多くのキャリアやMVNOが携帯電話の料金プランを見直し、選択肢も増えてきました。一方、ハイエンドスマートフォンを中心に、端末の価格は値上がりの傾向にあります。機種によっては20万円を超えるものも現れてきました。

 そんな端末をお得に購入できる「残債免除プログラム(端末購入プログラム)」を、NTTドコモ、KDDI、ソフトバンク、楽天モバイルの4キャリアが提供しています。そこで今回は、各社の残債免除プログラムをまとめてみました。

※記事内の価格は全て2022年7月28日の価格で税込みとなります。

●残債免除プログラムとは何か

 まず、残債免除プログラムとはそもそも何かという点から説明していきます。

 残債免除プログラムには大きく分けると「残債免除」と「残価設定ローン」の2種類の方法があります。

・残債免除……機種を分割購入し、規定の期間(キャリアごとに異なる)が過ぎたら機種回収を条件に残りの機種代が免除になる購入方法

・残価設定ローン……残価(購入した商品の数年先の価値:販売者の買い取り保証額)をあらかじめ設定し、残価を除いた金額を分割で支払っていく購入方法

 2種類の購入方法のどちらにもいえることは、分割で購入すると機種代金が安くなるという点です。

 一括で購入すると必ず全額支払わなければいけませんが、分割で購入した場合は、残債免除プログラムを使って安くすることもできれば、そのまま払い続けたとしても一括と総額は変わらないので、金額面の損はありません。

 機種を購入する方法は、Apple Storeなどのメーカー直営店でSIMロックフリー端末を購入する方法や、中古業者から購入する方法など、キャリアショップで購入をせずとも購入する方法はありますが、上記の点から、キャリアショップで残債免除プログラムを利用して機種を購入することで、ユーザーは機種を安く購入することができます。

 以前は新しい機種を購入しなければならなかったり、そのキャリアで回線契約がないといけなかったりしましたが、現在は過去のプログラムも含めてその条件は撤廃されたので、例えば回線はランニングコストが安い格安キャリアを契約していたとしても、機種は大手キャリアで残債免除プログラムを利用して購入することもできるわけです。

●残債免除プログラムの注意点

 残債免除プログラムには注意点がいくつかあります。

 まず、どのキャリアの残債免除プログラムも必ず「機種の回収が条件」という点です。機種を手元にずっと置いておきたいという方は、残債免除プログラムが使えません。

 また、回収する際に機種が故障していたり破損をしたりしていると、ユーザー側に料金が発生し、最悪のケースでは回収不可となりプログラムが適用できなくなります。発生する料金に関しても、キャリアの保証に加入しているかどうかで、金額が変わってきます。

 回収不可となるケースはキャリアごとに多少異なりますので、この後のキャリア別での説明で解説いたします。

 現在の各キャリアの残債免除プログラム内容を解説していきます。

 1点注意をしなければならないのが、現在の残債免除プログラムの内容は以下になるのですが、1年前や2年前など、購入したタイミングにより、残債免除プログラムの内容が変わってきます。

 残債免除プログラムは返却するタイミングでの内容ではなく、機種を購入したタイミングでのプログラム内容が適用になりますので、その点はご注意ください。

●ドコモ:スマホおかえしプログラム/いつでもカエドキプログラム

 ドコモには2種類の残債免除プログラムがあります。

 2021年夏モデルより前の機種に適用される「スマホおかえしプログラム」と、2021年iPhoneと冬モデル以降に適用される「いつでもカエドキプログラム」です。購入する機種によって適用される残債免除プログラムが異なりますので、ご注意ください。

 また、ドコモの場合はプログラムに加入した翌月を1カ月目とし、1カ月目でのお支払いを1回目のお支払いと表現していますので、それを前提にお読みください。

 スマホおかえしプログラムは、dポイントクラブもしくはドコモビジネスメンバーズ会員の方が、対象機種を36回の分割払いで購入し、その後、対象機種を返却して査定完了をすると、その翌々月請求分以降の分割支払金(最大12回分)が不要となる残債免除方法のプログラムです。

 いつでもカエドキプログラムは、dポイントクラブに加入している方が、対象機種を残価設定型24回払いで購入し、23カ月目までに対象機種を返却し査定完了をすると、24回目(残価)の支払いが不要となる残価設定ローン方法のプログラムです。

 いつでもカエドキプログラムは返却時期により適用内容のパターンが3つあります。

・パターン1(1〜22カ月目にプログラム利用した場合):支払24回目(残価)の支払いが不要。利用が早い場合には早期利用特典として、返却翌月〜23回目までの分割支払が割引されます

