人を抱きしめて頭をなでるロボットを開発した──情報通信分野の研究を行う国際電気通信基礎技術研究所(京都府精華町)は12月6日、そんな発表をした。名前は「Moffuly-II」で、大人も抱きしめられる大型ロボット。同社はこれを使って、人とロボットの触れ合いについての実験を行った。

 Moffuly-IIは、クマのぬいぐるみをモデルにした、全長約2mの大型ロボット。2017年ごろに発表した先代「Moffuly」を改良したもので、初代と違いを付けるため、ややたれ耳なデザインに変更。同社は「犬っぽくなってしまった……というのが本音だが、たれ耳クマさん、と説明している」と述べた。

 Moffuly-IIの表面はモフモフになっている。この理由について同社は「人と触れ合うことを前提としたロボットであり、触感が良くないとそもそも触れ合うことに興味を持ってもらえないため、モフモフにした」と説明。「ついつい触りたくなってしまう触感にすることで、子どもから大人まで楽しんで抱きしめてくれる」という。

 機能面もアップデートしている。初代は片腕1自由度のみで、肘を閉じる方向のみしか可動できず、ギュっとハグをする以外には背中をトントンとたたく動作しかできなかった。Moffuly-IIは片腕3自由度となり、肘や手首を動かしてハグをしながら背中や頭をなでられるようになった。

●ぎゅっとする/なでる どっちが幸福度が高いか?

 同社では、Moffuly-IIを使って、人とロボットの触れ合いについての実験を実施。ロボットが人を抱きしめている間に、頭や背中をなでる、ぎゅっとする行為をした場合、どのような影響を人に与えるか調査した。

 実験ではMoffuly-IIで人を抱きしめる際、なでる動作/ぎゅっとする動作のどちらの方が好まれるか、頭と背中を使った4通りの組み合わせで検証。その結果「ぎゅっとするよりもなでる動作」「背中よりも頭をなでる動作」がそれぞれ効果的であると分かった。

 同社は「Moffuly-IIのなで動作は、髪や衣服を乱さないようになで下げ動作のみを採用していた。このなで動作の違いが、体験者にポジティブな印象を与えた可能性がある」と分析。ロボットが人を抱きしめながら頭をなでることで、人にとってより良い行動変容が起こる可能性を示唆した。

 同社は「触れる、抱きしめるなどの他者との触れ合いは、信頼や愛情を育むために欠かせない行為だが、誰もがその恩恵を受けられるわけではない」と説明。これを解決するため、人を抱きしめるロボットの研究を進めている。しかし「抱きしめる際に頭を触る動作」に関する研究はあまり進んでいなかったため、今回Moffuly-IIでの検証に取り組んだ。

 この研究成果は、ロボティクス分野における主要論文誌「International Journal of Social Robotics」に採択された。