ジャパンディスプレイは8月28日、同社の白山工場(石川県白山市)を412億円でシャープに売却したと発表した。工場内の一部生産装置は別の企業に301億円で売却する。これにより事業リスクが緩和されたとして、同社モバイル事業部の子会社化は取りやめる。

 白山工場と生産装置の売却で営業外利益と特別利益が合計約268億円、特別損失が最大で約116億円発生する見込み。譲渡で得た利益は工場建設の際に顧客企業から得た前受金の返済に充てる。

 設備の維持費や固定資産税などの費用も削減でき、「自社で同工場を維持するよりも企業価値向上につながる」としている。

 ジャパンディスプレイはスマートフォン向け液晶ディスプレイの市場悪化の影響で2019年3月期(1月〜3月)決算で752億円の減損損失を計上。純損失が約1094億円に上った。7月には業績改善のため白山工場での生産を停止した。

 同社は工場の再稼働も検討していたが、20年3月に米Appleとみられる海外企業へ、同工場の生産装置の一部を売却する契約を締結。これに伴い、土地や建物などその他の資産についても譲渡することにしたという。

 シャープは白山工場の取得について「本工場を活用して生産能力拡充や基盤力強化を図るとともに、次世代ディスプレイの展開を加速する」としている。

 ジャパンディスプレイは19年5月、事業リスクが異なる車載デバイス向け事業とモバイルデバイス向け事業を分離して事業を安定化させるとともに、各事業の権限と責任を明確にするため、12月末までにモバイルデバイス向け事業を子会社化する方針を示していた。事業の権限と責任は現状の組織体系で実現しており、今回の白山工場の売却で前受金の返済めどがたったことで事業リスクも変化したため子会社化を取りやめた。