MMD研究所調べによると、メインで使っているスマホのOSの比率が、国内では49.4%がiOS、つまりiPhoneとのことです。あくまでも同研究所調べの結果になりますが、2019年12月の同様の調査でiPhoneがシェア42.8%だったことを考えると、じわじわと増えているようです。
ということは、AndroidからiPhoneへ機種変更する人もいるはずですよね。同じOS間(しかも同じメーカー間)であれば機種変更は簡単ですが、AndroidスマホからiPhoneへ機種変更するにはどうすればいいのでしょうか。また、おサイフケータイの残高はどうなるのでしょうか。
全てを網羅することはできませんが、代表的な方法をいくつか紹介します。
●「Move to iOS(iOSに移行)」アプリを使う
ドコモでは「ドコモデータコピー」、auなら「データお引っ越し」、ソフトバンクであれば「あんしんバックアップ」など、キャリアごとに機種変更時に活躍するアプリを用意していますが、キャリアに関係なくAndroidからiPhoneへ機種変更する場合、最も簡単なのは、Appleが用意している「Move to iOS(iOSに移行)」アプリを使うことでしょう。
これは、Android向けアプリで、機種変更前、つまりデータのコピー元であるAndroidスマホにあらかじめインストールして使うものです。
コピー可能なデータには以下のようなものがあります。
・連絡先
・メッセージ履歴
・カメラで撮った写真、動画
・フォトアルバム
・ファイルやフォルダ
・アクセシビリティ設定
・ディスプレイ設定
・Webブラウザのブックマーク
・メールアカウント
・WhatsAppメッセージとメディア
・カレンダー
・共通する無料アプリ
など
ただし、機種によって、必ずしもコピーされるというわけではないことに留意しましょう。
●事前にやっておくべきこと
新しいiPhoneを手に入れて、Androidからデータをコピーする前にやっておくことをおさらいしておきましょう。
・1. Move to iOS(iOSに移行)アプリをAndroidスマホにインストールしておく
・2. Androidスマホで「Wi-Fi」を有効にしておく
・3. AndroidスマホとiPhoneの両方とも電源に接続しておく
・4. Androidスマホに外付けストレージ(Micro SDカードなど)を挿入している場合、データ総量がiPhoneのストレージに収まることを確認しておく
・5. Chromeのブックマークを転送するのであれば、Androidスマホ側で最新バージョンにしておく
●AndroidデータをiPhoneへコピーする
準備が整ったら、作業を始めます。なお、ここで使用した端末は「iPhone SE(第3世代)」と「Galaxy Note10+」です。
機種変更先のiPhoneの電源を入れたら、画面の指示に従って進めていきます。iPhone SEにはホームボタンがあるので、ホームボタンを押して、言語の設定、「国または地域を選択」へと進めます。
すると、「クイックスタート」画面になります。ここでは「手動で設定」をタップしましょう。
「文字入力および音声入力の言語」は特に何もせずに「続ける」をタップ。
「Wi-Fiネットワークを選択」画面では、自宅のWi-FiのSSID(任意に付けてあるWi-Fiのネットワーク名)を選び、Wi-Fiのパスワードを入力して接続します。
iPhoneのアクティベートが始まります。それが済むと「データとプライバシー」画面が表示されるので、特に何もせず「続ける」をタップ。
Touch ID、パスコードなどセキュリティの設定を終え、「Appとデータ」まで進みます。ここでは「Androidからデータを移行」を選びましょう。
すると、AndroidスマホにインストールしたMove to iOS(iOSに移行)アプリアイコンと同じ画像がiPhoneのディスプレイ上方に表示され「Androidから移行」という画面が表示されます。ここでは「続ける」をタップしましょう。
次の画面に切り替わるのを待つ間、今度はAndroidスマホ側で操作を進めておきます。まず、インストールしたMove to iOS(iOSに移行)アプリを開いて使えるようにしておきます。これには利用条件への同意、Appの使用状況の送信の許可・不許可の設定、位置情報へのアクセスの設定などがあります。
位置情報の権限設定が済むと、「コードを確認」画面が表示されます。
ここで、iPhoneに表示された6桁のコードを、Androidスマホの「1回限りのコードを入力」画面で入力します。これにより、一時的にiPhoneとAndroidスマホがWi-Fiでつながります。
しばらく待つと、Androidスマホ側では「データを転送」が、iPhone側では「“xxxx(Androidスマホ機種名)”を待機中」が表示されます。Androidスマホ側で、転送したいデータをタップして、許可が必要なものであれば「許可」をタップしつつ、選択していきましょう。
最後に「続ける」をタップすれば、データ転送が始まります。
しばらくすると、両端末で「転送が完了しました」と表示されます。Androidスマホ側はこれで操作完了です。続けて、「iPhoneの設定を続ける」をタップして、iPhoneの設定を完了させます。
なお、AppleIDを設定しておかないと、Androidスマホと共通する無料アプリをインストールすることができません。筆者は、ここで設定しなかったため、以前使っていたアプリを手動でApp Storeからダウンロードすることになってしまいました。
