ASUS JAPANから登場した「ROG Zephyrus M16 GU603HR」は、約2kgの薄型ボディーに強力なゲーミング性能を備え、アスペクト比16:10で画面占有率94%の16型液晶ディスプレイを搭載したゲーミングノートPCだ。

 スペックが異なる5モデルを用意しているが、今回はCore i7-11800H、GeForce RTX 3070 Laptop GPU(グラフィックスメモリは8GB)を採用した最上位モデル(GU603HR-I7R3070EC)の評価機を入手したのでレビューしよう。

●洗練されたデザインの薄型ボディー

 天板にアルミニウム合金、パームレストと底面にはマグネシウムアルミニウム合金を採用したボディーは、スリムながら頑丈さを兼ね備える。重量が約2kgあるので常時携帯するような使い方には向かないものの、移動する必要があるときは、サッと持ち出すことができる。

 ボディーサイズは、約355(幅)×243.5(奥行き)×19.9〜22.3(高さ)mmだ。アスペクト比16:10と16:9より縦に長い16型液晶ディスプレイを搭載しているが、サイズ感としてはアスペクト比16:9で15.6型のゲーミングノートPCとあまり変わらない。

 これは超狭額ベゼルの効果が大きい。通常の狭額縁ベゼルは、画面下部の非表示部が大きいものが多いが、本製品は画面下部も狭くしており、画面占有率は94%と最近の製品としてもトップクラスを実現している。

 非表示部の狭さは見た目にもインパクトがあり、洗練されたイメージの演出に貢献している。

●先進のゲーミング体験を実現する最新世代のCPUとGPUを採用

 本機に搭載されるCPUは、第11世代Core i7-11800H(2.3GHz〜4.6GHz)だ。Intel最新のCore H45(開発コード名=Tiger Lake-H)の主力モデルで、ゲーミングPC/クリエイターPCの新製品の多くで採用されている。

 第10世代のCore i7-10750Hの後継となるが、この世代からはマイクロアーキテクチャ、プロセスルールが変わったことで大きく進化した。従来の6コア12スレッドから、8コア16スレッドに増えた以上の大幅な性能向上を果たしている。

 GPUは、NVIDAのGeForce RTX 3070を装備する。リアルタイムレイトレーシングやDLSS/DLSS 2.0に対応した最新タイトルを含め、WQHD解像度までなら大抵のゲームを快適にプレイできる。

 クリエイティブ系アプリでは、描画の高速化やエンコードの高速化に加え、レンダリングの高速化、AIを生かした超解像処理やニューラルフィルターなどの特殊加工をGPU処理で高速に利用可能だ。

 メモリはDDR4-3200を16GB(換装不可)、ストレージはPCI Express 4.0 x4対応の高速SSDを1TB内蔵している。

 続いて、インタフェース回りをチェックしよう。

●Thunderbolt 4など充実のインタフェースを用意

 通信機能は1000BASE-T対応の有線LAN、Wi-Fi 6の無線LAN、Bluetooth 5.1を標準で備える。

 外部インタフェースはThunderbolt 4(Type-C)、USB 3.2 Gen 2(Type-C)が1基ずつ、Type-Aは、USB 3.2 Gen 2とGen 1を1基ずつ備え、新旧の周辺機器を変換アダプターなしでフル活用できる。

 デジタルカメラからのデータ取り込みに便利な、microSDメモリーカードスロット(SDXC/SDHC対応)を搭載しているのも心強い。

 画面の上部に92万画素のWebカメラとアレイマイクを内蔵し、Webカメラは暗い部屋でもノイズの少ない映像で配信できる2D/3Dノイズリダクションに対応する。ビデオチャット/ビデオ会議中の音声に対する双方向AIノイズキャンセリング機能も搭載しており、ゲーム配信やテレワークのビデオ会議も快適に行える。

●静音性にも優れたキーボードを搭載

 キーボードはテンキーなしの6段配列だ。キーピッチは縦横ともに約19mmを確保しており、配列もクセが少ない。BackSpaceやDeleteキーが右端に、カーソルキーも周囲のキーと離れて配置されている。スイッチの感触もとても良く、長文のテキスト入力も快適にできる印象だ。

 複数キーの同時押しを正確に認識できるNキーロールオーバー対応し、静音設計で静音性にも優れているので、ゲーム配信やビデオ会議などで音を拾いたくない場合も気を遣う必要がないのも良い。

 単体ではとても良いキーボードだと感じるが、同じROGシリーズの日本語キーボードでも、配列のクセが全く異なるモデルが混在している点は少し気になるところだ。

 また、パームレストのソフトタッチの表面仕上げは好みが分かれるところだろう。見た目や質感は良いのだが、微妙な摩擦感が摩耗による劣化や長期耐久性への不安を感じさせるため、個人的にはあまり好きになれない。

