ついに出そろった2022年夏のハイエンドスマートフォン。今回はその中から「Galaxy S22 Ultra」「Xperia 1 IV」「AQUOS R7」を実際に使ってみて、どんな人に向いているのか考察してみた。

●高いスペックと各メーカーの個性が光る

 最初に、今回取り上げる3機種の基本スペックを確認しよう。

 どれもハイエンド機種とあって、スペックに関しては申し分ない。共通している点はSnapdragon 8 Gen1を採用してメモリが12GBであること。ストレージは全機種256GBの容量を確保しているが、Galaxy S22 UltraのみmicroSDスロットを搭載していない。

 画面サイズを見ると、Galaxy S22 Ultraが6.8型と大型であり、次いで6.6型のAQUOS R7、6.5型のXperia 1 IVとなる。Xperiaは21:9比率の関係で、他の端末に比べて横幅がシェイプされたように感じる一方で、Galaxyでは本体の横幅があるので、見た目以上に大きく感じる。

 実際に持ってみると、横幅が小さいXperiaは手になじんで持ちやすい。AQUOSも同じく持ちやすいが、フレームの部分が若干とがっており、角が立つ感覚となる。Galaxyは横幅が大きいが、フレームは弧を描くものになっているため、持ち心地はとても良い。

 世界的なトレンドでもあるが、近年ではエッジディスプレイといわれる端末が減ってきている。画面左右のベゼルを目立ちにくくできる利点はあるが、耐久面やコスト面で難がある。Galaxyのみエッジがあるが、従来モデルに比べて角度や表示部は控えめだ。

 全機種共通としている部分として、5Gのミリ波に対応している。加えて Xperia 1 IVと AQUOS R7ではeSIM にも対応しており、サブ回線を運用することも可能だ。

 取り扱いキャリアはGalaxy S22 Ultraがドコモとau。Xperia 1 IVがドコモ、au、ソフトバンク、AQUOS R7がドコモとソフトバンクとなっている。大手3キャリアで販売されているのはXperiaのみ。Xperia については、キャリアによって取り扱いのあるカラーが異なる点は注意したい。

●3機種共に注目度の高いカメラ性能をチェック 撮り比べてみた

 続いて、それぞれのカメラ性能から見ていこう。今回比較にあげる機種はどれもカメラ性能の高さを売りにしており、関心のある人も多いだろう。

 Galaxy S22 Ultraは1億画素センサーをはじめとした、4眼レンズのカメラが特徴だ。フォーカスエンハンサーという複数のレンズを用いて合成し、ピンボケを防ぐ機能を備えているので、簡単にきれいに撮影できる。

 Xperia 1 IVは可変式連続ズームを備えた望遠レンズを備える3眼構成だ。秒間20コマ連写やPhoto Proによるマニュアルでの撮影体験を重視している。レンズにはT*(ティースター)コーティングを施し、本体側面にシャッターボタンを備えるなど、スマートフォンよりはカメラに近いアプローチを取っている。

 AQUOS R7は1型の大型センサーを備える。カメラ構成は深度センサーを含めた2眼構成だが、ライカ監修でイメージセンサーを新規設計のものに変更した。AQUOS R6の弱点だったAFの遅さも解消し、素早くピントを合わせられる。

 以下に3機種で撮影した写真を並べていく。撮影条件は全てオート撮影となる。Galaxyはやや派手目の色となるが、Xperia や AQUOS はどちらかというと目で見たものに近い自然な色味となる。

 夕暮れの風景写真は、どの機種でも派手に白飛びすることもなくきれいに撮影できている。よく見ていくとGalaxyとXperiaは看板の骨組みのディティールが残っているが、AQUOSでは若干ボケてしまっている。

 ピザはどれもおいしそうに撮影できている。特徴的な点として、Galaxyではフォーカスエンハンサーの合成処理が効いており、奥までボケずにピントを合わせた撮影ができている。

 夜景については、どの機種でも白飛びも抑えられており、強力なHDR処理がかかっていることが分かる。Xperiaは夜景モードを備えていないため、通常のオートモードでの撮影となる。各社ともきれいに撮影できるが、目で見た雰囲気に近いものを出しているのはXperiaだ。

 それぞれの特徴を見比べていくと、Galaxy S22 Ultraは光学3倍と10倍相当の望遠レンズを備えているのがポイントだ。2022年に発売されたスマートフォンの中でも随一の性能を持ち、加えて強力な手ブレ補正と画像処理の効果で撮影しやすい。

 Xperia 1 IVは、超高速の連写が可能なところがポイントだ。秒間20コマ連写は子どもやペットといった不規則に動く被写体では優位に働き、ミスショットを少なくしてくれる。望遠も125mm相当(光学5倍)の撮影が可能になったことで、撮影の幅がより広がった。

 AQUOS R7は1型センサーからなる表現力の高さが魅力だ。マニュアル撮影も充実したことで、今までのスマートフォンでは難しい作例も撮影できるようになった。

●各モデルの独自機能をチェック

 基本的なSoCやメモリのスペックはおおむね同じなので、ここからは端末固有の機能を中心に比較していこうと思う。

 Galaxy S22 Ultraの特徴として、Sペンを用いたユーザー体験、使い勝手のいい「One UI」に加えて長期のサポートがある。本体に格納されているスタイラスペンは簡単にメモやイラストを書くという用途にも利用できるが、カメラのリモートシャッターとしても利用できる。ただのペンではなく、ユーザー体験を向上させる拡張アイテムなのだ。