・パターン2(23カ月目にプログラム利用した場合):支払24回目(残価)の支払いが不要。23カ月目までに対象機種を返却しない場合、支払期間(回数)を49カ月(47回)に延長し、24回目(残価)の分割支払金をさらに24分割した金額を24回目以降の各回の「再分割支払金」として支払う

・パターン3(24〜46カ月目にプログラム利用した場合):翌月以降の再分割支払金の支払いが不要

 例としてiPhone SE(第3世代)64GB をいつでもカエドキプログラムで購入した場合、支払い1回目は端数分が足されるので1650円、2回目から23回目までは月々1640円の機種代金が発生し、24回目に支払いの残価設定は3万5640円となるため、支払総額は7万3370円となります。

 しかし23カ月目に機種を返却した場合、この残価の支払いが不要になりますので、実質3万7730円で購入することができます。

 両方のプログラムとも、対象機種の回収が条件となっておりますが、 以下の場合は特典を利用することができません。

・暗証番号ロック解除とオールリセットが実施されていない場合

・製造番号が確認できない場合

・改造などメーカーの保証外となるような場合

・ネットワーク利用制限がかかっている場合

・基板が断裂している場合

・対象機種がドコモの指定する正規店で購入されたものではない場合

・支払い債務に滞納がある場合

●au:スマホトクするプログラム

 auは現在「スマホトクするプログラム」という名称の残債免除プログラムがあります。

 このプログラムは、ドコモのいつでもカエドキプログラムと同じで、24回払いで購入し、13カ月以上ご利用後、25カ月目までに対象機種を返却し査定完了をすると、支払い24回目(残価)の支払いが不要となる残価設定ローン方法のプログラムです。

 例としてiPhone SE(第3世代)64GB をスマホトクするプログラムで購入した場合、支払い1回目から23回目までは月々1665円の機種代金が発生し、24回目支払いの残価設定は3万2640円となるため、支払総額は7万935円となります。

 しかし25カ月目に機種を返却した場合、この残価の支払いが不要になりますので、実質3万8295円で購入できます。

 25カ月目以降もiPhone SE(第3世代)64GBを継続してご利用する場合は、ユーザーからの申し出がない限り、支払い状況などに基づく一定の審査後、3万2640円(残価)を再度24回に分割して月々の料金に加算されます。一括で払うこともできますが、25カ月目から48カ月目の間で対象機種を回収すると、回収月の請求分を含めた残債の支払いが不要になりますので、対象機種を48カ月目まで絶対使用するという方以外は、そのまま分割の方がお得になります。

 またスマホトクするプログラムで購入した機種代金の支払い方法をau PAY カードに設定すると、最大で支払総額の5%相当のPontaポイントが還元される「スマホトクするボーナス」というお得な還元プログラムも同時併用できます。

 月々還元するPontaポイントは、支払総額の5%を23回分割した金額と同額相当のポイントになりますので、例えば先ほどの総額7万935円のiPhone SE(第3世代)64GBを購入した場合、その5%になるので月々154ポイント、総額3542ポイント還元されます。

 プログラムを適用させるためには対象機種の回収が条件となっておりますが、 以下の場合は特典を利用することができません。

・暗証番号ロック解除とオールリセットが実施されていない場合

・製造番号が確認できない場合

・改造などメーカーの保証外となるような場合

・故障・破損が著しい場合

●ソフトバンク:新トクするサポート

 ソフトバンクは現在「新トクするサポート」という残債免除プログラムを提供しています。

 このプログラムは、対象機種を48回の分割払いで購入し、25カ月目以降に対象機種を返却し(1年くりあげオプション利用時は13カ月目以降 ※分割支払金の残回数が36回以下)査定完了をすると、査定完了翌請求月以降分の分割支払金(最大24回分)の支払いが不要となる残債免除方法のプログラムです。対象機種は特典利用申込日が属する月の翌月末までに回収が条件です。

 例としてiPhone SE(第3世代)64GB を新トクするサポートで購入した場合、支払総額7万3440円を48カ月払いで契約するので、2カ月目以降月々1530円支払うことになります。

