3月22日10時から、JR西日本(西日本旅客鉄道)が「モバイルICOCA」のサービスを開始しました。
この記事では、モバイルICOCAの始め方と注意点を解説します。
●必要なスマホの要件は?
モバイルICOCAは、原則としてAndroid 10以降をプリインストールする、おサイフケータイ(モバイルFeliCa)搭載のAndroidスマートフォンで利用できます。バージョンアップによってAndroid 10となったモデルについては、基本的にサポートしません。詳細は対応機種一覧で確認してください。
筆者が確認した限り、現時点で対応機種に含まれているのは、交通系ICカードの複数枚発行/併存に対応しているモデルのみのようで、1枚のみ発行できるモデルはないようです。
比較的新しいモデルは「複数枚発行」「他の交通系ICカードとの共存」も可
比較的新しいモデルでは、複数枚のモバイルICOCAの発行やモバイルSuica/モバイルPASMOとの併存も可能です。
JR西日本では複数枚発行/併存に対応する機種の一覧を公開していませんが、JR東日本(東日本旅客鉄道)が「モバイルSuica」のサポートサイトで公開しているので参考にしてください(「Type 1」に指定されている機種が対応しています)。
対応機種一覧をすぐに見られない場合は、「おサイフケータイアプリ」の表示内容からも複数枚発行/併存に対応できるかを確認できます。手順は以下の通りです。
1. おサイフケータイアプリを開く
2. 左上のハンバーガーアイコン(メニュー)をタップ
3. 「サポート・利用規約」をタップ
4. 「メモリの利用状況」をタップ
5. ステータスに「ブロック」表示が“ない”場合は複数枚発行対応
なお先述の通り、現時点では交通系ICカードを1枚のみ発行できるモデルにおけるモバイルICOCAの動作確認は取れていないようです。モバイルICOCAを使うためにAndroidスマホを調達する場合は、複数枚発行/併存に対応するモデルを用意すると無難そうです。
複数枚の交通系ICカードを併存させる場合は、実際に利用するカード(メインカード)を1枚選ぶ必要があります。メインカードの選択は「おサイフケータイアプリ」から行えます。手順は以下の通りです。
1. おサイフケータイアプリを開く
2. 交通系ICカード欄にある「メインカードの確認・切替」をタップ
3. 券面をスクロールしてメインカードにしたいカードを選ぶ
4. 「メインカードにする」をタップ
●事前準備をしよう!
モバイルICOCAを利用するには、おサイフケータイの初期設定と、JR西日本の「WESTER ID」が必要です。また、一定の要件を満たすクレジットカード/デビットカード/プリペイドカード(以下「決済用カード」)を用意する必要があります。
これらの設定や用意は、事前に済ませておくとセットアップが楽になります。
おサイフケータイの初期設定
おサイフケータイの初期設定は、おサイフケータイアプリから行えます。アプリを起動して、指示に従って設定を行いましょう。
なお、モバイルICOCAを含む交通系ICカードをおサイフケータイで使う場合、おサイフケータイアプリと「Googleアカウント」をひも付ける必要があります。この作業を行わないと、機種変更時におけるカード情報の「預け入れ」と「復元」ができませんので注意してください。
WESTER IDの設定
WESTER ID(旧J-WEST ID)はJR西日本のWebサイトで「WESTER会員」に登録することで取得できます。まだ持っていない場合は、あらかじめ取得してください。
なお、以下のいずれかのサービスを使っているユーザーについては、当該サービスのIDをWESTER IDとして利用できるようになります(一部予定を含む)。一部、移行時にパスワード等の再設定や移行手続きが必要な場合もあるので、詳しくはJR西日本から送付される案内メールを確認してください。
・Club J-WEST(3月7日付で変更済み)
・tabiwa(4月1日移行予定)
・DISCOVER WEST mall(4月1日移行予定)
・WESPO(4月10日変更予定)
決済用カードの用意
モバイルICOCAを利用するには、「3Dセキュア」に対応する以下のブランドの決済用カードが必要です。
・J-WESTカード(JR西日本と提携カード会社が共同発行するクレジットカード)
・Visa
・Mastercard
・JCB
・American Express
なお、カード会社や券種によっては3Dセキュアの利用に当たって事前申し込みが必要な場合があります。詳しくはカード会社に問い合わせてみてください。
●モバイルICOCAを新規セットアップする手順を確認!
