クリエイターの作業環境から、人となりが見えてくる。新連載「クリエイターの仕事場」では、クリエイターの机に焦点を当て、こだわりを覗いていく。

 初回は、ブログ「トバログ」の管理人で、YouTuberとしても活躍されている鳥羽恒彰さん。白を基調としたミニマルなトーンで、こだわりのガジェットを紹介するスタイルが支持されている一方で、豪快な“散財”にはファンも多い。最近ではVRでの活動にも注力しており、自身の作業部屋を「Blender」で再現して「VRChat」のワールドとして公開するなど、先端技術の活用も心掛けている。

 本稿では、こだわりをインタビュー形式で紹介していく。

――今の作業環境の機器構成を教えてください

・PC:自作Windowsデスクトップ

・CPU : AMD Threadripper 3970X

・GPU:NIVIDIA GeForce RTX 3090

・メモリ:256GB

・ストレージ:6TB

キーボード

・HHKB Professional Hybrid Type-S 英字配列 雪モデル

・Realforce23U WC0100(テンキー)

マウス

・ロジクール M575 ホワイト(ボールはケンジントンのもの)

モニター

・LG 32UN550-W

・GMK 14型モバイルモニター

Thunderboltドック

・Belkin Thunderbolt3 Express Dock Pro HD

スピーカー

・IK Multimedia iLoud Micro Monitor Special Edition

デスク

・PREDUCTS DESK POLAR

椅子

・Vitra 04 グレー

デスクライト

・BenQ WiT Eye-care LEDデスクライト

メモ帳

・富士通 クアデルノ

●「羊の皮を被った狼」みたいな作業環境

――今の作業環境の構築にあたってテーマはありますか?

 とくにテーマはありませんが、強いて言うなら「ミニマルの対岸にいるマキシマムなデスク(でも見た目はミニマル)」が最も近いかもしれません。見た目は白系ガジェットで統一することで、ミニマルな雰囲気だけど、やはり作業デスクなので性能面は妥協しないセットアップを心がけています。

――こだわったポイントはどういったところでしょうか

 色々とこだわりはあるんですが、一番こだわったポイントは「パッとデスクを見たときの美しさ」です。例えばキーボードやテンキーもキートップを付け替えたり、真っ白になりすぎないようにライトグレーを取り入れたりと、「デスクとして完成したときのデザインの統一感」を考えながら構築していますね。

 でもこれって色縛りと性能を両立させようとすると意外と難しいんです。例えば白くて性能の高いガジェットでいうとゲーミング用途のアイテムが多いのですが、ソリッドなデザインだったり、ギラギラしたデザインが多いので、安易に手を出すとバランスが崩れてしまいます。それを避けながら、できるだけミニマルなデザインのガジェットを選んでいった点がこだわりです。

 次にこだわった点は配線収納ですね。スタンディングデスクとデスクトップの組み合わせって、実はものすごく相性が悪いんです。床に置くと配線もスタンディングできる長さにしなければならないし、そうすると座り姿勢の高さのときに床にだらりと垂れてしまうんですよ。それが嫌で嫌で、色々と試行錯誤した結果、デスクトップPCを床に置くのではなく、デスク裏から吊り下げる構造にしたり、床を這わせるケーブルの数を減らしたり、工夫をしています。

 ちなみにデスクは「PREDUCTS DESK」と一緒にコラボしたモデルで、特注でデスクトップPCを吊り下げられるモジュールを作ってもらいました。

 最後はやっぱり性能面で、ミニマルでも性能を妥協していない点です。とくにデスクトップPCはコンシューマー向けでは最高クラスで、どんな作業も快適にこなしてくれます。具体的にはM1のMacBook Airで30分は掛かるエンコードも、ハイスペックの自作PCならば5分程度で書き出せます。財布的には痛かったのですが、何不自由なく作業できるスペックは精神衛生上とてもよい散財でした。

 デスクまわりは1日のうちで一番いる時間が長く、たくさんこだわりが詰まっています。これを全部話すと一晩では足りないのでこの辺にしておきます(笑)

●今後は「モニターを完全にVR環境に置き換えたい」

――なぜ、今の作業環境を構築しようと思ったのでしょうか

 やはりコロナ禍が一番の転機でした。元々は旅が好きだったので、ノートPCをメインに周辺機器を構築していました。それこそ「MacBook 1台でどこでも作業できる」ようなノマドワーカーに憧れていたんです。

 でもコロナ禍で在宅が増えたり、その中で新しい趣味として3DCGに挑戦したりと転機が重なったため、より高負荷な作業も快適にできるデスクトップをメインに導入しました。デスクトップはパワフルな一方で持ち運べないデメリットもありずっと敬遠してきたんですが、実際に使ってみると爆速かつファンも静かで快適そのものですね。 GPU搭載のノートPCで丸1日掛かるような作業も数十分〜数時間で終わるので、まさに「時間を買う」とはこのこと……!

 今はメインにWindowsの自作PCを使っているんですが、なぜMacからWindowsかというと、3DCGやVR、フォトグラメトリなどをやるにはWindowsのほうが有利なんです。Macだと対応しているソフトが少なかったり、チュートリアルがWindows前提だったりと色々な弊害があるため、今回を機にWindows PCに鞍替えしました。

――今後はどこをアップデートする予定ですか?

 これはもう少し将来の話ですが、できればモニターを完全にVR環境に置き換えたいと思っています。それが実現すれば、デスク上にはキーボードとトラックボールだけなのに、自分からは3枚以上の複数モニターで作業ができる夢の環境に仕上がるはずなんです。

 今もときどきMeta Quest 2とデスクトップPCを接続して作業していますが、若干のレイテンシーと解像度が気になるところなので、完全な置き換えには至っていません。ただこれらは技術的な問題なので、本当に近い将来、VRもしくはMRゴーグルのようなモノで、家でも外でも同じような環境で作業ができると思っています。