秋に公開されるiPadOS 16の機能の中でも、とりわけ注目されているのが複数ウィンドウをグループ化して、グループごとに同時に扱う「ステージマネージャ」だ。この際、外部ディスプレイを接続して、ミラーリングではなく拡張ディスプレイとしても使うことができる。

 どちらもiPad ProとiPad AirのM1チップ搭載モデルでしか使えない機能だが、最大6Kまでのディスプレイなどを接続して、それぞれの画面で4つずつ、最大8つのアプリを同時に操作させることができる。大画面でのiPad利用は、新しい体験だといえる。

※この記事は、秋公開のiPadOS 16のパブリックベータに基づいた記事です。Apple Beta Software Programで知り得た情報は、その内容について誰かに話したり、ウェブ記事にしたり、SNSに投稿したりすることは禁じられていますが、ITmedia NEWSでは取材に基づく特別な許可を得て記事化しています。

●むしろ、M1の性能をフル活用するための機能

 ステージマネージャと外部ディスプレイの利用が、M1でしか利用できないことが話題になっている。「他のiPadでも利用したい!」という気持ちは分かる。しかし、実際に利用してみると、確かにこれはMacBook AirやProでも利用していたM1チップだからこそできる処理だと感じた。

 従来、iPadでは、Split ViewやSlide Over、ピクチャ・イン・ピクチャを使っても3つのアプリを動作させるのが限界だった。また外部ディスプレイも基本的にはミラーリングのみだから、扱う解像度もiPad Pro 12.9インチの2048×2732(約560万ピクセル)が最大だったといえる。

 しかし、今回のステージマネージャと拡張ディスプレイのサポートでは、最大8つのアプリを同時に動かし、追加で6Kディスプレイ(約2040万ピクセル)をハンドリングしなければならない。これは、Mシリーズチップが必須条件になるのは止むを得ない。というよりは、Mシリーズチップの性能を活用するために設計された機能なのだろう。

●ウィンドウサイズの自由度がとても大きくなった

 利用には、Mシリーズチップ搭載のiPad Pro、もしくはiPad Airに、キーボードとマウスなどのポインティングデバイスが接続されていることが前提となる。両者が一体化しているMagic Keyboardがあると便利なのだが、今回は手元になかったのでLogicoolのMX Keys MiniとMX Master 3sをBluetoothで接続した。

 また、ディスプレイは今回はThunderbolt接続が可能なLGの5Kディスプレイを利用したが、HDMIディスプレイを変換コネクター(TUNEWEAR ALMIGHTY DOCK C2を使用)経由で接続しても利用することができた。

 まずは、単体で、ステージマネージャを利用してみよう。

 設定画面、もしくはコントロールパネルで、ステージマネージャをオンにすると利用できる。従来のSplit ViewやSlide Overのシステムとは排他的で、ステージマネージャをオンにすると従来とは違う挙動をするようになる。ウィンドウサイズをSplit ViewやSlide Over的なサイズにすると似たような処理は可能になる。

 左側に表示される「最近使ったApp」、下側に表示される「Dock」は非表示にもできるが、ステージマネージャを快適に使うにはどちらも必要であるように思う。

 アプリのウィンドウが小さいと感じるなら、ウィンドウ中央の3つのドットから「ズーム」を選ぶか、下の角に表示される円弧を引っ張ることで、ウィンドウを画面いっぱいに広げることもできる。

ウィンドウを小さくしていき、ある程度以下の幅になるとSlide Overのようなシンプルな(iPhone的な)表示になる。また、複数のウィンドウの幅を調整していくと、Split Viewのような表示にすることも可能だ。従来のiPadOSに比べると、非常に自由度が高まったように思える。

 Safariで調べものをしながらPagesで原稿を書くとか、写真.appで写真を探して、Photoshopで開くとか、従来よりフレキシブルに複数アプリを利用できるようになったメリットは大きい。また、写真を探し終わったら、そのまま全画面化してPhotoshopだけで利用する……というような使い方も従来より自然にできるようになった。

●拡張ディスプレイ利用で、最大8つのアプリが動作する

 続いて、外部ディスプレイを接続しよう。前述の通り、今回はThunderbolt接続のLG 5Kを使った。接続しただけではミラーリング表示になるが、キーボードとマウスを認識すると、拡張ディスプレイとして認識する。

 両者の間のウィンドウの移動はドラッグ&ドロップはできず、ウィンドウ上部の3つのドットで「移動」を選択することで、もうひとつのディスプレイに動かすことができる。そのため、Macに複数ディスプレイを接続した時のように、「互いのどちらにディスプレイが存在するか?」という位置関係は存在しない。

 実際、一気に8つのディスプレイを利用する必要があるか? という疑問はあるが、複数アプリと拡張ディスプレイを利用できるようになったことで、作業の自由度はグッと向上した。

 これまで、そうはいっても最大12.9インチのディスプレイ上でしか扱えなかったアプリが一気に大型ディスプレイで扱えるようになったのだ。Safariでたくさんのサイトを開いて参照することができるし、長文を一度に表示して読むこともできる。また写真.appであれば多数の写真を一気に見ることができる。

 例えば、外では従来通りのiPadとして利用して、オフィスではディスプレイを接続して作業する……というこれまでになかった作業スタイルも可能になる。もしかしたら、本当にMacBook Airは要らない……という人も増えるかもしれない。

●大画面でPhotoshopが動く!

 Photoshopも扱えるし、Safariを開きながらテキストも打てる。WordPressで記事を書くこともできる。あなたの作業に、Macを使わなければできない作業はどのぐらい残っているだろうか?

 Photoshopのようなアプリは大画面で開くと、細部まで見ることができて非常に快適だ。

 もちろん、まだ細部の使い勝手を煮詰める必要があるかもしれないが(タッチパネルを前提に開発されいてるPhotoshop for iPadはマウスでは扱いにくい)、まだOSの方もβ版だし、正式ローンチまでにPhotoshopの方でも準備が進むかもしれない。

 このPhotoshopの動作を見ていると、ステージマネージャと拡張ディスプレイのサポートによって、iPadにさらに新たな可能性が広がったと感じられる。

 また、これらの機能を前提とした新しいiPad Proが登場する可能性だってある。より大画面のiPadがあれば、この機能はさらにフィットするように思える。いかがだろうか?