Apple製品の価格に現在の円安が反映されるようになって、日本で生活する者にとっては多くの製品が急に高価になった。

 Apple製品の日本での価格設定は6月までは1ドル=約100〜105円換算だったのが、6月のWWDCで発表された製品あたりから、一気に1ドル約125円換算となった。つまり、日本においてはこれまでの価格感より、M2 MacBook Airはだいぶ「割高」なのである。しかし、少し安価な価格で併売されるM1だって十分、高性能だ。果たして、MacBook AirはM2を買うべきなのか? M1でも十分なのか?

●魅力的なモデルだが、M2 MacBook Airは高価に感じる

 MacBook Airといえば、一時は10万円を切ることもある商品だったはずなのだが、新型のM2 MacBook Airは8コアCPU、8コアGPU、8GBメモリ、256GBストレージの最小仕様でも16万4800円、Apple Storeの「Better」モデルである8コアCPU、10コアGPU、8GBメモリ、512GBストレージにするともう20万8800円という価格設定だ。

 自分で買うことをイメージして、8コアCPU、10コアGPU、16GBメモリ、2TBストレージにすると、なんと32万800円と、ちょっと前のMacBook Pro並みの価格。M2 MacBook Airは、とてもではないがエントリーモデルとは言い難い価格帯の商品になってしまった。

 USでもM2 MacBook Airは1199ドルからの展開なので、幸いにも999ドルの価格で旧モデルであるM1 MacBook Airが残されたが、これも為替相場のおかげで日本では13万4800円と価格を据え置くのがやっとという状態だ。

 M2 MacBook Airが高価だとはいえ、1年半以上前から販売されているM1のMacBook Airでいいのだろうか? それとも頑張ってM2を買うべきなのだろうか? 本項では、その二者択一に的を絞って考えてみた。

●「M2とM1、どっちを買うべきか?」という質問に対する答え

 もちろん、両者を並べると価格的にM1にメリットが大きいというだけで、性能・機能的にはほぼすべてM2 MacBook Airが優れている。お金に不自由していないのなら、M2 MacBook Airを買えばいいに決まっている。つまり、M2 MacBook Airが価格相応かどうかということが考えるべきテーマなのだ。

 筆者がプライべートで相談を受けることが多いのは「コンピュータのことは、よく分からないけど……」という人だ。今やコンピュータはマニアだけのものではない。しかし、現在の製品構成は複雑だ。もし、本当にコンピュータに詳しくなくて、仕事も高い演算能力を必要としないタイプのものなら、M1 MacBook Airで良いと思う。おそらく使いこなして、M2 MacBook Airの性能を引き出す状態になるまでに、次の買い替えの時期が来ると思う。

 学生で「学校で買わなければいけない。でも何を買ったらいいか分からなくて……」という人もM1 MacBook Airを買えばいいと思う(理系で高負荷な作業をしなければならない人は、自分でニーズを分かっていることと思う)。M1 MacBook Airは十分に高性能だ。2年弱前に筆者も購入して、1年ほど日常業務に使っていたが、処理能力的に不満を感じることはなかった。

●ベンチマークテストでは2〜6割UPの性能差

 まず、性能の根本であるM2チップセットと、M1チップセットの差をベンチマークテストで見てみよう。

 M1に対してM2は、CPUはシングルコアで約12%、マルチコアで約20%、そしてGPU性能では約50〜60%の性能向上をみている。約20%の価格差に対して、この性能差は順当以上といえるだろう。

 特に、メディアエンジンや、ニューラルエンジンなどのカスタムチップの搭載により、グラフィックス周りの性能がさらに向上しているので、仕事の上で動画編集などにも携わる人にはメリットが大きいだろう。

 ただし、本業としてビデオ編集をする人はM1 Pro/Maxを搭載したMacBook Pro 14/16インチや、Mac Studioを使用した方がいいのは言うまでもない。普段は一般的なビジネスに利用する、たまに自社のちょっとした動画編集も行う……というイメージの人にはM2 MacBook Airが適するだろう。

●新デザインの他、ディスプレイなども性能向上

 M2 MacBook Airのアドバンテージはそれだけではない。

 まず、完全新設計のボディーにより、最大の厚みが約5mm薄く、重量も50g軽い。エッジ部分の処理が違うので、ともすればM2 MacBook Airの方が厚く見えるが、実際にはM2 MacBook Airの方がかなり薄い。

 MagSafeポートが追加されたのも大きなアドバンテージだ。万が一ケーブルを引っかけるようなアクシデントがあった時にも、コネクター部分が外れるので安心。また、実質上利用できるポートがひとつ増えるので、ドライブからドライブへのファイルコピーなどがとても便利になる。

●ディスプレイの違い

 ディスプレイは400ニトのLEDバックライトディスプレイから、500ニトのLiquid Retinaディスプレイに。単純に言えば最大輝度が1.25倍になっている。Appleの言う「Liquid Retinaディスプレイ」の定義は実はよく分からないのだが、どうやら上端のコーナー部分が角丸になった液晶ディスプレイのことを指しているようだ。

 解像度は、2560×1600ピクセルから、2560×1664ピクセルに。つまりは、上端のFaceTimeカメラのノッチ分だけ、ディスプレイが縦に伸びている。輝度が高くなった分だけ、白がより白くなり、色の鮮やかさが増していると思う。

 また、カメラは720pのFaceTimeカメラから1080pに性能向上しているし、スピーカーも4スピーカーサウンドシステムが搭載され、空間オーディオにも対応している。

 さらに、3.5mmピンジャックはハイインピーダンスに対応したことで、高性能なモニターヘッドフォンを利用できるようになった。

 MacBook Pro 14/16インチと同じく、ファンクションキーがフルハイトになり、Touch IDも大型化した。特に言及されていないが、Touch IDの認証制度や認証速度が向上しているのかもしれない。

●M1を買うべき人、M2を買うべき人

 というわけで、M1ではなくM2を選ぶことで価格は約2割増し。約2割増しのCPU性能。5〜6割増しのGPU性能。そして、新設計のボディー、より明るいディスプレイ、音質のいいスピーカー、画質のいいカメラを得ることができる。

 仕事がドキュメントの処理や、メッセンジャー、メール対応などが中心であれば、M1 MacBook Airで十分。学生さんも高度な演算を必要とする理系の学生でなければ、M1 MacBook Airでいいだろう。

 業務でビデオ編集などグラフィックスを扱うことが多かったり、新しいボディーに魅力を感じていて、金銭的に余裕があればM2 MacBook Airを選んでいいと思う。

 その後、ドルは140円に近くなっている。今後、この為替相場が反映されるとすれば、さらに値上がりする可能性もある。高価に感じるとはいえ、今が一番安くて買い時である可能性すらあるのだ。