599元(約5万円)、5Gモデルが8GB+256GB構成で3699元(約7万1000円)である。なお、スタイラスは499元(約9600円)、キーボードカバーは799元だ(約1万5400円)。

 HONOR Pad 7シリーズは価格設定からも分かるように、パフォーマンスを重視した製品であり、旧Huawei時代を感じさせる「性能と品質」を売りにしたモデルとしている。

●忘れてはいけないHuaweiの存在

 さて、スマートフォンやタブレットと言えば、Huaweiの存在も忘れてはいけない。Huaweiも「MatePad」シリーズを今でも展開しているが、その中でも異色の存在となるのが「MatePad Paper」だ。日本でも発売されたこのタブレットは、電子ペーパーディスプレイを搭載し、スタイラスも標準装備。手書きメモアプリは音声の同時録音や手書き文字のテキスト化機能も搭載している。日本語のテキスト化も可能だ。OSはHarmonyOS 2を搭載するが、Huaweiの電子書籍ストアの利用が可能な他、Kindleアプリなどをインストールできるようだ。

 MatePad Paperは電子ペーパータブレットとしても品質が高く、過去にスマートフォンがポルシェデザインと提携していたように、高級文具メーカーとコラボした製品の展開も期待できる。スピーカー品質もより音声に特化しているとのことで、「デジタルノート+電子書籍・コミックリーダー+音声コンテンツ再生端末」として使えるため、他社のスマートフォン利用者も電子文具としての使い道があるだろう。中国での価格は2999元、約5万8000円だ。

 中国ではPCやタブレットメーカーも多数の製品を展開しているが、スマートフォンメーカーの製品なら、前述したようにタブレットとスマートフォンの連携もスムーズに行われる。タブレットメーカー側も5G搭載モデルで対抗するなど、今後は両陣営の競争が激しくなりそうだ。