Google初のスマートウォッチ「Google Pixel Watch」が10月13日に発売された。Google Store(直販)の税込み価格は、Bluetooth/Wi-Fiモデルが3万9800円、LTE(4G)通信にも対応する4G LTE+Bluetooth/Wi-Fiモデルが4万7800円となっている。米国での価格は、それぞれ349.99ドル(約4万8500円)と399.99ドル(約5万5500円)と、最近の円安を考えると、日本における販売価格はかなり安い。

 短い時間だが、そんなPixel Watchを試用してみたので、その率直な印象をお伝えしたい。

●スマートウォッチとしては小ぶりな印象

 Pixel Watchのケース径は約41mmのワンサイズで、現行のスマートウォッチとしては小ぶりな部類に入る。一応、他のスマートウォッチでも41mmサイズはあるのだが、ベゼルが目立たないラウンドデザインで、ベルトを固定する「ラグ」と呼ばれるパーツがないため、ケースのサイズ以上に小さい印象を受ける。

 ケースの側面には回転機能も備えた竜頭(りゅうず)と、少し見にくいが、その上部にサイドボタンも備えている。

 ベルトは、隣接するボタンを押すと着脱できる。形状こそ若干違うが、Apple Watchと似た構造だ。製品にはあらかじめベルトが装着されているが、少し短めのベルトも付属している。

●充電は専用ケーブルで

 本体を充電する際は、付属の「USB-C 磁気充電ケーブル」を使用する。その名の通りプラグはUSB Type-Cになっているので、USB Type-A端子のみを備える充電アダプターやPCは充電に利用できないので注意が必要だ。このケーブルは、Google Storeにおいて3800円で単品販売もされている。

 充電は非接触で行われるので「これは、もしかしてワイヤレス充電台も使えるのでは……?」と期待が湧いてくる所だが、残念ながらQi(チー)規格を含めて一般的なワイヤレス充電規格には対応していない。一応、Pixel WatchをQi規格のワイヤレス充電台に置いてみると「充電中」とは表示されるものの、充電は一切行われない。

 それゆえに、ワイヤレス(リバース)充電に対応しているPixelスマートフォンからの充電にも対応しない。このことについては、Googleのサポートサイトでも明記されている。

 Pixel Watchの充電ケーブルを追加で用意する場合は、純正品か「Pixel Watch対応」と明記されているものを選ぶようにしたい。

●OSは最新の「Wear OS 3.5」 ただし操作体系が若干異なる

 Pixel WatchのOSは、Google最新のスマートウォッチ向けOS「Wear OS 3.5」だ。Wear OS 3.5は、それ以前のWear OSから画面や操作感に変化が加わっているので、従来のWear OSデバイスを使ってきた人は少し違和感を覚えるかもしれない(以下の例は、あくまでもPixel Watchのものとして見てほしい)。

 具体的な例を挙げると、画面を上から下にスワイプすると「クイック設定」が表示されるのは従来と同じだが、Pixel Watchの場合は表示項目がかなり増えている。フラッシュライトや画面の明るさ調整、「Google Pay」の表示などもここから行える。

 また、これまでは画面を左か右にスワイプすると「Googleアシスタント」の画面が表示されていたが、Pixel Watchでは各種アプリのタイルが表示されるようになっている。Googleアシスタントは、サイドボタンの長押しで起動可能だ。

 Pixel Watchで大きく変わったのは、デザインや操作性だけではない。スマートフォンにインストールする「コンパニオンアプリ」にも違いがある。

 従来のWear OSデバイスでは、メーカーを問わずGoogleが提供する「Wear OSアプリ」をコンパニオンアプリとして利用してきた。それに対して、Pixel Watchでは独自の「Google Pixel Watch」アプリを利用する。現時点において、このアプリにはiOS版は存在しないためiPhoneには非対応となっている。ペアにするスマホはAndroidスマホでなくてはならない。

●フィットネスは「Fitbit」が基本

 もう1つ、Pixel Watchには従来のWear OSデバイスと異なるポイントがある。フィットネスデータの扱いだ。

 従来のWear OSでは、基本的にフィットネスデータを「Google Fit」で扱っているが、Pixel Watchでは「Fitbit」で扱うことが基本となる。ある意味で、Pixel Watchは「Wear OSで稼働する新しいFitbitデバイス」ともみなせる。

 なお、Pixel WatchでGoogle Fitが使えないというわけではなく、別途アプリをインストールすればGoogle Fitも利用可能だ。ただし、心拍のリアルタイム計測など一部の機能はGoogle Fitでは利用できないようである。

