ソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)が次世代ゲーム機「PlayStation 5」(PS5)を11月12日に発売する。開発期間は約5年だという。そんなPS5の発売に先立ち、ITmedia NEWS編集部は、東京・渋谷区内のスタジオでハンズオンの機会を得た。今回、記者はディスクドライブを搭載した通常版モデルで、PS5にプリインストールされる「ASTRO’s PLAYROOM」と別売の「Godfall」というゲームタイトルを体験できた。

●デジタル・エディションは「ユーザーのプレイスタイル変化に合わせた」

 スタジオ内に入ると、白色が目立つPS5本体と初対面した。2000年発売の「PlayStation 2」(PS2)以降、これまで歴代プレイステーションの本体カラーは黒がメインだったが、PS5は本体外部を白、その間に黒を採用。一見、あんこ入りの饅頭のような不思議なデザインだが、外側に従来のプレイステーションのイメージを覆す白色を採用したことに、「これまでのプレイステーションとは違う」というSIE側の覚悟を記者は感じた。

 特徴的な本体デザインの理由について、SIEの担当者は「世代毎に、それぞれユニークなデザイン性を持っている。PS5のデザインは、PlayStationそしてSonyが誇る美しいインダストリアルデザインを継承するものだ」と説明する。

 PS5は「通常版」とディスクドライブを内蔵していない「デジタル・エディション」の2モデルを用意。「現世代(PS4)においても、多くのユーザーがデジタル版のゲームソフトを購入していることから、利用者のプレイスタイルに合わせて選べるようにした」という。

●キーワードは「没入感」

 今回のPS5の大きなコンセプトが「没入感」。新たに開発したコントローラーに加え、進化した映像技術や3Dのオーディオ技術と組み合わせることで、ゲームの世界でありながら、その場にいるような疑似体験ができる環境を目指したという。

 中でもリアリティーの向上に貢献しているのが新開発のワイヤレスコントローラー「DualSense」だ。「Dual」には、従来のコントローラーから踏襲する左右対称のデザインに加え、新開発した機能などの意味が込められているといい、SIEは「PS(プレイステーション)史上最高のコントローラー」と位置付ける。SIEは初代プレイステーションから続くコントローラーの大きな変化として、特に「触覚」を没入感向上の柱として掲げた。

 没入感を高めるため、従来の振動機能に代えて、コントローラーの左右で独立制御する感覚フィードバックのハプティック技術を採用。コントローラー背面のトリガー(L2/R2)には「アダプティブトリガー」を搭載し、ゲーム内の状況に応じて、トリガーの抵抗力が変化する仕様になっている。例えば、レースカーの運転や、弓を引き絞る感覚、タックルするときの衝撃などのリアルな感覚をコントローラーで再現できる。この機能が特に開発で技術的に苦労した点の1つだという。

 記者が体験プレイした「ASTRO’s PLAYROOM」では、砂浜や氷の上を歩くステージで、実際にプレイヤーもステージ上にいるような感覚が手元で得られたほか、水中で泳ぐステージでは水の抵抗なども感じられた。

 コントローラーには、傾きを感知するセンサーやタッチパッドに加え、マイク機能も初搭載。コントローラーに息を吹きかけると、ゲームのステージ内の風車が回るアクションが搭載されていた。マイクの搭載で、チャット時のヘッドセットが不要になった。

 これまで記者はプレイステーションのコントローラーに対しては「純粋なコントローラーの役割に徹している」という印象を抱いていた。このため、コントローラーの表現の幅という意味では、任天堂の「Wii」シリーズや「Switch」が上回っていたように感じる。

 だが今回、新コントローラーに触れたことで、歴代プレイステーションが築き上げた強力なグラフィック性能と、任天堂製のゲームハードの良い側面を両立させたゲームハードになり、年齢や性別を問わず楽しめる仕様になっていると感じる。

 特に新搭載のレイトレーシングと呼ばれる技術によって、水やガラスに当たる光の屈折など、光に関する細部の映像表現を現実との違いが分からないレベルまで引き上げ、特出した映像美によって没入感をより高めている。

●ロード時間わずか1秒の爆速SSD、読み込み速度はPS4の100倍

 ローディングの短さもPS5の大きな特徴だ。PS5からはHDDに代わり、SSDをSIE製のゲームハードとして初めて標準搭載。PS5のSSDは5.5GB/sの高速読み込みを実現した。旧機種PS4の読み込む速度と比較するとPS5は約100倍の速度を誇るという。

 SIEの担当者は「単に最高スペックのSSDを搭載すればいいというわけではない。販売価格という金額の制約はもちろん、SSDの高速処理とそれに伴う冷却性能を両立させるためのバランスや、本体内の各パーツの配置に試行錯誤した」と話す。

●PS4専用ソフトへの互換性が課題か

 一見、課題がないように思えるPS5だが、強いて課題を挙げるとすれば旧機種「PlayStation4」(PS4)向けソフトとの互換性だ。

 プレイステーションのカスタマーサポートの公式アカウントによると、PS5では、PS4用のゲームディスクを挿入してそのまま遊べることが予告されている。その場合、フレームレートの安定や向上が図られ、ユーザーはPS4よりも高い解像度でプレイを楽しめる。

 現在のPS4ソフトへの対応状況はどうか。海外メディアによるSIEジム・ライアンCEOのインタビューによれば、「99%のソフトで下位互換性が確認された」ということが明らかになっている。

 現時点でどのソフトが、どのような理由で対応していないかについては、今回のハンズオンでは明らかにならなかった。

 すでに市場ではPS5の予約販売が盛り上がっている。ハードウェアの進化には大いに期待できる一方で、細かな仕様の情報開示にも期待したい。