6月に中長期戦略を発表し、投資を加速させ損失を拡大しても成長を目指すfreee。その後、初の決算となった2023年11月期第1四半期(7-9月)の連結決算は、良好なスタートとなった。SaaSの最重要指標であるARR(年間定期収益)は前年同期から36.3%増加して164億円に達した。

 売上高は34.5%増加して42億3800万円、営業利益は、投資拡大の意図どおりに赤字が拡大し10億4200万円の赤字となった。営業利益率は昨年対比で12ポイント下落してマイナス24.6%だ。

【訂正:11/15  営業利益の数値が誤っておりました。お詫びし訂正いたします。】

 投資拡大の効果は、課金ユーザー数でもARPU(顧客単価)でも現れている。課金ユーザー数は昨年対比で23.5%増加し、38万6655に。ARPUも同10.1%増加して、4万2611円となった。

 企業数の増加は、6月に買収したクラウド税務申告サービスを提供するMikatusの効果もある。また、2021年8月に買収した記帳アプリTaxnoteが、ARPU押し下げの影響を与えていたが、1年たってその影響がなくなったという点もある。それでも、KPIは好調だ。

 決算会見でCEOの佐々木大輔氏が強調したのが、23年10月と1年後に迫るインボイス制度だ。「インボイス制度が開始されると、統合型であるというfreeeならではの価値が高まる。さまざまなモジュールが1つのDBを参照していることで、取引を行う部分と財務会計が一緒になって、インボイスの管理がやりやすい。逆に、見直しが必要な業務フローやシステムが広い範囲に渡るため、単機能型のソフトを組み合わせてインボイスに対応する負荷は非常に高い」

 インボイス制度が業績に与える影響は、現在は中堅企業で出始めているという。中小企業や個人事業主については、動きはまだゆっくりとしているが、23年1-6月以降に業績へのプラス影響が出てくると同社はみている。

 また、11月1日にスタートした「freee販売」についても、「請負型の事業を行っている企業にとっては、ERPとして必要な業務のピースを埋める一手だ」と佐々木氏。

 同社の営業先は、従来は財務経理や総務といったバックオフィスが主だったが、freee販売では営業マネージャーが対象となる。タッチポイントが拡大することで、社数の増加が見込めるだけでなく、既存顧客に対するクロスセルによってARPUの増加にも貢献する狙い。

 「freee会計」「freee人事労務」に続く第三の柱と位置づけ、数年後には業績にインパクトが出てくる見通しだ。