 Pixel WatchのFitbit機能に関してだが、有料の「Fitbit Premium会員」になったとしても、既存のFitbitデバイス、例えば最新の「Fitbit Sense 2」と同等の機能が使えるかというとそうでもなく、機能はかなり制限されている。

 特に、ウォーキングやランニングを開始した際にそれを認識してアクティビティとして記録してくれる「運動の自動認識」に対応していないのは残念だ。この機能では運動をやめると記録も自動停止してもくれるのだが、これがないゆえに、運動開始時に手動で記録の開始操作を行い、終了時にはやはり手動で停止操作を行わなければならない。運動の開始時はまだしも、運動後に止めるの忘れてしまい、その日の運動時間がおかしなことになってしまった……ということがしばしばあった。ぜひとも、運動の自動認識には対応して欲しかった。

 また、Pixel Watchには皮膚温度の計測センサーも用意されていない。最近は搭載デバイスも増えてきているので、ここも残念といえる。

●「Google Pay」でタッチ決済可能 日本向けは「Suica」にも対応

 Pixel Watchは、「Google Pay」にも対応している。対応カード会社のクレジットカード/デビットカード/プリペイドカードによるタッチ決済(EMVコンタクトレス)の他、日本向けモデルではJR東日本(東日本旅客鉄道)の「Suica」も利用できる。

 現時点において、Suicaを利用できるWear OSデバイスはPixel Watchのみだ。

 Pixel WatchにおけるGoogle Payの使い方だが、カード未登録の状態でGoogle Payを起動しようと画面をタップすると、スマホ側で操作を促される。指示に従ってスマホを開くと、決済カードの登録画面が表示される。

 ここにはGoogle Payに登録されているカードがあらかじめ表示されるが、「新しいカードを追加する」を選択することでSuicaも新規登録できる。画面の指示に従えば新しいカードの登録は完了だ。特につまずくことはないだろう。

 なお、Pixel Watch側に登録されるSuicaは、スマホ(おサイフケータイ)で利用しているのとは別のもので、チャージ金額も別々の管理となる。残高を共有できるわけではないので注意しよう。

オートチャージや定期券などの利用には非対応

 Pixel Watchで利用するSuicaは、モバイルSuica定期券やSuicaグリーン券、おトクなきっぷ(企画乗車券)の発行に対応しない。また、Suicaオートチャージの設定も行えず、Google Payに登録しているクレジットカード/デビットカード/プリペイドカードからのチャージ、または駅などにあるチャージ機やコンビニエンスストアのレジにおける現金チャージにのみ対応する。

 モバイルSuica定期券はスマホを利用しつつ、コンビニや自販機でのちょっとした買い物の際にPixel Watchを利用する――といった使い方がベストだろう。

 なお、Pixel WatchでSuicaを利用する場合はアプリを起動する必要はなく、そのままICカードリーダーに近づけるだけで決済可能だ。

●見やすい画面で操作性も良好 気になるのは「バッテリーの持ち」

 試用期間は短かったものの、Pixel Watchの操作性は良好で、個人的にはかなりの好印象だ。当初は「通知や各種情報を見るには画面が小さいかも」と思っていたが、使ってみるとそんなこともなく、意外としっかりと文字も読むことができた。

 一方で、気になる点もある。バッテリーの駆動時間だ。Pixel Watchは、公称値で最大24時間をうたう。しかし、今回のレビューでは画面の常時点灯を「オン」にして、満充電状態から23時に使い始めて、翌日の18時にはバッテリー残量が7%にまで減っていた。少なくとも常時点灯で使う場合はバッテリーが1日持たないと考えた方がよい。常時点灯をオンにした状態で、睡眠ログを取るために夜間身に着けていると、翌日の仕事から帰ってくる途中でバッテリー切れ……ということもありそうである。

 常時点灯を無効にしたりディスプレイの輝度を下げたりすれば、バッテリーはもう少し持ちそうだが、「常時点灯は譲れない」という人は、朝起きたら出かけるまでの時間に充電、あるいはPC作業中は時計を外して充電、といった対策が求められる。

 最近のWear OSデバイスは、悪くても丸1日以上はバッテリー駆動できるものが多くなってきた。Pixel Watchの場合、そのサイズゆえにバッテリー容量が少ない可能性がある。筆者は基本的に自宅で仕事をしているため、1日中スマートウォッチを身に着けるということはあまりなく、バッテリー駆動時間が短くても許容できる。

 このバッテリー持ちが、世間でどう受け止められるか、少々気になるところだ。