poiqはぱっと見、円筒状のつるんとした、デザインに凝りまくったものではありません。でも、過去のソニーのロボット開発の歴史が地層のように積み重なっている製品です。そういった製品をしれっとしたデザインでリリースしているところに、私は感動していたりもするのですが、これは1つ1つ説明していかないと分かりにくいところだと思うので、順番にお話したいと思います。

 ソニーのロボットの歴史のはじまりは、内部的にはどこからスタートしているのかはわかりませんが、外からということでは、もちろんペットロボット「AIBO」(現在はaibo)になります。

 高級おもちゃと受け取られかねない内容に、ちゃんとした価格設定をして、家庭用のペットロボットというジャンルを開拓したことは、まさに歴史に残る偉業です。

 若干、話が脱線しますが、私は初代AIBOが出た頃、オークションで100万円以上で落札した人と偶然話をしたことがあります。そりゃもう第一声で「なんで100万も出したんですか!?」と聞いてしまいました。でも、そこにはちゃんとした理由があったんです。

 その理由は「家族全員が犬アレルギーで、でもみんな犬が大好きでいつか飼ってみたかった」というもの。だから家族全員でお金を出し合って、みんなで落札したんだそうです。そして数カ月程度で飽きてはしまったそうなんですが、それでももう絶対に人生で不可能だと思ってたことを体験できたから後悔はしていないと言っていました。

 AIBOはこんな風にロボットが家庭に入るという状況そのものを生み出しました。それがとても先駆的なことでした。

 そして、次にきたのが「Rolly」でした。

 RollyはAIBOよりもはるかに小型であり、同時にエンタメの部分を強化してきたロボットでした。製品に与えられた名称こそ、サウンドエンターテインメントプレイヤーでしたが、その動きはまさにロボットでした。その見た目こそ、大き目の卵のようでしたが、動き出すとびっくりするほど速く動き、そして複数台数あれば、同期して踊ることも可能なロボットでした。それなりの速さで動作するロボットであれば、動く部分に過剰な装飾などは必要ないを証明したのは、Rollyの功績だったと言えます。

 最後に、これも外せないのがコミュニケーションロボ「Xperia Hello!」 です。

 Xperia Hello!は顔を認識して話しかけてくれたり、ビデオ通話などで家の外の人ともつながることを目標したロボットです。自走こそしませんが、本体は360度回転し、顔も動きます。応答するコミュニケーションを通じて、人に役立つことを目指していました。

●ソニーが歴代のロボットで試し続けてきたこと

 整理しましょう。つまり、ソニーはこのpoiqに至るまでに以下の内容を実際の製品で試し続けてきました。

・AIBO(aibo):家に入るペットロボット(1999、2016)

・Rolly:エンタメ、小型化、動作の機敏さ(2007)

・Xperia Hello!:人との言葉によるやり取り(2017)

 こういった蓄積があるから、そのノウハウの結晶であるpoiqのような優れた製品ができたということなんです。

 ちょっと強引ですが、poiqは、AIBOの頭部とRollyのローラー、そこにXperia Hello!が内蔵されているロボットという言い方もできるのです。

 さらにセンサーが多様化したことで、poiqを持ち上げたり、触ったり、なでたりすると、poiqはちゃんと反応を返してくれます。

 つまり、それだけのことができるハードウェアと人が声でやりとりできるから、そこに新しい価値が生まれるわけです。Xperia Hello!では、ウェイクワードが必須でしたが、poiqにはウェイクワードはありません。

 たしかに便利だし、誤動作の心配も少ないですが、せっかく家にいてくれるロボットを話すのに、いちいちウェイクワードを言わないといけないのか? っていう問題ですよ。poiqが目指しているのは、そんなロボットではないはずです。

 まあ、もちろんニュースの動画に向かって延々と話し続けるpoiqを見ていると、若干の憐れみを感じないことがないわけではありませんが、それもまた今の段階では一興。

 だからこそ、われわれpoiq研究員の活動が大事になってくるとも言えるのでしょう。

 ということで、このソニーの過去の蓄積がどうpoiqに反映されているかを見ていく予定です。AIの話は一体いつになるかわかりませんが、ハードウェアだけでもpoiqには話しておくべきことが多すぎるんですよ。

(いしたにまさき)