ASUS JAPANのゲーミングブランド「ROG」シリーズから登場した「ROG Strix SCAR 17 G733QS」(G733QS-R9XR3080EC3)は、最新CPUのRyzen 9 5900HXとGPUのGeForce RTX 3080を搭載したゲーミングノートPCだ。

 eスポーツプレイヤー、コアゲーマーをターゲットとしており、リフレッシュレート300Hz対応の17.3型液晶ディスプレイ、さらにはオプティカルメカニカルキーボードの搭載、こだわりのボディーデザインなど、見どころ満載の製品となっている。評価機を入手したのでレビューしよう。

●スーパーカーのようなインパクト抜群ビジュアル

 シャープなラインで構成されたダイナミックなフォルム、質感高いディテール、鮮やかなイルミネーションで彩られたスペシャル感のあるビジュアルは、「スーパーカー」と呼ばれるような、高級で特別なスポーツカーを連想させる。

 キーボードだけでなく、前面底部、画面下、天板ロゴがRGB LEDでライトアップ可能だ。最大輝度が高く、非常に鮮やかなイルミネーションを楽しめる。発光カラーやパターンは、プリインストールされている「Armoury Crate」に含まれる「AURA Sync」ユーティリティーで制御できる。外部のAURA Sync対応デバイスと連動させることも可能だ。

●使いやすいインタフェース構成

 具体的なボディーサイズは、約395(幅)×282.1(奥行き)×23.4〜27.5(厚さ)mmで、公称の重量は約2.75kgだ。17.3型という大きな画面を搭載している割にはスリムでコンパクトなため扱いやすい。90Whのバッテリーを内蔵しており、約12.2時間のバッテリー駆動(JEITAバッテリー動作時間測定法 Ver2.0)が可能だ。

 大きさや重さからバッテリー駆動させる機会はあまりないかもしれないが、停電時などには電源なしで長時間利用できるのはありがたい。スマートフォンのバッテリーなどとしても活用できるだろう。

 通信機能は1000BASE-T対応の有線LANとWi-Fi 6、Bluetooth 5.1を標準で装備する。ディスプレイ出力は、HDMIの他、背面のUSB Type-C(DisplayPort Alternate Mode)でも可能だ。このUSB Type-Cは、USB 3.2 Gen 2(10Gbps)でのデータ転送、USB Power Delivery(100W)にも対応している。加えて、USB 3.2 Gen 1 Type-A(5Gbps)も3基搭載している。

 2組のステレオスピーカーを内蔵したクアッドスピーカー構成で、臨場感あるサウンドを再生する。アレイマイクを備え、アップリンクとダウンリンク、両方のノイズキャンセリングに対応する。ただ、Webカメラが省かれている点は注意が必要だ。液晶上部のベゼル幅が非常に狭く、別の位置に搭載するくらいであればない方が良いという判断かもしれないが、何らかの形で実装してほしかったところだ。また、SDメモリーカードスロットも省かれている。

 続いて、内部スペックを見ていこう。

●最新のRyzen 9 5900HXとGeForce RTX 3080という豪華スペック

 CPUには、AMDのRyzen 9 5900HXを搭載する。1月にオンラインで行われたCES 2021にて発表されたばかりのRyzen Mobile 5000シリーズのハイエンドモデルだ。Zen 3アーキテクチャの採用により、シングルスレッド性能、マルチスレッド性能ともに大幅に飛躍。実ゲームでのフレームレート計測でも強さを見せており、全方位でスキのないCPUとなっている。

 ゲーミング体験の要となるGPUは、NVIDIAのGeForce RTX 3080(グラフィックスメモリは16GB)だ。こちらもCES 2021で発表されたばかりの最新のハイエンドGPUで、最新の「Ampere」アーキテクチャと8nmプロセスルールの採用により、先代から大きく電力効率を上げている。

