米Honeywellは6月8日(現地時間)、量子コンピュータの製造を手掛ける子会社のHoneywell Quantum Solutions(HQS)と英ケンブリッジ大学発の量子ベンチャーである英Cambridge Quantum Computing(CQC)が経営統合し、新たに持株会社を設立すると発表した。新会社の株式はHoneywellが過半数以上、CQCの既存株主が45%以上を取得する。社名は未定。

 CQCの創設者であるイリヤース・カーン氏が新会社のCEOに就任。HQSのトニー・アトリー氏が社長に、Honeywellの会長兼CEOであるダリウス・アダムチク氏が会長に就任する。新会社の下、2社は連携して量子コンピュータのハードウェアやソフトウェアの開発、提供を行う。今後、Honeywellから2億7000万〜3億ドルの出資も受ける見込み。

 HQSは「イオントラップ」という方式の量子コンピュータ製造を手掛ける。米IBMやGoogleなどが採用している、大型の冷却装置で回路を絶対零度近くまで冷やす必要がある超電導方式とは異なり、真空中に捉えた原子(イオン)を操作するため冷却装置が必要ない。

 同社の量子コンピュータ「Honeywell System Model H1」は、IBMが提唱する量子コンピュータの性能指標「量子ボリューム」(QV)でQV512を達成したと2021年3月に発表している。これはIBMの現行マシンの性能(QV128、20年12月時点)より高く、HQSは20年9月時点ですでにQV128を達成したとしていた。このため、同社は自社のマシンを「現在入手可能な最高のパフォーマンスを誇る量子コンピュータ」と表現している。

 CQCは2014年に設立。量子暗号デバイスや量子プログラミングプラットフォームの開発・販売などを手掛けており、19年には日本市場にも参入している他、Honeywellの出資も受けている。CQCは今後も事業方針は変えず、英国内の開発拠点を拡張していくという。