準備が終わったら、モバイルICOCAをセットアップしていきましょう。
アプリはGoogle Playからダウンロードできます。現時点では検索に引っかかりにくいので、以下のリンクを活用してください。
アプリをダウンロードした後、セットアップを進めます。今回は定期券機能の“ない”ICOCAを新規発行する手順を紹介しますが、発行時に少なくとも1000円のチャージが必要です。モバイルSuicaやモバイルPASMOとは異なり「残高0円」のカードは作れませんので注意してください(※1)。
1. 「ICOCA」をタップしてしばらく待つ
2. 「新しいICOCA/定期券を作る」をタップ
3. モバイルICOCAの説明を読んだら「次へ」をタップ
4. 「ログイン」をタップ
5. WESTER IDとパスワードを入力して「ログイン」をタップ
6. 会員規約を読む
7. 「上記規約に同意する」にチェックを入れて「同意して次に進む」をタップ
8. ICOCAの名前を入力する(任意:20字以内)
9. 「ICOCA(定期券なし)発行」をタップ
10. 「新規クレジットカードを登録する」をタップ
11. 「次に進む」をタップ
12. 決済用カードの番号、有効期限、セキュリティコード(※2)を入力して「次へ」をタップ(※3)
13. チャージ金額を1000円以上2万円以下(1円単位)で入力し、「(カード番号下4桁)でチャージ」をタップ
14. 「発行する」をタップ
15. 完了画面を確認する
(※1)モバイルICOCAでも、定期券を同時購入する場合に限り「残高0円」発行可能です(※2)カードが手元にあることを確認するための3桁または4桁の数字(※3)一定の条件を満たす場合、カード会社が指定する方法での追加認証を求められることがあります(3Dセキュアの仕様です)
●モバイルICOCAの注意点
これでモバイルICOCAを利用できるようになります。ただし、先に別の交通系ICカードを利用していた場合は、今回作ったカードをメインカードに指定しないと使われないので注意してください。
その他、モバイルICOCAの主な注意点は以下の通りです。
・カードタイプのICOCAからの移行には非対応
・駅窓口では以下の取り扱いを行わない
・紛失登録(会員用Webサイトまたはコールセンターで対応可)
・機種変更(カード情報の移し替え)
・払い戻し(アプリ上の操作またはコールセンターで対応可)
・定期券の販売(アプリ上の操作で対応)
以下の条件に当てはまる定期券は発売できない
・大学生未満(中学生/高校生)の通学定期券
・小児運賃を適用する定期券
・割引運賃(障害者割引など)を適用する定期券
・新幹線定期券(FREX/FREXパル)
・私鉄/地下鉄で完結する定期券
・2区間定期券(※4)
・分割定期券(※5)
・北陸本線の「敦賀駅」以北を含む定期券(※6)
・ICOCA対応のバス/路面電車用定期券(窓口での購入も不可)
・アプリで経路が出てこない(選択できない)定期券(※7)
(※4)特定の駅を分岐点として2つの区間で有効な定期券(※5)経路上のある駅で運賃計算を打ち切って、2枚分の情報を1枚にまとめた定期券(2区間定期券の一種)(※6)北陸本線の敦賀〜金沢間は2023年度末までにJR西日本から経営分離される予定(※7)経路が出てこない場合でも「JR西日本の区間/経路を含む」「ICOCA定期券で発売できる」の両方を満たす場合は、オペレーター対応により購入できる場合があります(専用の問い合わせフォームから申請してください)