米Appleは10月13日(現地時間)、iOS搭載スマートフォンの新モデル「iPhone 12」シリーズを発表した。ベースモデルの「iPhone 12」の他、Proモデルの「iPhone 12 Pro」「iPhone 12 Pro Max」、そしてminiモデルの「iPhone 12 mini」が登場。12と12 Proは日本などで10月16日から、miniとPro Maxは11月6日から予約を受け付ける。12と12 Proは10月23日、miniとPro Maxは11月13日に発売する。

【編集履歴:2020年10月14日午後4時 日本での発売日を追記しました】

 従来モデルの「iPhone 11」シリーズや第2世代「iPhone SE」と比べながら、新機能や注目ポイントを紹介していく。

●全モデル5G対応 日本では3キャリアで利用可

 今回の発表でAppleがまず押し出したのは、次世代通信規格「5G」の全モデル対応だ。最大で下り4Gbps、上り200Mbpsの5G通信に対応しているとしており、オンライン発表会には米Verizonのハンス・ベストバーグCEOも登壇。Verizonの5Gネットワークで約2億人の米国人に5Gを届けられるなど、米国で5Gネットワークが普及していることを強調した。

 5Gの通信を必要としない場面ではLTEに切り替える「スマートデータモード」を搭載。バッテリー消費に配慮した動作を行う。日本国内ではNTTドコモ、KDDI、ソフトバンクの5G回線に対応するとしている。

●miniは「世界最小5Gスマホ」 SE 2との違いは?

 今回発表したモデルの中でも、iPhone 12 miniは5.4インチディスプレイながら狭額縁デザインで、Touch IDがある4.7インチのiPhone SE 2よりも小型・軽量に収まった。Appleは「世界最小の5G対応スマートフォン」だとしている。

 miniとSE 2の違いを見ていくと、5G対応の他にはSoC(A14 BionicとA13 Bionic)、ディスプレイのピクセル密度(476ppiと326ppi)、アウトカメラ(デュアルカメラとシングルカメラ)、防水性能(IP68とIP67)などが挙げられる。

 SE 2がエントリー向けの性能であるのに対し、miniは基本的にはiPhone 12の性能を受け継いでいるため、同じ小型機でも位置付けが異なることが分かる。

 miniのストレージの容量は64GB、128GB、256GBの構成。価格は7万4800円(税別、以下同様)から。SE 2も同じストレージ容量の構成だが、今回の発表後に値下げはされなかった。SE 2は引き続き4万4800円から。

●ベースモデルの「iPhone 12」も11より小型に 新色ブルー登場

 今回発表されたモデルの中でベースモデルに位置付けられるのがiPhone 12。5G対応の他、iPhone 11ではディスプレイにIPS液晶を採用していたところ、12ではProモデルと同じく有機ELディスプレイを採用。miniも有機ELディスプレイを採用しており、全モデルが有機ELに統一された。

 本体カラーに新色のブルーが追加。その代わり、11にあったパープルとイエローが12では用意されなかった。筐体デザインは従来の丸みの帯びたボディーから、「iPhone 5」(2012年発売)のような角張ったデザインに変わった。

 本体サイズは11に比べ、11%薄型化、15%小型化、16%軽量化した。

 アウトカメラは11から引き続き広角と超広角のデュアル構成。広角の開口部がF1.6と明るくなった(11はF1.8)。また、米GoogleがAndroidスマートフォン「Pixel 4」の発表の際に唱えた、計算性能によって写真を撮影する概念「コンピューテーショナル・フォトグラフィー」をAppleも提唱。これにより、12シリーズの広角レンズと超広角レンズで夜景を明るく撮影する「ナイトモード」や、白飛び・黒つぶれを抑えて撮影できる「スマートHDR 3」などの機能を搭載できたとしている。

 全モデルで防水性能も進化。IP68等級で「水深6mで最大30分間の耐水性能がある」としている。従来モデルもIP68等級ではあったが、iPhone 11は水深2mまで、11 Pro/Pro Maxは水深4mまでだった。

