Microsoft Office(以下、Office)は仕事や授業、あるいは日常に欠かせないアプリだ。PCとセットになったり、パッケージも用意されていたりするが、WordやExcel、Outlook、プレゼンテーションのPowerPointを含む「Office Home & Business 2019」(永続ライセンス、2台までのPCへのインストール可能)で3万8284円(税込み、以下同様)と値が張る。

 またデータベースソフトのAccessや、クラウドストレージサービス「OneDrive」の1TBの利用権があるサブスクリプションタイプなら、年間1万2984円で月にならすと1000円程度の計算になる。

 コストがかさむため「互換製品でいいか」と思っていても、予想もしなかったレイアウト崩れや、ファイル作成者の意図しなかったフォントでの表示などに遭遇してしまい、結局Officeを導入せざるを得なかった、という話もちらほら耳にする。

 どうせ手に入れる必要があるならできるだけ安価な方がいい、というのが人情というもの。というわけで、考え得る最安値でOfficeのサブスクリプション版「Microsoft 365 Personal 1年版」(以降、Microsoft 365)が手に入る、「Amazon Fire HD 10 エッセンシャルセット」を購入した。

・「Fire HD 10 Plus」を画面付きスマートスピーカーとして使ってみた

・「Fire HD 10エッセンシャルセット」でビデオ会議を試す

●通常2万4980円がプライムデーで1万8980円に!

 日本のAmazonでは、2012年10月から「Kindle Fire HD」の登場を皮切りとして、今では7型、8型、10.1型のタブレット「Fireシリーズ」を販売している。そして5月26日には、最新の第11世代「Fire HD 10」と、ワイヤレス充電に対応し、メモリも4GBとパワフルな「Fire HD 10 Plus」が発売された。

 新しいFire HD 10およびFire HD 10 Plusには、サードパーティー製ではあるが、初めて専用キーボードが用意された。おまけにキーボードとMicrosoft 365を組み合わせたFire HD 10 エッセンシャルセットというものまで登場した。

 32GB版Fire HD 10は単体で1万5980円だ。「Made for Amazon」を冠した専用のキーボード「Fintie Bluetooth キーボード付きカバー」は5980円で、ハードウェアの代金を合わせると2万1960円となる。そしてその組み合わせにMicrosoft 365を付けたエッセンシャルセットで2万4980円だ。通常であれば1万2984円のMicrosoft 365が、約3000円を追加するだけで手に入る計算だ。あまりにお得で、何かがバグっているとしか思えない。

 しかも、6月22日23時59分まで開催中のバーゲンセール「プライムデー」では、実に1万4999円オフの1万8980円という価格になっている。もう破格値を通り超えたプライスと言える。

 なお、Amazonで販売しているMicrosoft 365(オンラインコード版)の正規の価格は1万2019円だ。Microsoft公式サイトの価格差とは異なることを補足しておきたい。

●プロダクトキーはいずこに?

 事前に予約しておいたおかげで、発売日に無事に手元に届いたFire HD 10 エッセンシャルセットだが、箱の中に入っていたのは、Fire HD 10とFintie Bluetooth キーボード付きカバーの2つのみだった。Officeバンドル版PCのようなOfficeのカードは付属していない。

 Fire HD 10を立ち上げると、Microsoft Office Mobileアプリ(Word、Excel、PowerPointをまとめたもの)がプリインストールされているのが確認できる。同アプリは、Fire HD 10 エッセンシャルセットの発表に合わせてリリースされたFireタブレット向けアプリだ。

 とはいえ、Android版と同じ無料の「Office Mobileアプリ」なので、Microsoft 365を購入していなくても、アプリストアからダウンロードすれば誰でも無料で利用可能(ビジネスでの利用は不可)なため、Fireタブレットだけで使うのであればあまりうまみはない。

 やはり、ここはPCなど他のデバイスでも利用したい。Microsoft 365なら、Word/Excel/PowerPoint/Outlook/OneNote/Publisher/Accessがインストール可能(PublisherとAccessはWindows版のみ)で、PCやMac、タブレットやスマホにインストールできる(同時利用は5台まで)からだ。

 ここで「サービスを有効にするプロダクトキーは、どこにあるのだろう?」ということが気になる。オンラインコード版なので、カードのようなものが箱に入っているわけではない。注文手続き完了通知メールにも、プロダクトキーが記載されていない。

 では、どこで確認できるのか。

●2通りの手順でコードの確認が可能

 それには、2通りの手順がある。1つはAmazonでお買い物アプリ(以下、Amazonアプリ)の注文履歴からたどる方法で、もう1つはSilkブラウザでAmazon.co.jpにアクセスしてマイアカウントから確認するというものだ。

 Amazonで購入したオンラインコード版ソフトのプロダクトキーのリストは、「ゲーム&PCソフトダウンロードライブラリ」内にある。「購入したものだから、マイアカウントから確認できるだろう」と考えるものだが、なぜかAmazonアプリではたどっていけない。

 では、全く確認できないかというと、そのようなこともなく、Microsoft 365の販売ページにアクセスすれば、製品説明文の中に「ダウンロードライブラリ」へ飛べるリンクがあるので、そこから確認できる。検索するより注文履歴からたどっていった方が効率が良いだろう。

