ソフトバンクグループ(SBG)が2月8日に発表した2021年3月期第3四半期累計(20年4〜12月)の連結業績は、売上高が4兆1380億円(前年同期比6.1%増)、純利益が3兆551億円(前年同期比6.4倍)の大幅増益だった。孫正義会長兼社長は「この程度で収まるつもりはさらさらない」と意欲を見せた。

 米通信事業者T-Mobileの売却(4217億円の利益)や「ソフトバンク・ビジョン・ファンド」(SVF)の成功が増益の要因になった。これまでにSVFで投資した事業は131社。19年には最大で1兆円を超える赤字を記録したが、その後急激に盛り返し、現在では未確定の損益を含め1兆3557億円の黒字になったとしている。

 中でも大きな成長を見せたのがフードデリバリーサービスを展開する米DoorDashだ。投資額704億円に対し、20年末の時点で時価総額は9304億円と13.2倍になった。その他、遺伝子解析を手掛ける米10x Genomicsは10.9倍、AIによる血液生体検査を行う米Guardant Healthは8.9倍と大きな成長を遂げた。

 上場企業15社のうち13社は投資を上回り、合計で1.1兆円の投資に対して時価は3兆円。Armも投資額3.2兆円に対し、売却額は約4兆円とプラスになった。

 孫社長は純利益の大幅増について「決算の数字は役には立つがたいした意味はない」とし、「事業家として生まれて会社を興して、この程度で収まるつもりはさらさらない」と前向きな姿勢を見せた。

 SBGは投資の傍ら、20年3月に負債削減などを目的に自社保有資産の最大4兆5000億円分を売却もしくは資金化する「自己株式取得と負債削減のための4.5兆円のプログラム」を発表。20年9月までに5.6兆円を現金化した。

 これを元手の一つとしてSVFを運用してきた孫社長は、SBGを「製造業」「金の卵を生むガチョウ」と表現する。事業に投資して勝手に伸びるのを待つのではなく、早く大きく成長させるため、資金投入の他、専門知識を持って投資先の技術やビジネスモデルを分析するチームを作って対応するなど分業化も進め、事業を作る製造ラインを構築しているという。

 今後は引き続き、国内外問わずAIと教育やフィットネス、創薬などを掛け合わせた事業を展開している成長の可能性が高い事業に投資を続けていくとしている。