9月8日、キングジムがラベルライター「『テプラ』PRO」シリーズの新製品として「『テプラ』PRO MARK SR-MK1」(以下「MARK」)をリリースした。

 テプラといえば「ザ・事務製品」といった見た目を想像する人も多いと思うが、見た目を含めて、MARKは従来のテプラから一線を画するモデルとなっている。その使用感をレビューしていく。

●シンプルな外観でインテリアになじみやすい

 ホワイト、ブラック、シルバーといったボディーカラー、単体で文字入力できるキーボードにモノクロ液晶ディスプレイ――これまでのテプラといえば、事務用品という固定観念を持たれがちな外観だった。女性を意識した“ガーリー”なカラーやパターンをまとったモデルもあるが、それでもオフィス向けのイメージは抜けきらず、インテリアの一部とするのは厳しい。

 しかし、MARKはよい意味で事務用品っぽさがない。その理由の1つが、キーボードのない、シンプルシンプルなボディーにある。

 従来のテプラとは異なり、MARKは文字の入力をスマートフォン(Android/iPhone)に任せている。こうすることで、キーボードやディスプレイを搭載する必要がなくなり。箱にしか見えない、シンプルな外観となった。

 ボディーカラーも、ニュアンスのある「ベージュ」や「カーキ」を採用している。パキッとした色合い、あるいはオフィスっぽいホワイト、ブラックやシルバーではないところが、インテリアになじむオブジェのような雰囲気を醸し出しているのだ。

 一方で、MARKはテプラとしての品質にも妥協がない。最上位機種だけが持つ360dpiの高精細ヘッドを搭載し、細かい文字や画像でもきれいに印刷できる。ドット感を残さずに印刷できることも、事務用品っぽさをなくすのに一役買っている。

 MARKの発表会では、キングジム開発本部の井上彩子氏が「クローゼットや引き出しにしまわれてしまわないようなデザインで、いつでも手軽に印刷できるようにした」と話していた。置きっぱなしにしておけるということは、探したり、わざわざ出してきたりする手間が省ける。

 「面倒くさがりのわたしでも、利用しまくって、ラベルを貼りまくって、整理整頓しまくるのでは?」と期待は大きくなる。

●印字には専用アプリ「Hello」を活用

 先述の通り、MARKは文字入力をスマホに任せている。専用アプリ「Hello(ハロー)」をスマホにインストールした上で、BluetoothでMARKとペアリング(ひも付け)すれば利用できる。

 Helloアプリを開くと、上部にタブが並ぶ。アプリの機能紹介から、「キッチン」「リビング」「デコレーション」など、シーンにふさわしいテンプレートを選んでラベル作りができる。

 画面下部にある「ラベル作成」ボタンをタップすれば、作成方法からラベル作りにアプローチできる。この方法でも、リストからテンプレートを選べるようになっている。

 ラベルの作成方法は、「クイック作成」「一括作成」「こだわり作成」の3種類が用意されている。クイック作成なら既存のテンプレートから選んだ後、印刷するテキストを変えるだけで、すぐに印刷データが完成する。

 一括作成では、既存のテンプレートから選ぶと複数のラベルが表示されるので、印刷するテキストを順番に変えていけば、同じデザインのラベルをいっぺんに作成、印刷できる。キッチンやバスルームなどで、統一感のある空間を作るのに役立つだろう。

 こだわり作成では、既存のテンプレートをベースに、テキストや画像の変更、絵文字の追加などを行える。

 なお、テンプレートで使われている画像やフレームは、ラベルの作成中に一度削除してしまうと元に戻せない。どうしても戻したい場合は、作成中のラベルを破棄して再度テンプレート選びからやり直す必要がある。

 一般的なテプラでは、使い勝手のよいフレームやイラストのような絵文字を追加できるのに、スマホアプリを使ったMARKでは、線画のような絵文字しか使えない。せっかく高精細ヘッドを積んでいるのに……と、少々残念である。

●どこでも買えるテープカートリッジと乾電池を用意すれば準備OK

 MARKでは、テプラPROシリーズ用の4〜24mm幅テープカートリッジの大半を利用できる。

 カートリッジのパッケージやケースに「P」「R」両方のアイコンがあれば、テープ幅さえ合致すれば問題なく利用できる。一方で、両方のアイコンがあってもテープ幅が合わない場合、あるいは「P」アイコンしかない場合は利用できないので注意しよう。

