ASUS JAPANの「ZenScreen Go MB16AWP」は、WindowsやmacOS、iOS、Android、ChromeOSなどのデバイスとワイヤレスで接続可能な15.6型のモバイルディスプレイだ。USB Type-CやHDMIといった従来の有線接続にも対応しており、利用環境やデバイスに合わせて接続方法を自由に選択できる。

 ワイヤレスディスプレイはかつてに比べると身近になってきたとはいえ、接続手順や表示品質はもちろん、映像に遅延はないのかといった実用性の部分に至るまで、ユーザーとしては気になるところ。メーカーから実機を借用できたので、レビューをお届けする。

●見た目は一般的なモバイルディスプレイ

 まずは基本的な仕様をざっと押さえておこう。画面サイズは15.6型で解像度はフルHD(1920×1080ピクセル)、IPS方式の液晶を搭載しており、画面はノングレア加工だ。視野角は水平/垂直ともに178度、最大輝度は250ニト、コントラスト比は1200:1、応答速度は5ms(GtoG)とされている。これらは一般的な有線のモバイルディスプレイと比較して、大きく変わるものではない。

 ボディーは直線的な形状で、公称1140g(実測1063g)と15.6型としてはかなりのヘビー級であることを除けば、こちらも一般的なモバイルディスプレイとの大きな相違はない。ワイヤレス接続に対応することもあって、本体に内蔵された容量7800mAhもの大容量バッテリーを用い、外部からの給電なしで駆動させることも可能だ。

 本体背面には、ボディーと一体化した折りたたみ式のスタンドを備えている。このスタンドの左端は斜めにカットされており、これを下にすることで、縦方向に立てることも可能だ。角度は固定だが、外出先での利用時には重宝するだろう。ちなみに、本体にジャイロセンサーを内蔵しており、縦横の切り替えは自動的に行われる。

 重量は1kgを超えているが、これはスタンドと一体化していることに加えて、7800mAhもの大容量バッテリーがかなりの割合を占めていると考えられる。持ち歩き用のポーチが付属しており、外出先への持ち出しも容易だ。

 ワイヤレス接続が売りの製品ということもあって、付属のケーブルはUSB Type-Cケーブルのみとなる。後はACアダプターが付属するだけで、一般的なモバイルディスプレイであればセットになっているHDMIケーブルは省かれている。唯一、HDMIケーブルを本製品で使うためのHDMI→miniHDMI変換アダプターだけは付属する。割り切りつつも気が利いた仕様だ。

 続いてPCに接続してみよう。

●プラットフォームごとにワイヤレス接続の実力をチェック

 では実際にワイヤレス接続を試してみよう。今回はWindows、iOS、Androidの順で紹介する。

 画面右下にある電源ボタンを押して起動すると、さまざまなデバイスとの接続方法をまとめたチュートリアルが表示されるので、それに従って接続を行う。この画面を見れば、どのプラットフォームと接続する場合も、取扱説明書を読むことなく、必要とされる手順が一目で分かる。なかなか気が利いた仕様だ。

 まずはWindows PCからだ。本製品を起動した状態で、PC側でショートカット「Windows」+「K」キーを押すとワイヤレスディスプレイ機能が立ち上がり、接続可能なデバイスの1つとして本製品が表示されるので選択する。Windowsからは一般的なディスプレイとして認識され、後は配置の調整や、解像度の調整、向きの変更を行えばよい。至って簡単だ。

 ただし、ワイヤレスで映像信号をやり取りしているだけあって、レスポンスはイマイチだ。Windows側でディスプレイのプロパティを確認するとリフレッシュレートは30Hzとなっており、動画の再生は絶望的で、スクロールもなかなか追いつかない。ドキュメントやワークシートを常時表示させておく用途が主になるだろう。

 一方のiOS(iPadOS)は、手順がやや複雑だ。最初に本製品固有のWi-Fiに接続してから、AirPlayをオンにし、接続先の一覧に表示される本製品を選択するという流れになる。Windowsおよび後述のAndroidと違ってWi-Fi接続の手間が余計にかかるが、動作のカクつきが明らかに少なくスムーズだ。アスペクト比は固定、かつミラーリングしか選択できないことを除けば、極めて実用的と言える。今回は試していないが、macOSも同じ手順だ。

 iOS(iPadOS)からの接続時は本製品固有のWi-Fiに切り替えるため、そのままではネットに接続できない。Wi-Fiに接続した時点で、本製品の画面右上に表示されるローカルIPアドレスにiPadからアクセスすると、アクセスポイントの一覧が表示されるので、そこで任意のSSIDを選んでパスワードを入力すれば、本製品を介してネットに接続できるようになる。