 全モデルに搭載された機能としては、ワイヤレス充電規格「MagSafe」もある。これはiPhoneの背面にマグネットを内蔵することで、対応ワイヤレスチャージャーが所定の位置にぴったりとくっ付き、安定的に無線充電を可能とするもの。ワイヤレスチャージャーの他にクレジットカードなどを入れられるカード入れなど、対応アクセサリーを装着することもできるとしている。

 iPhone 12の価格はiPhone 11の発表時から値上がり。iPhone 11 64GBは7万4800円だったが、iPhone 12 64GBは8万5800円で1万1000円の値上げ。128GB、256GBモデルも同じく1万1000円の値上げとなっている。さらに今回、AppleはiPhone 11を1万円値下げして6万4800円からとしたため、iPhone 12は現時点でiPhone 11より2万1000円高い。

●Proモデルは「LiDARスキャナー」搭載 Pro Maxには「センサーシフト式手ブレ補正」も

 今回発表された4機種は大きく分けて、メインストリームモデルの「iPhone 12/mini」と、カメラ性能に注力したProモデルの「iPhone 12 Pro/Pro Max」の2種類に分けられる。Proモデルの2機種には、これまで「iPad Pro」に搭載されていた、測距センサー「LiDARスキャナー」が搭載された。

 LiDARスキャナーは被写体の3次元構造を精密に測れるセンサー。カメラ機能と併用することで、暗所でのピント調節も瞬時に行えるとしている。被写体の3Dモデルの作成などにも利用できる。

 iPhone 11 Pro/Pro Maxでは同じトリプルアウトカメラを搭載していたが、12 Pro/Pro Maxではトリプルカメラでも異なる構成とした。

 iPhone 12 Proは超広角(F2.4)、広角(F1.6)、望遠(F2.0)の構成で、2倍の光学ズームイン、2倍の光学ズームアウト、4倍の光学ズームレンジ、最大10倍のデジタルズームに対応。11 Proに比べて広角レンズ(11 ProはF1.8)が明るくなった。

 iPhone 12 Pro Maxは超広角(F2.4)、広角(F1.6)、望遠(F2.2)の構成で、2.5倍の光学ズームイン、2倍の光学ズームアウト、5倍の光学ズームレンジ、最大12倍のデジタルズームに対応。11 Pro Maxや12 Proに比べて、望遠レンズがやや暗く、やや狭い画角(65mm相当)になった。さらに、広角のみセンサーシフト光学式の手ブレ補正に対応。最長2秒まで手ブレを抑えた撮影が可能としている。広角のセンサー自体も従来比47%大きくなったという。

 Proモデルでは「Apple ProRAW」形式のRAW撮影に対応(近日予定)。従来の写真データの形式に比べ、豊富な情報が残ることから撮影後にさまざまな微調整が行えるとしている。

 動画撮影にも力を入れる。10bit HDRで4K60fpsの「Dolby Vision」形式の撮影に対応。撮影後の編集も12 Pro/Pro Max上で行えるとしている。特に12 Pro Maxは広角カメラのセンサーが大きくなったために、暗所撮影のビデオ画質が従来に比べ87%向上したという。

 Proモデルのストレージ容量は128GB、256GB、512GBの構成で、11 Pro/Pro Maxでは最低64GBだったところが最低でも128GBになった。

 iPhone 12 Pro 128GBの価格は11 Pro 64GBの発表時価格から据え置きで10万6800円。iPhone 12 Pro Max 128GBの価格は11 Pro Max 64GBから2000円下がって11万7800円。

●まとめ 5G対応、MagSafe、カメラ性能がポイント LightningとFace IDは続投

 まとめると、今回の新機種のポイントは初めてminiモデルが登場し、4機種体制になったことがまず1つ。ベースとなるスペックがiPhone 12シリーズで共通なのは従来から引き継いでいる。

 機能としては、4機種とも5Gに対応し、カメラ性能が進化。特に12 Pro Maxは広角カメラに大きなセンサーとセンサーシフト式手ブレ補正を新たに搭載したため、カメラにこだわる人にとっては魅力的な選択肢になるだろう。

 インタフェースはiPad ProやMacBookと同じUSB Type-Cにはならず、引き続きLightningコネクターとなった。しかし、充電に関してはワイヤレス充電のMagSafeによって、磁力で固定しながらの無線充電が可能になった。このため、Lightningケーブルの代わりにMagSafe対応のワイヤレスチャージャーで充電する人も増えそうだ。

 4機種とも生体認証は従来通りのFace ID。現行のiPhoneラインアップで指紋認証のTouch IDに対応するのはiPhone SE 2のみ。