こんにちは。突然ですが、誰も乗っていない自動車が街中を駆け回る世界と聞くと、映画やアニメに出てくるシーンを想像しませんか?

 私もつい先日までまだまだ先の未来の話だと思っていました。しかしサンフランシスコではセルフドライビングカーの実用化が進み、すでにそんな世界が現実のものとなりつつあります。実際のところどんな感じか見てみたいですよね。

 先日サンフランシスコに出かけて、運転手無しで走行するWaymoのセルフドライビングカーの撮影にチャレンジしてきました。今回はそのレポートをお届けします。

●サンフランシスコのセルフドライビングカーの現状

 以前にこの連載でも紹介しましたが、サンフランシスコではGM系のCruiseとGoogleの親会社Alphabet系のWaymoがセルフドライビングカーのテストしていて、街中でテスト車両を頻繁に見かけます。

 どちらも自動運転技術を使った配車サービス「ロボタクシー」の実現を目指していて、既に商用化目前のところまできています。既存のUberやLyftと同じくアプリで現在位置と目的地を指定するだけで車がやってきて目的地に送り届けてくれるのですが、車がセルフドライビングカーによる自動運転だという点が大きく異なります。

・運転手がいないロボタクシー「Cruise」に乗りたい! サンフランシスコで申し込んでみた

 普段サンフランシスコで見かけるCruiseやWaymoのテスト車両は、セーフティードライバーが運転席に座っていて、何か起きた時には彼らが自動運転から手動に切り替えて操作するようになっています。運転席にセーフティードライバーが乗らない「ドライバーレス」の車両も街中を走行していますが、認可の関係でいくつか制限がついているため目撃する確率はぐっと下がります。

 例えばCruiseのドライバーレス車両が走行できる時間帯は、夜10時から朝6時までの夜中に限定されています。一方、Waymoにはそのような時間制限はなく、昼間でもドライバーレス車両のテスト走行が可能です。

 どのような理由でこのような差が生じているのかは不明ですが、Waymoの場合サンフランシスコよりも先行してアリゾナ州フェニックス郊外の限定エリアでドライバーレス配車サービスを実施しているので、そこでの経験や実績が評価されているのかもしれません。

 さすがに夜中のサンフランシスコでCruiseを探して撮影するのは治安の面も含めてハードルが高いので、今回は昼間にテスト走行しているWaymoにターゲットを絞ることにしました。

●どこでドライバーレスのWaymoを見ることができるのか?

 ではいつどこに行けばWaymoのドライバーレス車両に遭遇することができるのでしょうか? 偶然すれ違うことはあっても、走行ルートの情報は公開されていないので、自ら狙って見つけ出すのは至難の業です。

 ここ数カ月の間、個人的に時間をかけてリサーチを進めてきた結果、サンフランシスコ内でWaymoを目撃する確率が高い場所をいくつか特定することができました。そこで、今回はそのうちの1つであるサンセット地区に行くことにしました。

 サンセット地区は太平洋に面したOcean Beachの近隣エリアで、サンフランシスコで人気のAndyTown Coffeeというカフェがあります。私も昔からこのカフェをよく利用しているのですが、最近は必ずと言っていいほどWaymoの車両を目撃するようになりました。

 おそらくこの一帯はWaymoが重点的にテスト車両を走らせているエリアだと思われます。セーフティドライバーの方がコーヒー片手に休憩しているところに出くわしたことも。間違いなくWaymoを見つけるにはベストスポットと言えます。

 Waymoを多く見かけることができるとはいえ、セーフティドライバーが乗ったテスト車両ばかりかもしれません。今回狙っているドライバーレス車両はこのエリアで走行しているのでしょうか?

 Waymoはドライバーレス車両にWaymo従業員を乗客として載せたテストを実施していて、その様子を撮影した動画がSNSに公開されています。これをじっくり調べてみたところ、サンセット地区の住宅らしきものが背景に映り込んだものが何本かありました。この辺りでドライバーレス車両が走っている可能性は充分ありそうです。

 ということで、今回はこのAndyTown Coffeeの周辺でカプチーノを飲みながらWaymoのドライバーレス車両をのんびりと待つことにしました。目の前は信号の無い交差点になっていて横断歩道もあるため、車は減速して一旦停止するので撮影するにはぴったりの場所です。

●次々と現れるWaymoのドライバーレス車両

 ある週末の午後、サンセット地区のAndyTown Coffeeを目指して車を走らせました。目的地に程近いところまで来ると、早速Waymoが目の前に現れました。AndyTown Coffee前の交差点までくると左ウインカーを出して一旦停止し、左折をしていきました。後方から見ていたので、残念ながらこの車両がドライバーレスかどうかは特定できませんでした。

 よく見ると交差点の左からもWaymoが来ていました。交差点で一旦停止をして、私の前のWaymoが左折をするのを待っています。AndyTown Coffee前の交差点で既に2台目のWaymoです。

 細かな話ですが、米国には日本にはない交通ルールがあって、信号のない交差点では最初に交差点に到着した車が優先、ほぼ同時の場合は右側の車両が優先です。米国で運転を始めたばかりの頃は、交差点への到着順を確認するのうっかり忘れてしまい、周りの車を混乱させたことが何度も。

 この場合は、目の前のWaymoが最初に交差点に着いたので一番目、次は左から来た2台目のWaymo、そして私の車という順番に進むことができます。さすがにWaymoのセルフドライビングカーはこのレベルの運転は余裕ですね。ちゃんとルール通り、最初の車両が左折した後で、左側の2台目のWaymoが直進を始めました。

 左側のWaymoが私の車の前を通過していく時に、じっくりと車両を確認してみると、なんとこの車両はドライバーレス車両! 運転席にも助手席にも人の姿はありません。

●ついに完全無人の車両を見つけた!

 この後もしばらく交差点を観察しているとWaymoのドライバーレス車両が何度も通過していきました。最初は同じ車両かと疑ったのですが、ナンバーが異なるので複数台のドライバーレス車両がこの近辺を走行しているようです。

 そのうちの1台を斜め前から撮影してみました。前座席のヘッドレストがそのまま見えるので、ドライバーレスであることがよく分かります。一方、後部座席のガラスには黒いフィルムが貼られているので乗客がいるかは分かりません。Waymoの従業員が乗客として乗っている可能性はあるのですが、さてどうでしょう。

 しばらくすると別のドライバーレス車両が右折していきました。この車両は偶然にも後部座席の窓が開いていて、中の様子を見ることができます。写真を拡大しても、車体を通して反対側にある電柱と木しか見えないので、ドライバーも乗客もいない完全無人のテスト車両でした。乗客を降ろした後でしょうか。

 ということで、完全無人のWaymoセルフドライビングカーがサンフランシスコの街を駆け回っている様子を撮影することができました。

 私は大興奮だったのですが、AndyTown Coffeeにいたまわりの人たちは、意外なことに全く反応なし。多くのテスト車両が走っているのでもう見慣れてしまったのかも知れません。

 不安を与えるようなぎこちない走りをしていれば注目を集めるのかも知れませんが、セルフドライビングカーの走行はびっくりするくらいスムーズで、普通の自動車と区別がつかないレベルです。

 これがサンフランシスコで見てきたセルフドライビングカーのリアルです。自動車の未来と思っていた世界が、既に街の日常になり始めていました。

(五島正浩)