 One UIという独自のカスタ厶UIも選ぶ理由となる。カスタマイズ性に非常に富んでおり、ユーザー好みに調整したり、機能を追加したりすることが可能だ。筆者的にはDeXと呼ばれる機能が特徴的で、これはスマートフォンをUSBケーブルでモニターなどに接続するとデスクトップモードが表示されるものだ。BluetoothのマウスやキーボードがあればPCのように操作できるのはうれしい。

 どれだけ長期にわたってアップデートされるのかも気になるところだ。SamsungはGalaxyについて3年間のOSアップデートを約束しており、実際にGalaxy S10は日本国内でもAndroid 12へのアップデートが行われた。この Galaxy S22 Ultraでもセキュリティパッチを含めて、4年間は安心して使うことができると考えられる。

 一方、惜しいところを挙げるのであれば、Bluetooth のコーデックの対応が他社の機種に比べて少ない点だ。aptX Adaptiveといった最新コーデックには非対応となっており、これはGalaxy Buds Proなどの自社商品を使ってほしいという考えなのだろう。

 Xperia 1 IVに関してはソニー独自の機能が特徴といえる。今回紹介したスマートフォンの中では、最もアプローチがトレンドと異なるものであり、最も独自性があるといえる。カメラ性能も比較的高いが、それ以上にエンタメ性能に非常に特化している。音響エフェクトなども充実しており、安価なラインの「ウオークマン」といい勝負ができるレベルだ。

 単独でのゲーム配信機能、高性能な宅録アプリとなるMusic Proなどを備え、他社のスマートフォンではできないような体験が可能になる。

 惜しいところは、一般ユーザーには少々勧めにくい点だ。日本においてソニーのブランドは強いのだが、近年のハイエンドXperiaに関してはクリエイターや動画配信者などを意識した機能が多く、ユーザーを選ぶ商品となってしまっている。

 AQUOS R7に関しては何と言ってもカメラ性能が特徴だ。AQUOS R6の不満を解消したことで、海外のカメラ性能が非常に高い機種とも真っ向勝負で比べられるだけの商品に仕上がっている。筆者もいくつかこの機種で撮影したが、数年前のAQUOSとは比べものにならないほど撮影体験は向上している。

 AQUOS独特の滑らかなスクロールや2本指を用いてセキュリティ性能を高めた指紋認証である「Sonic MAX」にもしっかり対応している。本体性能も着実に上がり、今まで弱いと言われ続けていたエンタメ機能に関しても、従来に比べれば大幅に改善されている。

 microSDスロットや有線イヤフォンジャックを従来通り備えた点に加え、Snapdragon Soundにも標準対応するなど、Bluetoothイヤフォンへの対応具合も文句なしだ。

 惜しいところを挙げるなら、いい意味でも悪い意味でもカメラ特化のスマートフォンとなってしまったことだ。スマートフォンはカメラ性能が良いだけでは、ユーザーの評価はついてこない。約19万円という価格を考えると、トータルの完成度が高くなければいけないが、エンタメ機能などは前述の2機種に比べるとまだまだ弱い。

●2022年のハイエンドスマートフォンは、個性とよく使う機能で選ぼう

 トータルでの完成度を求めるのであれば、Galaxy S22 Ultraを推したい。超広角カメラや望遠カメラの性能において全く抜かりがなく、撮影のしやすさでは群を抜いている。画面性能に関しても良好で、直射日光下の環境では画面輝度が一時的に上がるような挙動も見られ、画面視認性向上につながっている。

 もちろん、本体がやや大型なこと、イヤフォンジャックやmicroSDスロットが利用できないこと、バンド制限があって他社キャリアで利用しにくいといった不満点はあるが、それを差し引いても多くのユーザーにお勧めできるスマートフォンであると感じた。加えて、本体格納式のSペンの存在は大きく、ここは「Galaxy Note」シリーズの要素も非常に多く取り込まれている。このペンの存在を理由に検討してもいいくらいだ。

 遊びの要素を存分に楽しむのであれば、Xperia 1 IVだ。他のスマートフォンとは一線を画す商品であるが、その分、唯一無二の魅力を多く備えている。マニュアル撮影も柔軟に対応するPhoto ProやVideo Proといったアプリケーション、スマホ単独でのゲーム配信も可能なGame Enhancer、高音質での宅録が可能なMusic Proなどは、Xperia 1 IVでしか体験できないものだ。

 加えて画面に関してもキャリブレーションされた4K画面、高品質なスピーカーの相性は抜群だ。映像を視聴する場面で、これほどまでに良質な視聴環境のスマートフォンは数少ない。各キャリアの主要バンドにも対応し、他社に乗り換えても安心して使える。ハイエンドXperiaでは初のeSIM対応もうれしい限りだ。

 「やはりカメラ性能を重視する」という方はAQUOS R7をお勧めしたい。GalaxyやXperiaのような望遠レンズは備えていないが、1型センサーを搭載した短焦点スナップカメラだと思えば、唯一無二に近い。ライカと組んだことによる独特な雰囲気の演出も含め、まさに「このスマートフォンでなければ撮れない写真」がある。

 スマートフォンとしての機能も非常に優秀で、キャリア発売機種でありながら、国内キャリアの主要バンドに対応している。そのため、他社に乗り換えても安心して使える点は大きな魅力だ。Xperia同様にeSIMに対応している点も大きい。

 さて、2022年日本で発売されたハイエンドスマートフォン3機種を使ってみて、どのモデルも非常に個性にあふれていると感じた。コモディティ化が進むスマートフォンの世界において、どの機種も他社とは違う差別化が図られている。

 ハイエンドスマートフォンは長期間利用される方も増えてきている。どの商品をとっても18万円前後の価格設定と、以前に比べて高価なものになってきている。これからはユーザーがスマートフォンで何を重視するのかが重要になる。興味がある方は、実際に店頭で触って吟味した上で商品を選んでほしい。