 見どころの多い本製品だが、さまざまな特別設計も導入されている。CPUは5フェーズ、GPUは7フェーズの電源回路を新たに採用した他、液体金属グリス、84ブレードファン、6本のヒートパイプなどを利用した強力な冷却機構を備えることで、最新の高性能パーツの性能を最大限に引き出しつつ、安心して利用できるのがポイントだ。

 さらに、メモリはPC4-25600を32GB(16GB×2)搭載し、ストレージにはPCI Express 3.0対応のSSDを2TB(1TB×2)装備するなど、文句のない豪華スペックである。なお、評価機ではストレージはRAID 0構成となっていたが、製品版はRAIDではなく、1TBのSSDを2基搭載する構成となっている。

●300Hzの超高速リフレッシュレート対応の17.3型ディスプレイを搭載

 17.3型と大きなサイズの液晶ディスプレイ(画面解像度は1920×1080ピクセル)は、映り込みのないノングレア仕様だ。

 リフレッシュレート300Hz、応答速度3msの高速駆動に対応するのが大きな特徴で、60Hzを超える高フレームレート環境でも滑らかな画面表示が可能だ。FPSや格闘タイトルなど、一瞬の動きや反応の見極めが勝負を分けるゲームも快適にプレイできる。

 ディスプレイに関しては、「IPSレベルパネルで広視野角」「コントラスト比1000:1」といった内容が公開されている。「IPSレベル」とされているのは、商標登録の関係上「IPS」という名称を使えないためで、技術的にはIPSと同等のものが使われているという。実際に評価機を見る限り、上下/左右方向とも視野角は広く発色も良好だった。

 エックスライトのカラーキャリブレーションセンサー「i1 Display Pro」で計測したところ、輝度は349ニト、色温度は6956K、色域はsRGBカバー率で約100%(面積比107%)だった。明るく鮮やかで色再現性も確保されており、ゲーム以外でもさまざまな用途で快適に使えるディスプレイといえる。

 次に、光るキーボードや本体に仕込まれたユニークな部分をチェックする。

●光速反応のオプティカルメカニカルキーボード

 キーボードには、オプティカルメカニカルスイッチを採用する。機械式のスイッチを押す動作で光を遮っているシャッターが開いてスイッチが入る仕組みで、通常のメカニカルキーボードに対して、反応は150倍速いという。キーストロークは約1.7mm、キートップには約0.15mmのくぼみを付けることで指を置きやすくしている。また、複数キーの同時押しを正確に認識できるNキーロールオーバーにも対応する。

 試した限り、メカニカルキーボードとしては比較的軽い力でキーを押下でき、反発も強すぎず、ノートPCのキーボードに慣れている人でも負担なく使える印象だ。通常のメカニカルキーと同様、押下時にカチカチとした音はする。

 英字配列でテンキーのレイアウトが変則的な点は注意が必要だ。特にテンキーは数字キーが一般的なレイアウトよりも1列上に配置されており、違和感が大きい。慣れるまでには少し時間が必要だろう。

●遊び心たっぷりの仕掛けも満載

 本製品には「Keystone II」と呼ばれるハードウェアキーが付属している。接続はNFCを利用し、マグネットを内蔵して固定できるようになっている。

 このキーの装着をトリガーとしてパフォーマンス設定を切り替えたり、指定したアプリを起動したりする他、キーを指したときだけ隠しパーティションが使えるシャドウドライブ、キーを外した時にウインドウを最小化したり、Windowsからログアウトするなどといった動作を割り当てることも可能だ。

 また、背面のヒンジ奥部分の装飾カバー(Armor Cap)は着脱でき、標準で装着されているラバーグレイに加え、トランスルーセントブラック、メタリックシルバーと、2種類の交換用Armor Capが付属しており、気分に合わせて付け替えられる。