 オフィスでよく見かける通常のラベルテープはもちろん、アイロンラベル、熱転写テープ、マスキングテープやリボンなど、特殊なテープも利用できる。しかも広く普及しているテプラPRO用のテープなので、入手性も良好だ。活用の幅も広がる。

 とりあえず、今回はMARKと一緒に届いた24mm幅のテープカートリッジをセットする。MARK本体の側面をカパッと開ければ、すぐにカートリッジスロットにアクセスできる。

 電源は単三形乾電池×6(アルカリ乾電池/充電式ニッケル水素電池)または別売のACアダプターから取る。充電式ニッケル水素電池でも動くということは、事実上「充電式」といっても良いのではなかろうか(違う)。

 電池の交換が面倒、という人にはACアダプターの購入をお勧めする。ほんの少しだけ感じるストレスは「面倒臭がり屋」にとっては致命的である。買ってしばらくたったら使わなくなる可能性大だからだ。

 テープカートリッジと乾電池(充電池)をセットしたら、側面のふたを閉じて、天面にある電源ボタンを押してスイッチを入れる。

 スマホ側でBluetooth設定からMARKをあらかじめペアリングした上でHelloアプリを起動すると、セットアップはスムーズに進む。スマホと接続できれば、下準備は完了だ。

●「選ぶ→入れる→送る」でラベルを作成できる!

 設定が完了したら、Helloアプリを使ってラベルを作成する。

 前述のように、このアプリにはラベルを1からデザインできる「こだわり作成」機能もある。しかし、面倒臭がりの自分が、全てのラベルをこだわって作れるはずがない。ということで、今回は「クイック作成」を試してみることにした。

 Helloアプリの良いところは、テンプレートリストが実際に使っている様子の写真となっている点にある。利用イメージを思い浮かべやすいのは非常に助かる。

 写真内に見えているラベルの形などを参考にテンプレートを選び、「作成」ボタンをタップすると、テンプレートを選択できる。あとはテキストを入力して、紙飛行機のアイコンか「送信」ボタンをタップすれば、MARKにデータが転送され、印刷が始まる。実にクイックかつイージーだ。

 とはいえ、同じテンプレートを使って複数ラベルを作るなら、手間がかからないという観点で「一括作成」に軍配が上がる。1つの画面で一気にラベル面まで作って、一気に印刷できるからだ。

 元々整理整頓が苦手なこともあり、わたしは調味料をできるだけ同じメーカーのものでそろえている。それでも、このメーカー、あのメーカー……と、複数メーカーのものが入り混じってくると、だんだん「カオス状態」に陥ってしまう。

 そこで、MARKの出番だ。それぞれの調味料の名前を日本語でラベリング。既定の枚数で足りなければ「+」アイコンをタップすればいいし、多すぎるのであれば左にスワイプして、ゴミ箱アイコンをタップして削除すればいい。

 今回は、既定数が10枚のところ、6枚作成すればこと足りたので、4枚分を削除した。 後は、「印刷」ボタンをタップするだけで、続々とMARKからラベルがプリントアウトされる。

●スマホ専用だからこそできる「タイムラベル」

 こうして完成したラベルを調味料ボトルに貼ったところ、棚に統一感が生まれた。ボトルの種類が違っていても、貼り付け位置が多少ズレてしまっても、見た目がこれほど良くなるとは思っていなかったので、驚きだ。

 ラベルがこんなに小さくても、存在感は出るのだなぁと、妙に感心してしまった。

 モノはついで、ということで、「小松菜ご飯」「エビピラフ」……など、パッケージを見れば一目瞭然な非常食にもラベルを貼ることにした。一見ばかげたことに見えるが、あえて貼り付けたのには理由がある。MARK×Helloの「タイムラベル」機能を使うためである。

 簡単に紹介すると、タイムラベルはラベルとスケジュールを“連動”させることで、スマホを介してユーザーに通知を出すという機能だ。

 通常、プリントしたラベルシールは、モノを整理したり見分けたりするのに使われる。それは貼り付けてあるという「静」の状態であって、動くのは人間である。それに対し、タイムラベル機能を使ったラベルシールは、スケジュールに定めた時間になるとユーザーに働きかけるという点で「動的」である(正確にはHelloアプリを入れたスマホが通知するのだが)。