 しかし25カ月目に機種を返却した場合、残りの24回支払い分の残債が免除となるので、実質半額の3万6720円で購入することができます。

 プログラムを適用させるためには対象機種の回収が条件となっておりますが、 以下の場合は特典を利用することができません。

・電源が入らない(スリープボタンが正常に作動しない)場合

・暗証番号ロック解除とオールリセットが実施されていない場合

・製造番号が確認できない場合

・改造などメーカーの保証外となるような場合

・特典利用の時点で本プログラムを解約・解除・終了している場合

・支払い債務に滞納がある場合

●楽天モバイル:iPhoneアップグレードプログラム

 楽天モバイルは「iPhoneアップグレードプログラム」という残債免除プログラムを提供しています。

 このプログラムは、対象機種を48回の分割払いで購入し、25カ月目以降に対象機種を回収し査定完了をすると、査定完了翌請求月以降分の分割支払金(最大24回分)の支払いが不要となる残債免除方法のプログラムです。

 例としてiPhone SE(第3世代)64GB をiPhoneアップグレードプログラムで購入した場合、通常支払総額6万6800円となりますが、現在、終日未定のキャンペーンにより、4000円の割引が入るので、支払総額は6万2800円となります。それを48カ月払いで契約すると月々1308円支払っていくことになります。

 しかし25カ月目に機種を返却した場合、残りの24回支払い分の残債が免除となるので、実質半額の3万1392円で購入することができます。

 他のキャリアと違い、楽天モバイルの残債免除プログラムとは条件が少し異なります。

・対象機種はiPhoneのみ

・プログラムを利用する際には3300円の手数料がかかる。

 プログラムの利用方法は、楽天モバイルで新しくiPhoneを購入するのと同時に返却するか、新しい端末を購入せずに端末のみ返却するかを選べますが、どちらを選んでも手数料の支払いは必要となります。

・申し込める年齢は満18歳以上

・支払い方法は契約者本人名義の楽天カードのみ

 家族名義の楽天カードや、契約者本人名義でも楽天カード以外のクレジットカードの支払いではプログラムが適用されません。

 プログラムを適用させるためには対象機種の回収が条件となっておりますが、 以下の場合は特典を利用することができません。

・電源が入らない(スリープボタンが正常に作動しない)場合

・暗証番号ロック解除とオールリセットが実施されていない場合

・製造番号が確認できない場合

・改造などメーカーの保証外となるような場合

・返却期限までに旧端末が返却されない場合

・故障・破損の程度を逸脱した損傷がある場合

・故意、または重過失による故障・損傷などがある場合

 特に注意が必要なのは、返却期限です。せっかく機種がきれいな状態であっても、期限を過ぎてしまうと全額支払いになってしまいます。

 iPhoneアップグレードプログラムの返却期限は以下の通りです。

・機種変更して返却する場合は新端末を受け取った日から20日以内

・機種変更せずに返却する場合は解約申請月の翌月15日まで

 楽天モバイルから返却キットが届いたら、できるだけ早く返却するようにしてください。

●どのキャリアのプログラムがお得?

 実際iPhone SE(第3世代)64GBを例に出し説明しましたが、並べて比較をすると、実質価格が最も安いのは、支払い総額も安い楽天モバイルとなりました。一方、支払総額では一番高いソフトバンクが、実質負担ではドコモとauより安くなりました。

・楽天モバイル:支払総額6万2800円、免除額3万1408円、実質負担額3万1392円+3300円

・ソフトバンク:支払総額7万3440円、免除額3万6720円、実質負担額3万6720円

・ドコモ:支払総額7万3370円、免除額3万5640円、実質負担額3万7730円

・au:支払総額7万935円、免除額3万2640円、実質負担額3万8295円

 iPhone SE(第3世代)64GBに関して言えば、一番お得に購入できるのは楽天モバイルなので、楽天モバイルで購入することをおすすめします。

 しかし機種によって各キャリアの端末代金は異なるので、使う機種はなるべく最新機種が良い方や、2年のサイクルで機種を変更したい方などは、各キャリアの総額で比較するのではなく、このように残債免除プログラム(端末購入プログラム)を利用して実質負担額はいくらになるのかで比較して購入してみてください。

●著者プロフィール

藤木あずさ

 大手から格安までさまざまな通信キャリアを扱うモバイルショップ「TOP1」やドコモ・au・ソフトバンク・楽天モバイルなどのキャリアショップを代理運営する「株式会社D-POPS」に2010年に入社。ソフトバンクショップの現場で10年販売に従事し、現在はコンテンツマーケティング部署に所属。現場で得た知識や現場の声を基に「複雑で分かりにくいといわれるモバイル業界の情報を、誰が読んでも分かりやすく」をモットーに記事の執筆にあたっている。

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