「パイロットに興味はあっても、どうすれば自分がなれるか分からない人が多いと思う。そんな人が感じる参入障壁を下げる」──ソフトバンク傘下のベンチャー企業、ツギクル(東京都港区)の緒方惠一郎シニアディレクターはこう話す。

 同社はパイロット養成事業を手掛けるFSO(沖縄県北谷町)と共同で、「六本木フライトシミュレーターサロン」(東京・六本木)をオープン。フライトシミュレーターを使った航空機の訓練プログラムを8月から提供している。

 米Precision Flight Controlsが開発した「Modular Flight Deck」(MFD)や、米Redbirdが手掛けた「The JAY」などのフライトシミュレーターを使った訓練プログラムを提供する。価格は1時間あたり1万6000円(税別)から。

 日本人がパイロットを目指す場合、(1)大手航空会社に入社する、(2)航空大学校に入学する、(3)国内で基礎的な訓練を受け、海外の大学で免許を取る──などの方法がある。六本木フライトシミュレーターサロンで提供するプログラムは、このうち国内で受けられる基礎的な訓練の1つに当たるという。

 航空機の操縦免許を取るためには、航空機を使った飛行訓練を一定時間積む必要がある。今後、国交省からの認可が得られれば、フライトシミュレーターでの飛行時間を、国内での免許取得に必要な訓練の時間として計算できるようになる。

 プログラムの一環として、本物の航空管制官と英語で無線通信しながら訓練できるオプションも提供する。インストラクターの指導を受けながらの訓練も可能だ。

●ゲーマー記者がプログラムを体験 アクティビティーとしても楽しい

 記者も実際に訓練プログラムに挑戦してみた。

 MFDを利用し、3Dで再現された大阪国際空港を舞台に離着陸や旋回などを体験。MFDでは夜間や悪天候下での操縦に加え、エンジントラブルが起きた場合の訓練も行える。仙台国際空港など、他の空港を舞台にした訓練もできる。

 記者はフライトシューティングゲーム「エースコンバット・ゼロ ザ・ベルカン・ウォー」でしか航空機を操縦した経験はなく、高度を上げるごとに増えていく計器の数値に終始はらはらしていた。あくまで訓練用で、上空から見た街の景観などはあまり美しくなかったが、アクティビティーとしては十分に楽しめた。

 緒方さんによれば、記者のようにフライトシミュレーターを娯楽として体験したい人の利用や、既に航空機の操縦免許を持っている人による、技量を維持する目的での利用も見込んでいるという。

 「僕が飛行機に興味を持ったときはパソコン通信などで情報収集していた。パイロットに興味を持つ人が、ここに来ていろいろな話を聞けるようになれば」(緒方さん)