 SilkブラウザでAmazon.co.jpにアクセスする方が、もう少し分かりやすい。アカウントサービス内の「デジタルコンテンツとデバイス」の枠の中に「ゲーム&PCソフトダウンロードライブラリ」を見つけられるからだ。

 ゲーム&PCソフトダウンロードライブラリを開くと、購入したオンラインコード版ソフトのプロダクトキーリストがある。Microsoft 365の場合は、「office.comへ」というリンクボタンがあり、そのリンク先でMicrosoftアカウントとプロダクトキーがひもづく仕組みになっている。

 Fire HD 10以外の端末からであっても、AmazonアカウントとMicrosoft 365のプロダクトキー、そしてこれからログインまたは作成するMicrosoftアカウントをリンクでき、プロダクトキーをわざわざコピペすることなく、OneDriveを含んだOfficeの1年分のサブスクリプションサービスを受けられる。

●PCでOfficeを使えるようにする

 Fire HD 10からoffice.comを開いたところで、できることはMicrosoftアカウントとプロダクトキーのひもづけ程度だ。掲載のキャプチャ画像はFire HD 10で行ったものだが、ここからはOfficeをインストールしたいPCで作業を進めていった方がいいだろう。

 まずは、PCのブラウザを開き、Amazon.co.jpにログインをしよう。そして、前述の方法で、office.comへアクセスする。

 Microsoft 365を利用するにはMicrosoftアカウントが必要だ。開いたリンク先で、既存のMicrosoftアカウントを使ってサインインするか、新しいアカウントを作成しよう。筆者の場合、Microsoft 365サービスを契約していないアカウントがあったため、そちらを使ってサインインをした。ちょうどOneDriveの容量が足りなくて困っていたのだ。

 数秒待つとMicrosoftアカウントと、Amazonで購入したMicrosoft 365のプロダクトキーがひもづけられる。

 後は「アプリを入手する」の手順で「次へ」ボタンをクリックすれば、自分のMicrosoftアカウントサイトへ飛ばされるので、「アプリをインストールする」からOfficeアプリをインストールすればよい。

 いったんMicrosoftアカウントにプロダクトキーを適用してしまえば、どのPCでも同じMicrosoftアカウントを使って、完全なOfficeのデスクトップアプリを使うことができる。Microsoftアカウントがプロダクトキーの役割を果たすからだ。iPhoneやAndroidでも、モバイルOfficeアプリ使用時にMicrosoftアカウントへログインしておけば、下書きなどした書類をOneDrive経由で同期できるようになるので便利だ。

 既にOfficeのサブスクリプション契約をしている人ならば、Microsoft 365の契約時に、クレジットカードなどの決済情報を入力していれば、満期時に自動更新される。決済額は、その時点でのMicrosoft公式サイト価格になる。

 しかし、Fire HD 10 エッセンシャルセットを購入すれば、約3000円ほどでMicrosoft 365のプロダクトキーが手に入る。Microsoftアカウントに、そのプロダクトキーを登録することで、格安で更新できるのだ。

●Made for Amazon認定取得済みキーボードは意外便利

 最後に、Fire HD 10と専用キーボードを組み合わせたOfficeの使い勝手についても触れておきたい。

 専用キーボードとされているFintie製のBluetoothキーボード付きカバーは、キーピッチも小型ながら約17mmを確保しており、タイプ感もよい。数字が刻印されているキーの位置が、若干左寄りのため最初は戸惑うが、慣れればタッチタイプも可能だ。かな入力派を悩ませる「ろ」はスペースキーの右隣に配置されているが、これも親指で入力するものだ、と自分に言い聞かせることで解決する。

 キーボード部の重量は実測で約496g、カバー部分は約135gなので、同じく約460gのFire HD 10を合体すると約1.09kgとなり、サイズはコンパクトながらややずっしりとした印象になる。

 問題は、キーボードにファンクションキーとタッチパッドがないことだろうか。画面のタッチ操作でまかなえるが、ここまでキー操作に違和感がないと、カーソルを動かすため、ついつい親指がタッチパッド操作をしてしまいそうになる。画面に変化が見られないことで、「そういえば、タッチパッドがないんだった」と気づく。

 幸いFire HD 10は、マウスのBluetooth接続も可能だ。余っているマウスをあてがうことで(少しもっさりはしているが)PCライクに使えるようになった。

 Android版と同じOffice Mobileアプリなので、できることは限られているが、それでもWordやExcelで図形やテキストボックスの挿入ができたり、ドキュメント内に手書きできたりするなどWeb版Officeより使える印象だ。

 出先でメールをチェックして返信したり、書類を下書きをしたりする、校正をするといった使い方なら十分だ。中には、Fire HD 10エッセンシャルセットだけで仕事が片付くという人もいるだろう。

 Fire HD 10 エッセンシャルセットは、Officeを使いたい人も、ちょっと雑に扱える新しい端末を手に入れたい人も、またクラウドストレージを買っておいて損はないセットなのだ。

 上位モデルの「Fire HD 10 Plus エッセンシャルセット」も、プライムデーでは通常の2万7980円からさらに安価な2万1980円とお得になっているので、気になる人はぜひチェックしてほしい。

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