総務省は5月24日、携帯電話事業者間の乗り換え円滑化に向けた有識者会議「スイッチング円滑化タスクフォース」の第7回会合を開催し、報告書案を取りまとめた。公表した報告書案には、携帯電話端末を自社回線でしか使用できないよう通信を制限する「SIMロック」の原則禁止や、SIMカードを差し替えずに事業者を変更できる「eSIM」を2021年夏ごろをめどに導入することなどを盛り込んだ。

 報告書では「国民の利便性確保に支障がある恐れがある」としてSIMロックの原則禁止を求めた。SIMロックは当初、端末の割賦代金の不払いや、端末の詐取・転売を防止する目的で業界内で導入された経緯がある一方、「事業者間の競争を阻害する」などの指摘が出ていた。

 このため、総務省は2019年11月、SIMロック解除に関するガイドラインを公表。MVNO各社や楽天モバイルはSIMロックを全廃したものの、楽天モバイルを除くMNO3社では対応に差が出ていた。中でも、KDDIとソフトバンクは「(端末の割賦代金の不払いなど)不適切な行為を防止する効果がある」などとして消極的な姿勢を見せていた。

 総務省によると、2020年度の第1四半期から第3四半期にかけてSIMロック解除の件数は4.1倍に増加。企業別に見ると、クレジットカードによる自動支払いなどの「信用確認措置」に応じたユーザーに対し、SIMロックを解除した端末を渡す施策を2020年8月に始めたNTTドコモでは解除件数が大きく増加したが、ユーザーからの申し出がない場合にSIMロックを解除していなかったKDDIとソフトバンクでは、ほぼ横ばいにとどまったという。

 こうした状況を踏まえ総務省は、不適切行為をしないことを契約者本人に確認した上で、SIMロックを解除した端末を購入者に渡すことを各社に対してあらためて求めた。分割払いの支払いを滞納した場合は、端末の機能を制限をするなどSIMロック以外の対応をするよう明記した。

●eSIMのガイドライン策定も視野、「キャリアメール」の持ち運びも

 報告書では、eSIMの導入についても言及。総務省はeKYCによる本人確認をした上で「公正競争環境や利用者利便の確保といった観点からeSIMを普及促進していくことが適当」と判断した。今後、報告書を踏まえて、ガイドラインの策定も検討する。

 eSIMは、オンラインで契約者情報を書き込むことから情報漏えいなどの懸念が指摘されているが、総務省は通信内容を暗号化することなどでセキュリティ確保に努めるよう、各社に求めた。

 報告書案にはその他、MNP手続きをさらに簡素化することや、転出先の事業者でも「キャリアメール」を引き継ぐ取り組みを2021年中をめどに実現することなどが盛り込まれた。

 総務省は、6月上旬をめどに最終版の報告書を公表する見通し。