 次にAndroidデバイスとの接続を見ていこう。

●デバイスによって大きく左右されるAndroid

 最後にAndroidだが、クイック設定パネルの中にあるキャストボタンをタップし、リストに表示された本製品を選択するだけの簡単操作だ。配信はMiracast経由とされているが、複数のAndroidデバイスで試した限りでは、EZCastで配信されることの方が多かった。いずれにせよ、各デバイスがサポートするキャスト方式に自動的に切り替わる仕組みのようだ。

 キャスト時の解像度は自動調整されるようで、今回試したGoogleの「Pixel 6 Pro」では著しく解像度が低く、テキストの判読すら困難な状態だった。スムーズに動作させるために表示クオリティーを犠牲にしているようで、このあたり少々気になる。解像度を調整する項目はざっと見た限りでは存在しないようで、少々困りものである。

 なお、Miracastにさえ対応していればここまで紹介したプラットフォーム以外でも接続できるようで、Amazonの「Fire」タブレットの旧モデルで試したところ、上記の手順で接続できた。Windowsと同様、ある程度の遅延はあるが、前述のiOSのようにいったん自前Wi-Fiに接続する必要もないので、手間もかからない。

 ここまで紹介した接続方法における実際のレスポンスを、まとめて動画で紹介しておこう。いずれもミラーリング状態でブラウザをスクロールする様子を120fpsで撮影したもので、Windowsはフレームレート30Hzということもあって動きがカクついているのに対し、iPadはスムーズで遅延も感じない。

 Androidも動きはスムーズだが、こちらは解像度を下げての結果なので、あまり参考にはならない。同じAndroidでも、機種ごとに差があると考えるのが妥当だろう。FireはWindowsと同様に遅延があるが、これはデバイス自体が古くパワーがないせいもあるはずなので、評価は保留としたい。

●有線接続にも対応。メニューは見やすくカスタマイズも可能

 さて、本製品は一般的なモバイルディスプレイと同様、有線接続にも対応する。ただしポートの位置が本体左側面のかなり上ということで、見栄えはあまりよくなく、またケーブルを引っ掛けやすい。ワイヤレス接続ができなかった場合の非常用と考えた方がよいだろう。

 最後にメニューについてもチェックしておこう。本体正面左下のボタンを一度押すと、メインメニューを表示するか、それとも音量調整/明るさ調整/入力先選択を行うかのメニューが表示され、それぞれの操作に分岐する流れだ。ジョイスティック構造のボタン1つで操作する仕組みだが、操作性は悪くなく、またメニューの階層もまとまっていて見やすい。ユーザーによるカスタマイズにも対応している。

 ただしこの電源ボタンだが、電源ケーブルをつないでいる場合は押すとオン(青LEDが点灯)、もう一度押すとオフになるのだが、電源ケーブルなしではオンにするために長押しが必要になり、また電源ケーブルをつないでいる間はオフ時も緑LEDが点灯したままになるなど、挙動の違いが分かりにくい。もう少しシンプルにしてほしかったところだ。

 もう1つ、本体のバッテリーの残量が分かりづらいのも気になるところである。残量がわずかになると警告メッセージが出て、そのまま使い続けていると自動的に電源がオフになるのだが、残りパーセンテージを画面で確認するためには、前述のメニュー画面でメインメニューを呼び出さなくてはならない。どの画面でもしつこいくらい残量を表示した方が分かりやすいのではと感じた。

●よいものを長く使いたいユーザーにオススメ

 以上のように、ワイヤレス接続の実用性はプラットフォームによってバラつきはあるものの、ケーブルなしで接続できる快適さはかなりのものだ。ワイヤレスだけに強引に特化するのではなく、有線接続もきちんとサポートしているのでつぶしが利くのも好印象だ。

 ワイヤレス接続機能にばかり目が行きがちだが、安定感が高く縦置きにも対応するスタンド、スピーカーやイヤフォンジャックなど音声出力回りの機能、さらには三脚への取り付けを可能にする背面のネジ穴など、細かい配慮も見逃せない。

 同社直販となるASUS Storeでの価格は税込み7万1820円と、同等サイズのモバイルディスプレイと比べるとかなり高価だが、3年保証が付いているので、よいものを長く使いたいユーザーにはオススメできる。4Kやタッチ操作に対応していないことを除けば、現状のモバイルディスプレイでも屈指の製品と言ってよいだろう。