 タイムラベルは、印刷履歴から設定できる。設定したいラベルをタップし、「タイムラベルを設定」をタップすると、設定画面に遷移する。画像を合わせて登録することもできるので、ラベルを貼る対象物の写真を添付しておくと、メモ代わりにもなる。

 例えば、ゴミ箱用に「燃えるゴミ」というラベルシールを作り、タイムラベルで「毎週」「木曜日」と設定すれば、木曜日になった時点で通知が届き、ゴミ捨てを促してくれる。「第2、第4土曜日にビンの収集」といったように隔週回収のゴミがある場合は、予定を「2週間ごと」に設定すれば良い。ただしこの場合、同じ曜日が5回ある月の翌月には、予定の調整が必要だが……。

 このタイムラベルが特に役立つと思われるのが、先に触れた非常食である。2〜3カ月も住んでいれば覚えられるゴミの収集日とは異なり、最近では3年どころか5〜6年持つ非常食の賞味期限は、正直覚えきれない。買ってきた当初は「あと4年たったら食べて、新しいのに入れ替えるぞ!」と、いわゆる「ローリングストック」をする気満々だったはずが、忘れてしまうことはよくあることだ。

 「買ってすぐにスケジューラーに入れればいいじゃないか」と言われるかもしれないが、入れたかどうかも、きっと忘れてしまう。できれば「カレンダーに入れた」という、“目に見える”証拠が欲しいわけである。このような需要にマッチするのが、このタイムラベル機能なのだ。

 個人的には、タイムラベルに画像を登録しておけるのは非常にありがたいと感じた。というのも、非常食のように長期間見ない可能性があるものは、単に通知が届いても「見た目」を忘れてしまう可能性があるからだ。写真も一緒に保存できれば、このような問題もない。

 まさに忘れっぽいわたしにうってつけの機能満載なのだ。

●Helloアプリに不満点も

 ここまでMARKとHelloアプリの良い点を紹介してきたが、不満点も大きく2つある。

 1つは、各カテゴリーのテンプレート詳細をフリックで移動できないことだ。テンプレートを閲覧する際に、選んだテンプレートから別のテンプレートの詳細を見るためには、いったんテンプレートリストに戻らなければならない。

 少し分かりづらいので、「Googleフォト」アプリやiOSの「写真」アプリで例えてみよう。両アプリでは、写真一覧から1枚選んで全画面表示した後に、横にフリックすれば前後に保存した写真も閲覧できる。しかし、Helloアプリでは、テンプレートをフリックして閲覧できない(切り替えられない)のだ。

 次々と表示できないため、いちいち戻って選び直さないといけない――これは面倒くさがり屋にとってプチストレスである。他のものを選ぶのが面倒なので、「最初に選んだこれ“で”いいや」となってしまう。

 もう1つは、タイムラベル設定の複製ができないことだ。同じ日時のものを設定するのに、「また日付設定をしないといけないのかぁ……」と憂うつになってしまう。せめて、「リセット」するまで前回のタイムラベル設定を覚えていてくれればよいのだが、と思うのだ。

 気になる点があるとはいえ、そこはアプリ。いくらでも修正や改良はできる。

 そのことを考えれば、MARKは多くの人にオススメしたいラベルライターである。整理整頓を日常的にできるマメな人であれば、普段の作業がもっとはかどるだろうし、もっと楽しくなるはずだ。

 逆の人種――わたしのようにズボラで面倒くさがり屋で忘れっぽい人にとっては、MARKは“救世主”のような存在になるだろう。スケジューリングとラベリングが一度で目に見える形で行え、忘れたとしてもアプリの通知を見るだけで思い出せるような工夫がされているからだ。

 本誌が「ITmedia PC USER」であることから、PCとの接続も試してみたが、キングジムのサポートサイトにもあるように、Bluetoothデバイスとして検索することもできず、他に接続方法が見つからなかったことから断念した。MARKが「スマホ専用ラベルライター」であるという事実を再認識させられるだけの結果となったことも報告しておく。