 キーボード奥には4つのワンタッチボタンがあり、統合ユーティリティーの「Armoury Crate」の起動や音量調整、マイクミュートなどが簡単にできる。

 次に液晶ディスプレイを確認しよう。

●没入感の高いアスペクト比16:10の16型ディスプレイを搭載

 液晶ディスプレイは、16型で2560×1600ピクセル(WQXGA)の高解像度に対応する。2560×1440ピクセルよりも少し縦のピクセル数が多く、より多くの情報を表示できる。

 リフレッシュレートは最大165Hz、応答速度も3msと速く、動画やゲームの動きを滑らかに表示することが可能だ。

 オープンワールド系などグラフィックスの美しいゲームをワンランク上の高解像度で楽しめるだけでなく、格闘ゲームやfpsなど、高フレームレート/高リフレッシュレートが重要なeスポーツ系タイトルもしっかりと楽しめる。

 さらにDCI-P3を100%カバーする広色域をサポート。正確な色を再現できることの裏付けであるPANTONE認証も取得している。Dolby Visionの基準も満たしており、Dolby Vision/HDR対応コンテンツを臨場感高く表現でき、画面占有率約94%の超狭額縁デザインのため、コンテンツへの没入感も高い。

 Dolby Atmos対応の6スピーカーを内蔵するのもトピックだ。キーボード左右のツイーターが2W×2、底面手前側には1W×4のウーファーを搭載しており、ノートPCとしては迫力のある低音をクリアに再生できる。オーディオジャックからのサウンド出力もハイレゾ対応と、エンターテイメントをとことん楽しめる環境が整っている。

●一流のゲーミング性能を実証

 ベンチマークテストの結果を見よう。評価機は、CPUがCore i7-11800H、メモリが16GB(DDR4-3200デュアルチャンネル)、GPUがGeForce RTX 3070 Laptop(グラフィックスメモリは8GB)、ストレージがSamsung PM9A1(1TB)、OSがWindows 10 Home 64bitという内容だ。

 Armoury Crateで設定できるパフォーマンスモードは、デフォルトの「Performance」を基本に、一部で「Turbo」でも測定した。一部のテストでは、比較対象として筆者が2019年に購入した旧世代ゲーミングノートPCのスコアも掲載する。

 マルチスレッド性能の目安になるCINEBENCH R23のスコアは12394ptsだ。Core i7-11800Hとして標準的なスコアであり、Ryzen 7 5800Hに匹敵するスコアでもある。比較対象のCore i7-9750H(6340pts)と比べると1.95倍にも上る。掲載は割愛したがTurboモードでもスコアはほぼ同じだった。

 3D描画性能は、GeForce RTX 3070としては低めだが、それでもWQXGA/WQHD解像度のゲームを快適にプレイするには十分なスコアが出ている。Turboモード時は3種類のテスト全てでスコアが良くなり、Time Spyでは約12%のスコア向上が見られた。

 最後に、ボディーの発熱や動作音をチェックする。

 動作音については、Turboモードでは低負荷時からファンの音が耳障りだ。高速で回る場面が多いとファンの寿命にも影響するので、常用するのは現実的ではないだろう。パフォーマンスモードでは低負荷時は静かだが、やはり高負荷時はゲーミングノートPCとしてもやや大きい部類の音がする。空調で室温は25度程度を維持してテストしたが、薄型のフォームファクターだけにあまり放熱に余裕はないという印象だ。

 温度については、WASDキーやパームレストの温度は比較的低く抑えられているが、それでも全体的に高めの温度ではある。冬場ならば単体でも問題はなさそうだが、暖かい部屋で快適に利用するには別途外部のノートPCクーラーがあった方が良いだろう。

●幅広い用途に活躍できる高性能薄型ノートPC

 評価機となる最上位モデル(GU603HR-I7R3070EC)の価格は、同社の直販ストアで26万9800円だ(税込み、以下同様)。スペックが異なる下位モデルも用意され、GPUをGeForce RTX 3060(グラフィックスメモリは6GB)である以外は評価機と共通のスペックを持つモデル(GU603HM-I7R3060EC)は、23万9800円になっている。

 高解像度で色再現性も高いアスペクト比16:10の液晶ディスプレイは、ビジネスやクリエイティブ用途とも相性が良く、キーボードやインタフェースの構成もゲーミング特化というよりは汎用(はんよう)性の高い装備で、テレワークやオンライン授業、HDRやハイレゾコンテンツの鑑賞、写真編集やビデオ編集などにも活躍できる製品だ。ゲーミングを含めた幅広い用途に活用できる持ち運び可能な高性能ノートPCを探している人にとっては、有力な選択肢となるだろう。