 続いて、ベンチマークテストで本機の性能を確認する。

●ノートPCの枠を超えるパワフルなパフォーマンス

 ベンチマークテストの結果を見よう。評価機は、CPUがRyzen 9 5900HX、メモリが32GB(DDR4-3200/デュアルチャンネル)、GPUがGeForce RTX 3080(16GB)、ストレージがSSD RAID 0(PCI Express 3.0x4)、OSがWindows 10 Home 64bitという内容だ。このうち、ストレージのみ製品版と異なる仕様(製品版はRAIDなし)となっている。Armoury Crateで設定できるパフォーマンスモードは「Turbo」を利用した。

 なお、比較用に第10世代のCore i7-10700K(開発コード名:Comet Lake)、GPUにGeForce RTX 3070を搭載したデスクトップPCを利用している。

 CINEBENCH R23では、マルチスレッド性能を見るCPUスコア、シングルスレッド性能の目安になるCPU(シングルコア)スコアとともに、Core i7-10700K(8コア16スレッド、3.8GHz〜5.1GHz)搭載の自作デスクトップPCを上回るスコアをマークした。Ryzen 9 5900HXの優れたポテンシャルをしっかりと引き出していることが分かる。

 一方、3DMarkなど3D描画系のスコアでは、デスクトップ向けのGeForce RTX 3070(8GB)を備えた自作PCよりも少し劣っている。GPUのスペックからしてこれは想定の範囲内だ。近年のNVIDIA GPUは、デスクトップPC向けとノートPC向けの性能格差が徐々に広がっている傾向があるので注意が必要なところである。もっとも、ノートPCとしては極めて優秀で、最新の主力級ゲーミングデスクトップPCに匹敵する性能を持っているのは間違いないところだ。

 最後に、クリエイティブ系アプリでのパフォーマンスや騒音面を確認する。

●クリエイティブ系アプリでの性能は?

 クリエイティブ系アプリの性能も試した。アドビのLightroom Classicでは、4240万画素のRAWデータ100枚に現像パラメーターを設定してJPEGで出力する時間を計測したところ、比較用の自作PCと全く同じ時間で終わった。

 Premiere Proでは、8本の4Kクリップで構成した約5分のプロジェクトの出力時間(H.264、ハードウェアエンコーディング)を計測した。こちらは、よりGPUを利用しているためか比較用PCより少し時間がかかった。

 これだけのパフォーマンスを持ちながら、動作音も抑えられている。アイドル時は動作していることが分かる程度の音で、高負荷時でもCINEBENCHやLightroom Classicの現像出力のように、GPUをさほど使わない処理ではまだ小さい。FINAL FANTASY XIV Official Benchmarkなどのゲームをある程度長く続けると大きな音になるが、それでもまだファンのモーターの能力に余裕を感じる落ち着いた音だ。

 発熱の処理も優秀で、放熱口があるヒンジ奥などは高い温度になるが、ゲーミングで利用する頻度が高いWASDキーやカーソルキー、パームレストといった部分に熱が伝わって来ない。

●所有欲を刺激する付加価値満載のスペシャルPC

 最新のRyzen 9 5900HXとGeForce RTX 3080を搭載したことによるノートPCの枠を超えるパフォーマンスに、プレミアムなデザインとイルミネーション機能、プレイフィールに直結する高速駆動液晶ディスプレイにオプティカルメカニカルキーボードの採用、Keystone IIのような独自のギミックなど、付加価値が満載だ。

 フルHD解像度で高速駆動の液晶ディスプレイを搭載しているだけに、FPS、格闘系など競技性の高いゲームをプレイするeスポーツプレイヤーや、コアゲーマー向けの製品だけにライトゲーマーでは持て余すかもしれないが、そういった実用性とは別のところでも欲しいと思える色気にあふれている。

 2月中旬〜下旬に発売予定で、直販のASUS Store価格は税込みで32万9800円だ。一般的なPCの基準からいえば高価ではあるが、高性能かつ高機能に加えて他の製品にはない付加価値を備えた唯一無二の存在だけに、欲しいと感じたならば購入しても後悔することはないだろう。