これで、Move to iOS(iOSに移行)アプリを使ったAndroidスマホからiPhoneへのデータコピーは完了です。
実際にコピーされたデータは以下のようになりました。
・写真ライブラリ
・カレンダー
・メールアカウント
・共通アプリ
コピーされなかったデータは以下の通りです。
・メールアカウントのパスワード情報
・アプリのログイン情報
・アクセシビリティ設定
・メッセージアプリで受信した内容
・Webブラウザのブックマーク
●おサイフケータイの残高に注意
データやアプリを移行(厳密にはコピー)できましたが、おサイフケータイの中身はどうなるのでしょうか。
代表的なところで、nanaco、WAON、楽天Edy、Suica、PASMOの例を紹介します。
nanaco モバイル for Android
・引き継ぎ:○
nanacoのマネー残高とポイント残高は、そのままiPhoneへ引き継げます。それには、7iDのnanaco登録番号、パスワードなどが必要になるので、あらかじめ登録しておくか、登録済みの場合はすぐ分かるように準備しておきましょう。
次いで、Androidスマホ側で操作していきます。nanaco モバイル for Androidアプリを開き、下にある「機種変更」をタップします。会員メニュー用パスワードを入力して「次へ」をタップすると「引継番号発行開始」が表示されるので、タップ。
すると、引継番号が表示されるので、それをメモするか、その画面のままiPhoneの操作を始めます。
iPhone側では、nanacoアプリをダウンロードし、先ほどの引継番号と会員メニュー用パスワードを入力、最後にApple Payにカードを追加することで、Apple Walletでnanacoカードを使えるようになります。
楽天Edy
・引き継ぎ:×
おサイフケータイで使っていた楽天EdyをiPhoneへ引き継ぐことはできません。楽天EdyアプリにiPhoneが対応していないからです。そのため、楽天Edy内に使っていないマネーがある場合は、全額使い切るようにしましょう。
・詳しくはこちら
モバイルWAON
・引き継ぎ:×
Apple PayでもWAONを使うことはできますが、おサイフケータイ対応のモバイルWAONから残高を移行することはできません。そのため、モバイルWAON内の残高を使い切らなければなりません。
引き続き、WAONサービスを使いたい場合は、再度、新規登録が必要になります。
詳しくはこちら
モバイルSuica
・引き継ぎ:○
おサイフケータイで使っていたモバイルSuicaは、Apple PayのSuicaへと移行することができます。手順は、nanacoの場合とほぼ同様です。
モバイルSuicaに登録したメールアドレスとパスワードを用意しておき、Androidスマホ側でモバイルSuicaを立ち上げ、「カードを預ける(機種変更)」をタップして、カードない情報をサーバに退避させます。
次いで、iPhone側にSuicaアプリをインストールし、おサイフケータイで使っていたモバイルSuicaのメールアドレスとパスワードでログインして機種変更。Apple Walletを立ち上げて、移行したSuicaが表示されていることを確認して終了です。
モバイルPASMO
・引き継ぎ:○
おサイフケータイのモバイルPASMOの残高や定期券情報などは、Apple Payに移行することができます。注意したいのは、移行前にiPhoneのApple PayでPASMOを設定してしまうと、退会しない限り旧端末で使っていたPASMOを移行できないこと、またiPhoneからAndroidスマホへはPASMOを移行できないということです。
移行手順は、こちらもnanacoの場合と同様、モバイルPASMOの会員登録を済ませておき、そこで使ったメールアドレスとパスワードを準備しておきます。
おサイフケータイアプリ内でPASMOを開き、「カードを預ける(機種変更)」をタップ。iPhone側でPASMOアプリをインストールしておき、初期画面内から「機種変更・利用していたPASMOが見つからない方」→ログイン。会員登録内容確認画面で「機種変更する」をタップ、後は画面の指示に従って完了させることで移行できます。
なお、モバイルSuicaとモバイルPASMOともに、「カードを預ける(機種変更)」をタップして、カード情報をサーバに預けてしまうと、それ以降はそのスマホで使えなくなってしまいますので、注意しましょう。
●Googleのサービスを活用する方法もアリ
今回は、Androidスマホで撮影した写真や動画を、iPhoneへコピーしたところ、データ容量が30GBを超えていたこともあり、1時間49分という長い時間待つ必要がありました。
写真をコピーする時間を短縮するのに便利なのが、Google フォトサービスです。Androidスマホユーザーであれば、Googleアカウントを持っていることでしょう。Googleアカウントがあれば、Googleが提供する各種サービスを基本無料で使えます。撮影した写真をGoogleフォトにアップする設定をしておけば、バックアップは万全。iPhoneにGoogleフォトアプリを入れておくだけでよく、ストレージを圧迫することもありません。
メールも、最初からGmailを使っておけば、キャリアを変更しても同じメールアドレスを使い続けられますし、機種変更時にはGmailアプリをインストールしたり、iPhone標準のメールアプリでアカウント設定したりするだけで使い続けられます。わざわざiOSへ移行する必要もありません。